夫が私に離婚を切り出してきたとき、私はそんなことを言われるなんて全く予想していなかった。
結婚してから何年たっても生活が楽にならなくて夫婦の間でケンカは絶えなかった(というか毎回私が一方的に夫に対して怒っていた)けど、それでも時々デートしたりして仲良くしている方だと思っていた。
この人とこの先も一生一緒に生きていくと思ってたし、そのために妊活を頑張る気でいた。
でも、夫は私とは全く違っていて、2年近く前から私との離婚を考えてたと言っていた。
この感覚のズレは夫と私の離婚に対する価値観の違いが原因だったんじゃないかと思う。
夫の両親は夫(息子)が20歳を過ぎてから離婚をしている。
私の両親は離婚をしていない。
私の母親が3年前にガンで亡くなるまで約45年間、1度も離婚の話は出なかった。
もし母がまだ生きていたら今も結婚生活を続けていただろうと思う。
かと言ってうちの両親がとても夫婦仲が良かったわけではない。
団塊世代の父は典型的な亭主関白タイプ。母は、田舎出身の箱入り娘で3歩下がってついていくタイプの人だった。
結婚してからずっと専業主婦で、子供が高校に入るぐらいになってパートを始めたけど、経済面では完全に夫である父に依存していた。
「金を稼いでる俺が一番偉い」と言わんばかりのモラハラ夫の態度に耐え、3人の子供をほぼワンオペで育ててきた母。
母は常々子供たちに「結婚とは忍耐だ」と語っていた。
「子供がいなければとっくに離婚していた」とも。
日頃相当不満が溜まっていたのか、父のいないところでの悪口もすごかったけど。
それでも、「子供たちを父親のいない子供にしたくなかったから必死で耐えてきた」と何度も何度も言っていた。
そんな両親を見て育った私もいつの間にか「結婚とは耐え忍ぶもの」「1度結婚すると決めた以上、何があっても添い遂げる覚悟でいるべき」という価値観が染み付いており、それが自分の結婚生活にも反映されていたように思う。
夫の両親は国際結婚で、しばらく別々に暮らしていたけど、父親から切り出す形で離婚をしている。
彼が覚えている限り両親はいつもケンカをしていて、家の中は常に雰囲気が悪かったと言う。
仲の悪い両親を見ているのは辛く、幼いながらに彼はサッサと離婚すればいいのにといつも思っていたのだそう。
父親から「お母さんと離婚しようかと思ってる」と相談されたときは「すれば」とだけ答えた。
離婚してからの両親はそれぞれ幸せに暮らしていて、それを見て彼も心から良かったと思っているみたい。
彼にとって離婚は「苦しみから解放され、幸せになるための行為」であり、辛い結婚生活を続けるくらいなら早く離婚するべきだという価値観を持っている。
私の方は親の世代的に古い昭和な考え方だなと思うし、結婚生活において何が正しいかなんて正直分からない。
子供の立場としては、母親が嫌々結婚生活を続けて苦しんでいる姿を見続けるぐらいなら離婚しても良かったんじゃないかと思っている。
なんだかんだ言って母は父と離婚して1人でやっていく自信がなかっただけなのかもしれないし。
父との結婚生活がストレスでガンになって早くに亡くなってしまったのかもしれないし。
もし両親が離婚していたら母は今でも生きていたのかなと思うと、離婚しないことが絶対正義だとは思えない。
だから絶対離婚しないとは考えてないし、かといって何の努力もせずに投げ出すのも違うんじゃないかと思ってしまう。
だからまず別居をしてそれぞれが自立して生きられるようにする。
その中で色んな心境の変化があるかもしれないし、離婚をするかどうかは成り行きに任せるつもりでいる。