愛梨が怒って帰ってしまった。
「はぁ~~…。」
俺は深いため息をついた。
途端に急に誰もいなくなり、さみしくなる部屋。
「どうしろって言うんだよ…俺だって出来れば…」
人の温もりを感じたくて愛梨が作ってくれたご飯の残りを食べた。
*✩*✩*✩*✩*✩*✩*✩*✩*✩*✩*✩*✩*
ジヨンと喧嘩した。
本当はこんな喧嘩したくなかったのに。
携帯を取り出してある人に連絡いれた。
「トルルルルー…ガチャ…はいはい??」
「あっ梓?今大丈夫?」
「うん。ヒマしてた。どうかした?」
「うん…それがね…」
私は1連の流れを話した。
「それで?あんたはなんで怒ってるの?」
「だってジヨンが教えてくれないんだもん。」
「なんで?ジヨンとはもう関わらない事にしたんじゃなかったの?」
「うっ…そ…それは…」
「あのさ~…そろそろ素直になってもいいんじゃないの?」
胸に突き刺さる。
皆に同じ事言われる。
『スンリに聞いてみれば』
梓の助言を実行してみた。
今日はBIG BANG皆での撮影の日
喧嘩してからジヨンとは会ってない。
「おはようございます!」
元気よく入ると、いつもはいるはずでないであろう人物がいた。
「たったったっタプ!」
スンリ「愛梨さんなんですかそれ??」
忘れてた!この間の事!
タプ「よぉ~この間は素敵な夜になりましたか?」
「んなっ??!」
「ふっふっ…なんで知ってるの?と言いたげだね。だってあんなスポーツ車の音が近くで聞こえればわかるって!」
私とタプが話してると、その間を割って通ってきた人がいた。
「おっはよーございます!」
スンリ「ジヨンヒョン!風邪良くなったんですか?」
「……お前、後で覚えとけよ!」
それを言われたスンリは目が点だった。
「…なんで??俺今恨まれる様な事言った?」
テソンにすがりつくスンリを見て思わず笑ってしまった。
タプ「ジヨンも大人気ないよなぁ」
タプはそう呟くと近くにあったソファに腰を掛けた。
「でも…この間は残念だったね?」
「へっ?」
タプの言ってる意味がわからなかった。
コソっ「ジヨン来なければ…いい所だったのにね」
タプは顔を近づけながら囁いた。
「愛梨ちゃん顔真っ赤」
タプはハハッと軽く笑った。
(あたし…タプに弄ばれてる気がする…!)
私はただ言われた真っ赤な顔で睨みつけることしか出来なかった。
「前、失礼しまーす」
そんな私たちの間をジヨンは割って出て行った。
愛梨「…何あれ?」
頭の中が「?」の私の隣でタプは楽しそうに笑っていた。
「愛梨さ~ん明日つかう小物ここでいいの??」
「あっはい!OKです♪」
結局スンリに聞くことが出来ずに撮影終わっちゃったし。
ことの原因はわかっている。
今日ジヨンに邪魔されてばかりな気がする!
おまけにいつもは与えないであろう仕事を私に頼んだらしい。
私は深くため息をついて仕事の続きにとりかかった。
「お疲れさまでーす」
当の本人が向こうからやってきた。
「…お疲れさまです。」
私が軽くお辞儀をすると、ジヨンは私の腕を掴んで歩きだした。
「えっ?ちょっ…ジヨン……さん?」
「『さん』はなしでしょ?」
「……ジヨン。どこ行くの?」
ひと気のいない所に連れてかれるとジヨンは辺りを見渡した。
「何?」
「あのさぁ…無駄だよ?」
「えっ?」
「スンリに詳しく聞こうと思ったでしょ?」
こいつ…やっぱり今日わざと邪魔してたんだっ!!
それになんか近いし…
「そんなに半年前の事知りたいの?」
「うん。だって…私が関係してるかも、しれないんでしょ?」
「……じゃキスしてくれたら教えてあげる。」
「はっ??」
「キッス♡しかもえっちな方ね?」
「んなっ??」
「してくれたら教えてあげるんだけどなぁ……どうする?」
どうするって?
しかもその顔可愛いな!
「しないわよ!きっキスなんて…何考えてるのよ!」
「ふ~ん…じゃ俺も教えない♪」
「うっ…」
「僕ちゃんの今日の仕事終わったから帰ろ~」
ジヨンは上機嫌で帰って行った。
(あいつ、本当になんなのよ!仕事戻ろっ)
ジヨンはいつも変な事言うから…気にしない。
「すいません。今戻りました!」
小物合わせをチェックしてるヘアースタイリストの所へと戻った。
「あれ?愛梨さんなんか…顔真っ赤ですよ??」
「えっ??!きっ気のせいですよ!」
「まさか~ジヨンさんにキスでもされました??」
「さっ!!さっさっれてませんよ!」
「ふふっ冗談ですよー。でもジヨンさんと話してると顔が赤くなるくらい見とれちゃいますよね~」
たしかに…
最近は色気も増して艶っぽい表情もして気がする。
それに増してのペンへのサービスは忘れない。
たまに嫉妬しちゃうくらい。
「でも知ってました??」
「えっ?」
「これ、噂なんですけどね…ジヨンさんってフリーの時は夜クラブとかに良く出没するらしいんですよ!…でも本命がいるとぱたっと夜遊びがなくなるらしいです!」
「へっへぇ~そうなんですか…」
「ちょっと前まで遊んでるの目撃してる人いたみたいなんですけど…最近は全くないらしいですよ~」
ふーん。
ニヤニヤと私の顔を見るヘアスタイリストさん。
「なっなんですか??」
「いや~愛梨さんが韓国に来てからだなぁと思いまして」
ニヤついた顔を隠すかのように右手で顔全体を覆っている。
「まっまっまさか!私、ジヨン…さんとはただの仕事仲間ですし…!」
「ふふっ…そぉゆう事にしておきますよ!」
♪ピロリン
「ふふっ…ジヨンさんじゃないですか~??」
携帯を取り出して見てみる。
(なんでわかったの?!)
更にニヤついた表情をみせる、スタイリストさん。
「あとは私がやるんで、行って下さい~(●^ω^●)」
スタイリストさんにいわれるがままにジヨンの元へと向かった。
「……その前に…」
駐車場につくと、車のバンパーの上に腰を掛けるジヨンが見えた。
煙草…吸ってる。
その辺のチャラ男がやってると嫌悪感を感じてしまうのに、ジヨンがやると魅力を感じてしまうのは、彼の生まれ持ったオーラのせいなのかもしれない。
「あっ愛梨~お疲れさま(●^ω^●)」
私に気づいたジヨンは煙草を消しながらこっちに手を振った。
いちいちその姿が可愛い。
「 ひっ人に仕事押し付けて、待ってるって…なんか用?」
「ふふっ…可愛くないなぁ~まだ怒ってるの?」
「別に、いつまでも怒ってません!」
「一緒にご飯でも行こうかなぁと思ったの!」
「へっ?ご飯?」
「そっ!おかげさまで身体も元気になりましたので!お礼に。」
「別にいいよ。お礼なんて対したことしてないし。」
「そぉ??…じゃ…韓国ですっごい美味しいオムライス…1人で食べに行こうっと♪」
「オムライス?!?!」
お礼がしたいなんてただの口実。
ただ、俺が愛梨と一緒に居たかったんだ。
愛梨は好物がオムライスと知ってたから、きっちり下調べしておいた。
案の定、行きたくてたまらないって様子だった。
「うん。オムライス食べたくて。…あれ?愛梨は俺と行きたくないんでしょ??」
こいつ。
あたしがオムライスに目がないの覚えてたな…
しかも、わざとらしく韓国で美味しい店って…!
行ってみたい!…けど~!!
「……行く……」
「ん~?なんか言った?」
「……オムライス……食べたい…」
私のその言葉を聞いたジヨンは下唇を噛みながらはにかんだ。
「素直じゃないんだから!俺と一緒にご飯食べるの嬉しいくせに!」
「なっ…!」
あ~あ愛梨ちゃん。そんな顔は反則でしょ。
愛梨の真っ赤な顔は嫌いじゃない。
「それじゃお姫様。どうぞこちらに。」
ジヨンは慣れた手つきで車の助手席のドアを開けた。
あたしはそれに従うと、ジヨンはすごく嬉しそうだった。
車の中は相変わらずジヨンの匂いがして、クラクラしそうだった。
「そういえば、今日は珍しい格好だね。朝もその格好だったけ?」
「へっ??」
ジヨンが私の服装をなめるように見た。
「なんか…愛梨に初めて会った時思い出す♪」
そう。
ジヨンに呼び出しされて、なんとなくマスコミ対策の為ボーイッシュな格好に着替えたのだ。
ジヨンは機嫌がいいと特におしゃべりになる。それは最近気づいた事。
ジヨンが車を停めたので、あたりを見渡すと目の前にはおしゃれなカフェが並んでいた。
おしゃれなカフェ通りなだけあって人もそこそこいた。
「ジヨン…人いっぱいいるけど平気なの?」
「ん~。いいんじゃない?」
いつものジヨンでは想像出来ない他人放棄な発言だった。
「???」
本当に大丈夫なのか疑問に思いつつも、
ジヨンに案内されてお店の中に入ると外の人だかりと正反対に静かな店内だった。
どうやら私達だけの様だ。
「食べよ♪オムライス♪」
少し不安はあったけど、ジヨンもとてもご機嫌だし素直にこの場を楽しむ事にした。
店員さんがメニューを持ってきて、今日のオススメを説明してくれた。
私は定番の昔ながらのオムライスと頼むとジヨンも同じのを注文した。
オムライスがきて、口にすると確かに韓国一美味しいと思う。
日本の喫茶店にあるような本当に昔ながらのオムライスで、卵も最近のオムライスと違って半熟ではなく、キチンと焼いた卵だった。
こんなに美味しいのにほかにお客さんがいないなんて…
「こんなに美味しいならほかにお客さんがいてもいいのにね」
「んっ?あー……そうだよな…飯どきじゃないからなー」
ジヨンもご機嫌だし、美味しいオムライスも食べれるしで私もついおしゃべりになってしまう。
2人で素直に思った事を話し合った。
素直になるってこんなに楽しくて、幸せな気持ちになれるんだね。
ご飯を食べ終えて美味しいカフェオレを飲みながら、ジヨンと話をする。
(このまま、…家に帰るのは嫌だなぁ…)
隠していたはずの気持ちが抑えられなくなる。
「……愛梨?どうかした?」
「えっ?あっ…なんでもない!…私ちょっとお手洗いに。」
「あっうん。」
愛梨が化粧室に行くのを見送ると深いため息がもれた。
この関係がもどかしい。
「あの~…」
コーヒーカップを口にした直後だった。
今日は誰にも邪魔されたくなくて、貸切にした。
話しかけられるとしたら店員ぐらいだ。
声をかけられた方を見てみると、見覚えのない女だった。
「やっぱり!……その反応だと覚えてない?」
……誰だっけ?



