我が家のアレルギークイーン(2)からの続き→



そこから、山ほど飲んでいた薬の量を減らした。
強いステロイドをやめた。
見た目が悪化したこともあった。
でも信念を持って三女を受け入れることにした。

ステロイドをやめて半年かもう少したった頃、
「憑き物が落ちた」という表現がふさわしいほどに、
突然腫れ上がった顔が良くなった。
姉たちにとても良く似ていた。

私の考えだが、ステロイドをやめたから良くなった、と言うことではないと思う。
良くなるときが来たから、良くなっただけだと思う。

赤ちゃんのアトピーは治る、というのが一般的な考えのようだ。
だが、いつ、治るのか、どの程度治るのかは人それぞれで、
とても不明確である。

アトピーの難しいところは、治るまでをどう耐えるのか。
いつ来るのか分からないゴールに向かって辛抱しなければいけないところだと思う。


前述の通り、いまでも食べられないものがある。
ぜんそく持ちでもある。
ぜんそくは亡くなる子もいる恐ろしい病気だと言われる。

でも、死ぬかもしれない確率なんて、
健康な子でもぜんそく持ちの子でも同じだと、私は考えている。
どんなに健康だって交通事故で亡くなる人だっているのだ。

病気を恐れて憎んで、疲れてしまうよりも、いっそ個性だと割り切って、
寄り添ってみたら良いと思うのだ。
少なくとも私はそう思うことで、人生が明るくなった。

横断歩道をのろのろと渡る高齢のおじいさんを見て、
「私に比べればあの人はなんて幸せなんだろう。きっと夜だってぐっすり眠っているはずだ。」
真剣にそう思ったときもある。
でもいまはアレルギークイーン三女のおかげでいろんなものが見えたので、
彼女には感謝している。

この先、彼女にはもっと自覚が芽生えてくる。
自分と他人が同じでないことに気づいていくことだろう。
でもその違いは、背が高い、低い。目が大きい、小さい。
そんなことと同じことなんだと思ってもらいたい。

アトピーやアレルギーで悩んでいるママ達に。

治そうとがんばらなくていいと思う。治るのを待つ気持ちで。
病気の理由を考え出すと、必ず悪者探しになる。
ママが悪いのか、医者が悪いのか、本人が悪いのか。
何かを憎むのはとても辛いことだ。
理由なんかないと思ってもらいたい。たまたまなんだと。
たまたまアトピーやアレルギーなだけであり、誰も悪くない。

喜ばしくないことも、個性だと受け止めてしまえば、心が楽になる。
私は私に生まれたら、一生私なのだから。


終わり


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