こんにちは侍ままんです。
我が家の末っ子三女さん。
生まれたときから、重度の食物アレルギーを抱えつつ、もう少しで12歳になろうとしております。
この度、人生で何回やったか覚えていませんが、おそらく20数回目の血液検査の結果
『たまごは加熱すればほとんど陰性といって良いくらいに、数値が下ってます。』
『牛乳もかなり下がってますよ。』
という喜ばしい報告を受けました。
かつては『全国トップクラス』という、全くもって嬉しくない冠を頂いたこともありました。検査項目のすべての数値が上限を振り切っており、計測不能って時期がしばらく続いたものです。
そこからの復活劇。
この結果を受けて、お医者さんとしては少しずつで良いからたまごや牛乳を含んでいるものを食べて、体に慣れさせていく治療を進めたいというお考えです。
でもね、三女さんは食べたくないんです。
そりゃあそうよ。
物心がついたときからこれとこれにはたまごと牛乳が入っていて『食べたら死ぬぞ!!』と言って育ててきました。実際に間違えて口にして病院に担ぎ込まれ、そのまま入院したことだってあります。
だから字が読めるようになった頃には、山とか川とかいう漢字よりも『乳製品を含む』という漢字が読めるように、真っ先に教え込みました。
生きるためには、山とか川なんか読める必要はないんです。覚えるべきは『乳』と『卵』と『落花生=ピーナッツ』。
こうやって我々は長い間、たまごや乳製品を食べないことで生き残る道を選んできました。
自分の身は自分で守れ!!!
それが私が三女さんに教え込んだ、生きるための唯一のルールです。
それをいまさら
『ちょっと食べてごらんよ』。
って医者に言われたくらいで、ホイホイ食べると思いますか?
三女さんにとって、牛乳を含むと分かっているものを口にするということは『このジュース、青酸カリが入ってるけどちょっと飲んでごらんよ。』って言われてるのと、同じくらいの抵抗なんだと思うのです。
そういうわけで少し前から、お医者さんよりたまごや乳製品を少量含んだお菓子なんかのリストを頂いて、一口から始めてごらんと言われているものの、なかなか一口より先に進めないでおります。
今思えば、私が幼少期の三女さんにかけた【呪い】があまりにも強烈すぎて、今度はそれを解くのに苦労しているということなのでしょうが、あの日の我々にはそれしか選択肢がありませんでした。
私は三女さんに呪いをかけることでしか、三女さんを守れなかったのです。
おとぎ話の魔女にだって、呪いをかけるに至るやむにやまれぬ事情があったんですって。。お分かり頂けましたでしょうか?
それを踏まえて考えていただきたい。
この春で三女さんは12歳。
このくらいの年頃になったら、おとぎ話ではお姫様の呪いを解くために、隣国の王子様が“たまたま”白馬に乗って通りかかることになってるよね。
そう。
大人がかけた呪いも、効果があるのはだいたいこのくらいまでだってことなんだと思います。ここから先は自分の出会いと発見で、親に刷り込まれた常識を覆すことが出来る。
そう信じております。
それで、あまりにも乳製品の入ったお菓子を食べたがらない三女さんを見かねて、今月の診察でついに先生はこう言いました。
『あとは勇気の
問題だなあ。』
乳製品の呪いに縛られて、茨の城で1人眠り続ける三女さん。どうしたら彼女の眠りを覚ましてあげられるのだろう?
王子様のキスにも匹敵するような、現状を打破してくれる『勇気のタネ』がどこかに落ちていないかしら?と思っていた矢先、
なんと先日三女さんが、自ら
『極細ポッキー』を
1センチほど食べたのです。
これまでにもポッキーを見せたことはあったのですが、「こんなん無理無理。だってチョコレートついてるもん。」即却下でした。
そこで見つけた『極細ポッキー』。
極細ならば!相当細いもん!チョコレートも薄いよ!!
ポッキーからの極細ポッキー。
この作戦が良かったらしい。
ついに生まれてはじめて!!!
チョコレートを食べることに成功したのです。
でもね、結果はやっぱり
『ベロがかゆい!』
アレルギー反応は出るんですが、多少症状が出ても少しずつ食べ続ける、っていうかなり【修業】に近いような治療なんですよ。
頑張れ三女さん
だけれども分かったでしょう。
【ポッキーを食べても死なない】ってことが。
(まだほんの1センチですが、三女さんにとっては大きすぎる一歩であります)
三女さんがポッキーを食べた時、
私の脳裏に浮かんだ言葉がある。
『クララが立った!!!』
意気地なしからの名誉挽回。
クララは立ちました。
そして、三女さんはポッキーを食べました。
人生はまだまだこれからです。