さて、ままん流『スラムダンク論』


これね、ままん的に見ますとね、ゴリこと”赤木先輩”
白髪鬼”安西先生”『再生の物語』だと思っています。


主人公桜木花道に出会って、
劇的に変わったのはこの二人。
しかも”プラス”の方向に変わったんですね。



赤木先輩。
彼は長いこと一匹狼でした。
木暮くんという親友こそいましたが、なかなか周囲との折り合いが
つかない堅物。
才能はあるものの、仲間に恵まれない、それは彼自身にも
問題があったからです。

バスケに対する情熱は誰よりも強かった。
でもそれは時に一人よがりでもあった。
そのために同級生は次々と部を去っていったのでしょう。
「お前とは合わない」
彼の人となりは『武士』と表現されていますが、おのれの道を
突き進むあまり、周りが見えなかったのかも知れません。

晴子が妹として「お兄ちゃんは口べたで人をおだてるなんて、最も
苦手なことだわ」と評価しているように、言葉で人に思いを伝える
ことも得意ではなかったようです。



この赤木先輩が、破天荒な桜木花道と出会ったことで、
徐々に変わっていくのです。
出会いの当初から「あいつはバカだ」と思うことで
今までとは全く異なる対人関係を築こうとします。
これは赤木自身がそうしようと思ってやったことではなく、花道が
あまりに常識を欠いた人物であったために、
本人の意志とは関係なくそうせざるを得なかった、と考えるのが妥当でしょう。
本人も思いがけずにとった、「非常識な人間に対する態度」これこそが
彼の凝り固まった「真面目すぎる人間性」を打開した
奇跡の特効薬だったのではないでしょうか。




花道との出会いを機に、
赤木は『指導上手』になっていきます。
それまでは同級生や先輩に対して「もっと練習しろよ!!
練習しなきゃ上手くなりっこないんだ!!」
自分の熱意をぶつけるだけでした。
そのために反感を買い、人間関係が上手くいっていなかった
のです。しかし花道に対しては、
負けず嫌いな性格を上手く利用した
『対花道』独特の指導法を実践しています。

まさにオーダーメイドの指導法。
(これ、ディズニーのサービスに通じるものがありますからね 笑)
これは赤木の工夫です。
今までは自分のやり方を貫くだけだった彼が、
自ら自分のやり方を
相手に合わせて変えたのです。
非常識人間桜木に寄り添う形で、
彼の能力を最大限に引き出そうと奮闘するのです。




これこそが赤木の再生につながりました。
続々と彼と距離を置いていた仲間が集まり出し
いつの間にか、自分の周りに『最強集団』ができあがって
いったのです。
赤木は桜木花道という「常識が通じない人物」
に出会ったことによって、初めて自分の姿勢を変えることに
成功
しました。
運命の出会い。



湘北高校バスケ部の再生は、桜木や流川が加入したことで
起こったことではありません。
大黒柱赤木自身が変わったことによって
もたらされた
と言っても過言ではないと思うのです。



そしてもう一つ。
そんな赤木を見て、安西先生も動き出しました。


入学当初から赤木の才能に一目置いていた、安西先生。
なのに、赤木が3年生になるまで
「めったに部活に顔を出さない先生」になって
しまったのは、なぜでしょう?
中学MVP三井が部活に来なくなったのを、見捨てたのは
なぜでしょうか。
それは、安西先生にもそこまでの熱意が湧かなくなっていたから。
お年もお年ですし(笑)
大学時代に目をかけた”谷沢”の失敗が彼を臆病にしていたのかも
しれません。やめたがっている人間を、バスケ部に引き戻して自分に
責任が取れるのか。
自信がなかったに違いありません。


赤木には才能と情熱があるのを知ってはいましたが、
彼が上手く人間をまとめることが出来ない
『キャプテンとしての素質』を欠いていたことを
見抜いていたのかも知れませんね。
「彼がね~~もう少し周りと歩調を合わせられる人間
だったらな~~」

と思っていたのかも知れません。
でも、そこをアドバイスしてあげるだけの熱意が、
もはや老齢安西先生にはなかったのでしょう。
だから偉大なタイトルを持っていながら「めったに顔を出さない先生」
に成り下がっていたのです。


ところが、なにかとバスケ部が騒がしくなってきたのです。
変な頭の変な男がやってきました。
期待の新人流川もやってきました。
なによりあきらめていた赤木がキャプテンらしくみんなを
まとめている
ではありませんか。
入院していた問題児も帰ってきて、MVP三井も戻ってきました。
なんだか、やる気が出てきたんでしょうね。
あれ?オレの出番??
勝負師の血が騒ぎ出したのです。



気分はもうとっくに「引退」していたはずです。
でもやっぱり「バスケがしたいです!!!」
それは安西先生自身の言葉でもあったはずです。
老齢安西は動き出しました。
シュートはまだ入る!!
桜木くんには負けません!!
指揮でも山王工業に勝ちました!!
安西光義、まだまだこれからが青春。
安西先生もバスケ部の再生と共に
生まれ変わったに違いないのです。
そりゃあ、ジョギングもしたくなりますわね(笑)
でも、みんなにはナイショ



と、こんな風に人生には『掛け替えのない出会い』
というものが存在するわけですよ。
作中では花道と流川が『終生のライバルとの出会い』
とうたわれておりますが、私個人としましては
花道と赤木。
花道と赤木と安西。
この関係性に着目したい作品であります。


以上ままん流『スラムダンク論』
長文乱文大変失礼致しました。