さっきから愛梨の姿が見えない。
望も、同じ事思ってるのか辺りを見渡してる。
まどかが部屋に入って来たのが見えたから聞いてみた。
「まどか!愛梨外にいなかった?」
「見たよ。外の空気吸ってくるって」
いくらこの辺は治安は悪くないといっても、安心とは言えない。
「1人で行かせたの?!」
「だいじょうぶで…」
まどかがそう言い終わる前に望は部屋を出て行った。
愛梨を探しに行ったのだろう。
「監督。ちょっと休憩ね。」
監督にそう告げると、俺も望の後を追う様に部屋を出た。
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「ジヨンの事もらってもいいって事よね?」
あのスタイリストさんがジヨンの事好きだった。
ジヨンとあの人を一緒にしてはいけない…
やっぱり私の直感は当たってたんだ。
自分で気持ち伝えてないのに、ジヨンの好きと言う言葉に甘えて…
「贅沢者だよ…」
頭ではわかってるけど、この胸が締め付けられて苦しくなる感じ。
気持ちは正直だ。
考え事しながら街を歩いてたら知らない所まで来ちゃった。
「何がぜいたくなの?」
慣れない日本語で話かけてきたのは同世代くらいの男の人2人だった。
「こんにちは!」
「こん…にちわ。」
さっき細い道には入らないようにって言われたんだった…。
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あ~ちゃんがいないと分かったのは、撮影後だった。
g-dragonも辺りを見渡してる。
て事は……
撮影前、g-dragonとまどかさんが話している様子を見ていたあ~ちゃん。
あの2人…来た時から話しているし。
なんとも想ってない人でも羨ましがるような関係性だと思う。
すごく悲しそうな顔していたあ~ちゃんを思い出す。
俺なら…そんな顔させないのに…
「ねぇ望。愛梨どこ行ったかわかる?」
「ねぇちゃん。…俺も探してるんだけど…」
なんとなく嫌な予感がした。
あ~ちゃんはいつも変な事に巻き込まれるから。
「俺とりあえず、外さがして「まどか!愛梨外にいなかった?」
g-dragonが今外から入ってきたスタイリストに聞いていた。
聞くとあ~ちゃんは外の空気を吸いに行ったそう。
考えるより体が動いていた。
まじで変な事に巻き込まれてなければいいけど…
少し走った路地の細道に人影があるのが見えた。
そこに行くとあ~ちゃんがいた。
言わんこっちゃない…
男2人に話かけられている。
俺は男2人相手に、あ~ちゃんをかばう様に前へ出た。
「…!望くん…」
「おにぃちゃん。ぼくたちかのじょとはなしてたんだよ。」
片言な日本語で話している2人は同じくらいの歳層だった。
2人はこそこそ韓国語でなにか会話すると
「そこどいて」
と1人が卑しい笑顔を見せた。
韓国語もわからない。
あ~ちゃんを無事に助けられるか自信もない。
それでも、危ない目だけは合わせたくなかった。
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この辺は大丈夫。
そう思いながらも、望の焦った顔が頭から離れなくて気づけば俺も走って探していた。
「くそっ……どこなんだよ……!」
この何かがなくなってしまうような、ドキドキ感。
すごく焦る気持ち…
こんな気持ちになるなら、ヤキモチ我慢すればよかった。
愛梨に観光しようなんて言っといて仕事が長引いちゃったし…
悪い方に考える頭を取り除くように、頭をブンブン振った。
「よし。今は愛梨。」
さっきの出来事だからそう遠くは行ってないはずだ。
俺は少し路地裏の入った細道に入ってみた。
「いくらなんでも……こんな所までは入らないよな…」
焦る気持ちは深くなっていった。
ガシャガシャン!!
「逃げろ!!」
遠くで叫び声が聞こえた。
声が聞こえる方に向かってみると男と女が路地裏からいきなり出てきた。
「きゃっ」
女の方とぶつかりそうになった。
「ごめんなさ…「愛梨!!」
愛梨と望だった。
愛梨も俺に気づいた。
「ジヨ…「あ~ちゃん早く!!」
それは一瞬の出来事だった。
愛梨は望に手を引かれて走って行ってしまった。
スローモーションの様に動く2人の姿を俺はただ見てる事しか出来なかった。
その2人が走って来た方をみると男2人がいた。
なんとなく状況は読めたけど、面白くなかった。
「っくそ!」
俺は2人の後を追った。
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「あ~ちゃん。大丈夫?」
「うっうん。」
さっきの男2人の元から、望くんが助けてくれた。
「~だよね。……あ~ちゃん?聞いてる?」
「えっ?ごめん!何?」
「いや…今思えばさっきの撮影場所に帰れば良かったんだよねって」
「ふふ…。慌ててたからね。」
私達はさっきの場所から少し離れた、しばらく使われてなさそうな建物の中に隠れていた。
ジヨン…。
ジヨンも探しに来てくれたのかな。
息も切れてたし、汗かいてた。
「あ~ちゃんいつも危険な目に会ってるから、超焦ったよ!…その…無事で良かったよ。」
「ありがとう…」
あたし、ひどい女だ。
望くんがせっかく来てくれたのに…一瞬ジヨンが来てくれたと期待してしまった……
今もジヨンの事考えてたなんて…
会いたい…
「とりあえず、人目が多い場所に行こう。ここ、ちょっと薄暗いよね。」
「うん。」
最初に望くんが建物から出て周りを確認した。
何もなかったようで、望くんがあたしに手招きした。
建物の中から出ると、いきなり明るい所に来たので目を瞑った。
「만지지 마!」
韓国語で何かを叫んでるのが聞こえた。
でも、その「声」は安心感があった。
明るさにも慣れてきたので、確かめる様に目を開けた。
やっぱり。
目の前には「今会いたい人」が立っていた。
「かくれんぼは終わりだよ?愛梨ちゃん。」
下唇を噛むあの笑顔で。


