莉紗(Lisa)はアメリカ人の父と日本人の母親を持つ、いわゆるハーフ。弟の努(Thomas)は両親と共にイリノイ州に住んでいます。莉紗は地元の大学を卒業後、日系企業に就職。バイリンガルの彼女は早速、東京本社に勤める事になりました。父親が軍属だったので子供の頃、日本にいた記憶は裏覚えでした。自分の血の半分は日本人、彼女は日本での勤務を楽しみにしておりました。



本社は千代田区で、噂に聞いた通勤ラッシュに慣れる迄はと近めの23区内に1LDKを借り期待に満ちた毎日を送ります。何もかもが新鮮で、あっという間にに1年が経ちました。職場では毎週金曜日に食堂でビュッフェが開催され、たまたま隣りに座ったのが彼でした。それが、きっかけで莉紗のボーイフレンドになります。

アメリカの血をひく莉紗は背が高く170cm位です。髪はブロンディで父のブロンドがメッシュの様に混じって自然な感じ。ボーイフレンドは莉紗よりも背が高く185cm位でキチッと折り目のあるスマートな男性。(頭脳ではなくカッコいいの意味です) 莉紗にアメリカ訛りや難しい漢字なども気楽にサポートしてくれます。週末にはクラブに行ったり、ドライブ、神社仏閣、温泉など彼との距離は近くなります。お互いの部屋に行き来する様に。莉紗にとっては家族から遠く離れて、こんなに楽しく過ごせる彼を心から愛していました。

そんなある週末、彼がお泊まりに来た翌朝。莉紗はシャワーを浴びてクローゼット内のチェスト(箪笥)を開けると彼女のアンダーウェアが綺麗に、同じ形、同じ向きに並べられてるのを発見しました。1番上のチェストはアンダーウェア、2番目はソックス類、3番目はTシャツと決めてあり、彼女の中ではチェストは収納感覚でしかありません。人それぞれ収納の仕方がありますが莉紗にとっては、完璧な程の収納時間があるのなら他の事をしたいと思うのです。(彼が整理してくれたんだ、ありがとう)と感謝しました。

秋も深まりアメリカでは感謝祭、その翌日にクリスマス商戦が始まる時期です。莉紗は(感謝祭のディナー、食べたいな)と思いつつ仕事に励む毎日、通勤ラッシュも慣れました。ボーイフレンドととも仲良く過ごし2回目のクリスマスを迎えようとしてます。今年は彼の部屋で過ごす予定です。小さなクリスマスツリーの下にお互いのプレゼント、壁に掛けた靴下には(欧米では暖炉に個人の名前を書いたクリスマス専用の大きな飾り靴下)幾つかの細々なギフトが入っています。日本ではクリスマスイブがメインイベントですが莉紗はクリスチャンでもあるので欧米スタイルでクリスマスの朝にお互いのプレゼントを開けようと彼に頼みました。彼も快くOKしてくれイブはシャンパンで乾杯し寝室へ。

クリスマスディの朝、2人はコーヒーを飲みながら順番にプレゼントを開けます。先ず彼からプレゼントを開けます。莉紗のラッピングを丁寧に開けラッピングペーパーも畳み、プレゼントに大喜び。「ありがとう、これ欲しかったんだ」とキス。莉紗の番です。リボンを取りラッピングペーパーをビリビリビリーと破き中の箱を開け「Very nice、I love you」と.....彼が固まってます。「どうしたの?凄く嬉しい」返答がない上に顔が赤く苛立ってる様に見えます。「ねぇ、具合でも悪いの?」と彼を揺さぶると「触るなっ!埃が舞うっ!」キッチンに行きダイソンを持ち込み掃除を始めました。「包装紙を破くと微細な繊維が落ちるし舞うんだよっ!」

彼は超几帳面な男性でした。莉紗のした行為は欧米では普通で自然と今までしてきた事なのです。今、思えば莉紗のチェストの整理、汚れた服を畳む(これから洗濯するのに必要か?)、プラスチックバックもシワをとり1枚1枚畳む、車も乗る度にマットを掃除、シンク周りの水滴、服や靴に多量な除菌スプレーの噴射、食器棚のカップ、グラスや皿の向き、etc.

莉紗は気にしてなかった事が全て思い出しました。彼は喘息、アレルギーや肺疾患はありません。綺麗好きは良いが度が過ぎる.....(こんな小さな事で怒るなんて) 莉紗は自分の気持ちが一瞬で冷めるのがわかりました。1点の欧米の習慣を日本でした事が怒り出す程悪いとは思いませんでした。


日本人は血液型で性格とか占いますよね。A型は几帳面と言われる方もいますが、人それぞれの性格や育った環境にもよると思います。


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