昨日、久しぶりに4人対戦したw

しかし34Rて速ぇな。ふつーに走ってるのに、相手さんが追いついてこねぇww

まぁ追いついて来た所で、トラック送りにしてやりますがネw



車とか湾岸マキシ3DXとかイニD5とか首都高小説とか


車名:NISSAN BNR34 SKYLINE GT-R V-specⅡ “Thund By SPEED SHOP&=WOG=(Wangan.Osaka.Group)”

元メイン(現在は乱入のみで使用。ちなみに非ドレコン)です。


放置から帰還。たぶん、オレのこと知ってる人、もう居ないんじゃないかな?(ぁ

んー、とりあえず簡単な自己紹介(箇条書き)から。


・大阪府在住の人間です。


・自動車と電車、あと二次元(萌えとか)とかが大好きです。


・ゲーセンで湾岸マキシ3DXと頭文字D AS5をプレイしています。


・“大阪最速の痛CN使い”という異名を持ってます。


・正直、CNは痛いです。


・つか湾岸、長いこと放置してました。ウデはボロボロです。


・けど名古屋と大阪の王冠だったら、簡単に取れるよ。


・湾岸&イニDともに、使用率が低い、いわゆるマイナー車両を操ります。


・しかし、もちろんメジャー車両も操ります。


・湾岸だとトラック送り。イニDだと鬼ブロックします。



今はこんなカンジかな。



33R同士バトルの翌日――SPEED SHOP 第1工場内


「ココがワイの仕事の持ち場か?」

SPEED SHOPのツナギを着たタクがケンに質問した。

「あぁ。今からココのチーフメカニック呼ぶから…。

おーい、智代ォ!ちょっと来てくれー!」

ケンは、34Rのボンネットに頭を突っ込んで作業をしているスタッフに声を掛けた。

「なんだケン? 私は忙しいんだ。」

薄い銀髪のロングヘアーで青い瞳の女性メカニックが、ケンにタメ口で話しかけてくる。

「そう言うなって。ちょっとコイツを頼むよ。」

「なんだ。新人のレクチャーか? それならばお前がしたらどうだ。どうせ仕事して無いだろ。」

智代、と呼ばれた女性メカニックがケンに反論する。

「まぁまぁ。とりあえずココの感じだけ教えてやってくれよ。後は放っといても良いからサ。」

「全く…。で、名前はなんて言うんだ?」

智代が少し面倒くさそうな顔でタクに話しかける。

「相手に名前聞く時は、自分から名乗るのが礼儀やろ?」

「うるさいヤツだな。とにかく名前を言え。」

「むぅ…。ワイは元山 卓也。気軽にタクって呼んでくれや。さて、次はソッチやで。」

「私は立川 智代(たちかわ ともよ)だ。」

「ま、宜しゅう頼むわ。」

タクは微笑しながら智代に言葉を掛ける。

「ああ。コチラこそな。」

智代はフッとタクと同様に微笑を浮かべ答えた。

「んじゃまぁ…。後は頼んだぜ、智代。」

「ああ。」

ケンは智代にそう言い残し、工場を後にした。


 ・

 ・

 ・


――昼休み、SPEED SHOP社員用食堂


ザワザワとした雰囲気の中、ケン・タク・雫・智代の4人が一緒にテーブルを囲んでいた。

「智代、コイツの仕事振りどーだ?」

「悪くは無いぞ。動きも素早いし、作業も正確だ。」

カレーを食していたケンに、これまたカレーを食している智代が言葉を返す。

「ま、GT-Rやったら朝飯前やで。向うでかなりの台数イジってたからな。」

焼肉定食にがっついているタクが2人に言葉を掛ける。

「でも、地位としては新人だけどね。」

「笑いながらキツイこと言わんといてくれや……。」

ラーメンを食べている雫が、タクに強烈な言葉を浴びせる。

「けど考えたらスゴイよな。向うでチーフメカのヤツがコッチくりゃ新人扱いなんだから。」

「社長のお前が言ってどーする。」

「ま、ウチは技術が有って信頼されているヤツはちゃんと昇格させるけど。」

最後の一口を口に放り込み、カレーを食べ終わったケンは立ち上がってトレイを返却口に持っていく。

「アンタ、向うのショップのチーフメカなんでしょ? なんてショップに居るのよ?」

「元山ファクトリーって店や。GT-R専門やけどな。」
タクがサラッと言うと、雫と智代が驚いた顔をする。

「も、元山ファクトリーって言えば…。」

「ハコスカGT-Rで最新の34Rを撃墜したり、ストリート(公道)で395km/h overの32Rを造った店か…。」

「おぅ? 珍しいな、コッチ(関東圏)でウチの店(関西圏)の名前知ってんのか。」

タクも最後の一口を放り込み、トレーを返却口へと返す。

「まったく…。凄いヤツ連れて来るわね、ケンも。」

「あぁ…。」

女性2人は驚きながら、昼食を終えた。



「ケン、ワイの33Rどーや?」

「最初は1週間位かかると思ったけど、見た目よりもダメージ無いからナ…。3日や4日も有れば直るだろ。」

「それは有りがたいコトやわ。」

タクは自分の33Rを見ながらそう言う。すると、ケンがいきなりタクに1本のキーを渡した。

「なんや、このキー?」
「ウチのデモ車のキー。一応、一通りの作業が終わったからな。キチンとセッティング出す為に頼むぜ。」

「それは良ぇケド、クルマは何やねん?FFやったら絶対に乗らんで。」

タクがキーの穴に指を突っ込み、クルクルと回しながらケンに尋ねる。

ケンは作業をしていた手を止め、奥にあるカバーの掛かった車を指差す。

タクはおもむろに、その車に掛かっていたカバーを外す。

カバーの下から現れたのは、黄色に塗装されたBNR34 SKYLINE GT-R V-specⅡだった。

「なァんかハデな34Rやなぁ…。」

苦笑しながらタクは34Rをじっくりと見る。

「こんなエアロ、見たコトあれへんな…。」

「当たり前だヨ、ウチのオリジナルエアロなんだからサ。まだ試作モデルだけど。」

「お前、エアロのデータ取る為に、新しく34R買ったんか!?」

タクが大声でケンに叫ぶ。しかしケンは軽く否定した。

「違う違う。元々は赤い34Rだったんだよ。それを色塗り替えて、新しくエアロ組んだってワケだ。」

「なるほどな。いやぁ、有名なショップは違うわぁ。」

「なに言ってんだヨ。」

苦笑しながら、2人は話し合った。


 ・

 ・

 ・


――PM11:00、SPEED SHOP


閉店したショップの前に、青色と黄色の34Rと白いJZA80スープラの姿があった。

「智代も付いて来んのかいな。」

「私もこんなコトに付き合ってるヒマは無いんだけどな。」

出発前の2人が、ケンにそう言った。

「そう言うなっての。お前のA80も新しくウチのエアロ組んだんだからよ。」

ケンは苦笑しながら自分の34Rに乗り込む。

それに続き、タクと智代も自分のクルマに乗り込んで、3台のチューンドカーは首都高を目指した。


続く


 首都高 湾岸線上り


「ロックオン完了!」

車内で叫び、タクはアクセルを床まで踏み込む。

タコメーターの針がレッドゾーン付近まで、一気に跳ね上がる。

タクRは雫Rのスリップに入り、雫RとタクRはテール・トゥ・ノーズ状態へ。

「どーやッ。」

タクが後ろから雫にプレッシャーを掛ける。

「(悪いけど、そーゆーのには慣れてるのよねー。)」

雫は臆することなく車体を隣の車線に移動させる。

雫Rに続いてタクRも、中央車線から左車線へと車線変更した、その瞬間だった。

「いッ!?」

目の前に居た雫Rが中央車線にイキナリ戻る。目の前には大型トラックの姿が。

タクは慌ててブレーキを踏み込みながら中央車線に車体を戻す。

「ヤホーッ!作戦成功ッ!」

雫が車内で歓喜の声を上げながらバックミラーで後ろを確認する。

「あら…、ライト一つ飛んじゃってるわねー…。」

雫はそう呟いてハザードを点けながらクルマを路肩に停車させ、車外へと出る。

暫らくすると、タクRが雫Rの後ろに停車した。

「あちゃー…。」

タクRを見て、雫が声を上げた。無理も無い。

タクRの左フロントライトとフロントバンパーの左一部が吹っ飛んでいたからだ。

更に左側のホイールのTE37のリムも少し傷ついている。

「アンタは大丈夫?」

車内から出てきたタクに声を掛ける雫。

「ワイは大丈夫やけど33Rがイカレたわ。」

少しヘコんだ声でタクは雫に言い返す。

「この後どーするのよ?」

「確かにナ…。ホイールヒットしとるから、コレ以上は走らせたくないし…。」

タクは少し俯き加減で雫に言葉を述べる。

「知り合いとか居ないの?」

「ん? まぁ、ワイは関西の人間やしな。」

「じゃ、コッチで手配して上げるわよ。」

そう言って、雫はケータイでどこかへと電話をする。

数回コールした後、相手は眠そうな声で電話に出た。

「もしもし? ちょっとぉ、眠そうな声で出ないでよね。」

『あのなぁ…、いま何時だと思ってんだよッ。』

「うーんとね…、深夜?」

『正解。非常識な時間帯に電話を掛けてくるな、バカ。』

「へぇ……、アンタそんなに早死にしたいワケ?」

言葉の最後の方に、途轍もなく恐ろしい単語が聞こえた。

電話相手もソレにビビッた様だ。

『……、――で、用件は何だ。』

「ちょっとキャリア貸して欲しいのよ。」

『なんだ、事故ったのか?』

「いや、私じゃなんだけどね。一緒に走ってた人がホイールヒットしてさ。」

『なるほどナ…。んで、場所はドコだ?』

「湾岸上りの大井をちょっと過ぎたトコ。黄色と深紅の33Rが目印。」

『OK。今から行く。』

「ヨロシクね。」

雫はケータイを切り、タクの元へと歩み寄っていく。

「15分もしたら来ると思うわ。」

「サンキュ。色々と悪いな。」

「いやいや、困ったときはお互い様でしょ。」


 ・

 ・

 ・


「あー、来た来た。」

雫の誘導でキャリアが雫Rの前に停車。そのキャリアから、ケンが降りてくる。

「いやー、悪いわねぇ。こんな時間に呼び出しちゃってさぁ~。」

「ホントだ、このバカ。」

「ん? なんか言った?」

雫の顔は笑っているが、声は全然笑っていなかった。

「いや別に。んで、どのクルマだ?」

「後ろに止まってある赤い33R。」

雫の案内で、後ろに止まっている深紅の33Rを見るケン。

「おぅおぅ…、コレはまたヒドイな。雫、クルマ動かしてくれよ。」

雫にそう言い、ケンはキャリアに乗り込む。



「うし、コレでOK。」

キャリアにタクRを積み込み終えたケンが雫の元へ寄る。

「雫、この33Rのドライバーは?」

「え? あぁ、あの人。」

雫が指差す方向をケンが見る。

「え? おい、タクじゃねーか!?」

「ん? おぉ、ケンかい!?」

両者共に驚きの声を上げる。しかし…。

「え!? アンタたち知り合いだったの!?」

雫が一番驚いていた。



――キャリア車内

「お前、33Rに乗り換えたのかヨ?」

「そーや。ハコスカRやったらツラなって来たからな…。基本、ハコスカRは古いからな。

相手が新しい34Rとかなってくると、ちょっと…な。

コッチがやっとの思いで250キロ出した思ったら、アッチは280キロとかな。

L28にスワップしたりしてたんケドな、こらもうアカン思って乗り換えたんや。

速いで、この33R。E/gはRB26のままやけど、オリジナルのビッグシングルとUPUで800PSを叩き出しとる。」

「成る程な…。んで、ハコスカRはどうしたんだ?」

「33Rに乗り換えた瞬間に調子崩して不動車。」

「ハハハ、勿体ないな。」

「全くや。」

苦笑しながら2人は話し合う。彼らが会うのは凡そ3年ぶりだ。

「それより、なんで33Rがあんなコトになってんだよ。」

「トラック避けよう思ってステア切ってんけどな、避けきれずにトラックに当たったんや。

いや、マジで‘死んだ!’と思ったで一瞬。」

「良かったじゃねぇか。」

「マジでな。」

タクは更に苦笑する。口調から、さほど落込んではない様だ。

「そや。アイツとはどーゆー関係なんや?」

「雫のことか? アイツはウチのショップの女性メカニックだよ。」

「ああ…。それでステッカー貼ってたんか。」

タクは納得した顔になった。


 ・

 ・

 ・


 SPEED SHOP


「オーライ、オーライ。うし、ストップ!」

キャリアの後ろでケンが手で合図してキャリアを停める。

そのままケンは作業を始める。



「うーし。」

33Rをキャリアから降ろし終ったケン。

「さてと…。クルマは1週間くらい掛かるぞ。思ってたよりもヒドイから。」

「そうか…。」

「お前、泊まるトコとか有るのかよ?」

「それが全然なんやわ…。」

タクが肩を落としてケンに向かって呟く。

「なら、ココで仕事させながら住み込みさせれば?」

隣に居た雫がケンに言った。

「んー、それも悪くないな。仕事してくれんならコッチも助かるし。」

ケンは考え込むような顔をしてタクを見る。

「お前がその条件で良いなら、ココの仕事寮に泊めてやるケド?」

タクは少し考えて、ケンにこう言った。

「給料払ってくれるか?」

「黙れ。」

ケンはタクの質問を即答で返した。

「冗談やって。ワイも最近はGT-Rばっかイジってたからな、他のクルマ触るんも悪くないやろ。

OK、その条件で頼むわ。」

「おぅ。」

ケンはタクに社員寮の部屋のキーを渡した。


 続く


 SPEED SHOP 第3駐車場


ヴォアァ―――ッ!!ヴォアッ、ヴォァッ!キュキュキュル――ッ!


「スゴイですね…。」

友也が隣に居るケンに言った。

2人の目の前で、5・6台のクルマが駐車場内に無数に置かれたパイロンの間をすり抜けて行く。

その中に、萌の黒いA70とカズの白いSW20の姿も確認できる。

「ま、いわゆるジムカーナってヤツだな。ココなら周りに迷惑掛かんねーし。」

「いや…。昼間からこんなコトしてたら、十分迷惑だと思うんですが……。」

「大丈夫、大丈夫w」

ケンは笑いながらジムカーナコースを見る。

「けど、萌のヤツ上手くなったなァ…。パワーが落ちて扱い易くなったからか?」

「他の人も上手いですよね…。」
友也がそう呟くと、コースを走っていたカズのSW20がコースから外れた所で停車する。
ソレに続き、銀のR33もコースから外れる。

「ありゃりゃ、ミスコースか…。」

ケンが小さく呟いた。

その理由は、ココを走る者達の中には、『ミスコース、つまり規定されたコースを外れたりした場合、走行を中断する。』

と言う、暗黙のルールが存在している為だ。

カズのSW20とR33がミスコースしたのがキッカケ(?)となり、続々と走行を中断するクルマが増えていく。

そんな中、萌の黒いA70のみコースを走行していた。

コース上に1人だけになったお陰か、A70の走りがドンドンと派手になってゆく。

ありとあらゆる所でテールスライドしながら走行する。

「完璧に遊んでますね。」

SW20から降り立ったカズが、ケンに言った。

「ハメ外し過ぎてクラッシュしなきゃ良いですケドね。」

「タハハ。確かに言えるな、ソレ。」

笑いながら、2人はコース上を走り続けるA70を見た。


 ・

 ・

 ・


――AM0:45 大黒PA


深夜の大黒PA。今夜も首都高の走り屋やVIP系統のクルマで、PA内はごった返していた。

どこを見ても人、人、人の群れ。PA内のアチコチで自慢の愛車のE/gを見せ付ける為に、人々はクルマのボンネットを開けている。

最早、ソレはオートサロンのレベル並みの光景だった。

だが、PAの片隅に停車している1台のチューンドカーは、そんな周りとは違うオーラを纏っていた。

そのチューンドカーの正体は、NISSAN BCNR33 SKYLINE GT-R V-spec。

綺麗な深紅のボディカラーに、迫力満点のフルエアロとカーボン製ボンネットとGTウィング。

更にホンキ印の白いマグタンのTE37と、Fバンパーに付着している無数の飛び石によるキズ。

パッと見ただけで、ホンキで走っていると言うコトが解るクルマだった。

「ったく…、殆ど祭りみたいな騒ぎやんけ……。」

深紅の33Rにもたれかかり、関西弁を使用する男性が小さく呟いた。

彼の名前は、元山 卓也(もとやま たくや)。仲間内からは‘タク’と呼ばれる最高速ランナーだ。

「こんな日ィに、バトルふっかけるヤツなんて居らんやろなぁ…。」
そう呟き、彼は愛車の33Rに乗り込もうとする…、その時だった。
「あのさー。」
「ん?」
後ろから声を掛けられ、タクは後ろを振り向く。
そこには、腰くらいまで掛かる薄い紫色のロングヘアーに、髪と同色の瞳が印象的な女性が立っていた。
「この33Rってアンタのクルマ?」

「そーやけど。」

「じゃあさ、私のクルマと一緒に走ってくんない?」

タクが質問に対しての肯定をすると、女性はそう言った。

「断る理由は有れへんな。丁度コッチもバトル相手に困っとったトコやし。

ワイは元山 卓也って言うモンや。気軽にタクって呼んでくれや。

――んで、そっちの名前とクルマは?」

「私は藤林 雫(ふじばやし しずく)。こっちも気軽に雫って呼んでくれて良いわ。クルマはアッチに停めてあるわ。」

藤林 雫と名乗った女性が指さす方向を、タクは見た。

そこには黄色にオールペンされた、NISSAN BNR33 GT-Rが停まっていた。

その33Rは、カーボン製のノーマル形状ボンネットとN1仕様ウィングプレートを装着していた。

「成る程な。速そうな雰囲気あるわ。……ん?」

タクは、雫の33Rのフロントウィンドウに小さく張られたステッカーを見逃さなかった。

「なぁ、あのクルマってドコかのデモカーなんか?」

「え?」

タクの意外な質問に、雫は一瞬固まってしまう。

「別にデモカーじゃないわ。まぁ、デモカー並みのスペックは在るけど。」

「そうかいな。ま、33Rキラいやもんな、アイツ。」

タクは小さく苦笑して呟いた。

「じゃ、そろそろ始めるか。」

「そうね。」

両者とも自分のマシンに乗り込んで、大黒PAを後にした。


 ・

 ・

 ・


パシッ、パシッ。


後ろを走る雫RがタクRに向かってパッシング。

「バトルスタートやなッ!」

一気にアクセルを踏み込むタク。軽くタイヤから白煙を出しながらタクRは急加速。

「ちょっ…、何馬力出てるのよッ!?」

タクRの加速力に驚きながら、雫もフルスロットルで加速して行く。



       BCNR33 GT-R V-spec(元山 卓也)


              ~V.S~


          BCNR33 GT-R(藤林 雫)


バトルBGM「Top-Flight Mechanics(湾岸ミッドナイト MAXIMUMTUNE3 参照)」

バトルコース「首都高 湾岸線上り」


※今回、両者のマシンが同じBCNR33 GT-Rの為、タクの33Rを‘タクR’、雫の33Rを‘雫R’と表記します。


「ん?(思ったよりもパワー無いんやな、あの33R。)」

タクはそんな事を思いながら、ブーストコントローラーのダイヤルを回して、ブーストを1,6kgから1,2kgへと下げる。

同時に、タクRの加速力が少し鈍くなる。スピードメーターの針は220km/h手前だ。

「アクセル抜くんもアレやしな。ブースト下げたら、相手とのマシンパワーが拮抗するし。

何より、E/gの負担が軽くなんのが良ぇよナ、首都高は阪神と比べてアクセルのON/OFFが激しいし。」

そんな事を呟いている間に、雫33RがタクRの真後ろに着く。

「コレからが本番やッ。」

タクはシフトを5速にチェンジ。タクRのマフラーから青白いアフターファイアが飛び出す。

一般車の間をキレイにスラロームして行く2台。

「ッ!!」

タクRが突如としてフルブレーキング。その理由は、タクの走行ラインに入ってきた、無灯火の黒いバイクだった。

「くッ…!(ライトくらい点けろやッ、このアホバイクッ!!)」

タクRのリアタイヤが一気にブレイク。スキール音と共に大量の白煙がタイヤから出る。

「…!…!」

ステアをこじり、バランスを崩した車体を立て直すタク。速度がガタ落ちとなったタクRの横を、悠々と雫Rがパスしてゆく。

シフトを5速から3速まで落とし、リアタイヤを空転させない様にアクセルを踏み込んでゆく。

「……。(大丈夫かしら…。)」

前を走る雫がそんな事を考えるが、バックミラーに映る光が体勢を立て直すのを見て、アクセルを更に踏み込む。
「チャンスだと思わないとね…!」
シフトを5速へとアップさせ、雫Rのスピードは更に上がってゆく。
チラリとE/gコンディションを表すメーター類に目をやる。ドレも正常値を指している。

少しブレーキをリリースしながら、一般車の間をキレイに抜けていく雫R。

だが、後方から物凄い勢いでタクRが雫Rに追いついてくる。

「速い…ッ。」

雫はスピードメーターに目をやる。今夜の湾岸は多少込んでいる為、メーターの針は280km/hより少し上を指している。

そんな雫Rに追いついてくるタクRは、この流れの中で300km/h級のスラロームをしている事になる。

「ロックオン完了や。バトルはココから本番やで!」

タクは車内で叫び、更にアクセルを踏み込んだ。


 続く


 

  首都高 C1内回り 某PA



ゴアッ!ゴアッ!ドッドッドッド……



バトルを終えた3台は、PA内へと入ってきた。

FDとアルテは隣同士に、インプはアルテと2台分のスペースを空けて停車した。

「ふぅ……。」

インプから降りた友也が軽く息を吐いて、自販機のコーナーへ向かい、FDとアルテの方を見る。

すると、アルテの車内からドライバーであるカナエが降りてくる。

「お、女の人だったのか……。」

取り出し口からスポーツドリンクを取り出しながら、友也はカナエの方を見ていた。

そして、更にFDの車内からもドライバーの萌が出てくる。

「うッ…、更に女の人――って言うより、女の子だよ…。」

友也は更に肩を落とし、トボトボとインプの方へと向かう。

「まさか女性に負けるとはなぁ……。」

友也はインプのボンネットを開けて、E/gにこもった熱を逃がす。

すると、後ろから声をかけられた。

「わ。キレイな造り込みですねー。」

「え?」

友也が後ろを振り向くと、そこには萌が居た。

「このインプレッサって、ドコかのデモカーなんですか?」

「あ…。いえ、違います…。」

「そうなんですか。でも、デモカー級のキレイさですよ、このインプレッサのE/gルーム。」

萌はE/gルームをくまなく見る。

「ハハハ…、ケッコー詳しいよね。」

「有難うございます。私、松山 萌って言います。よろしくです。」

萌が小さくペコリと頭を下げる。

「僕は上田 友也。よ、よろしく…。」

「? なんか顔が赤いですよ?」

萌が友也に近づいて、クリクリとした瞳で友也を見ながら小さく首をかしげる。

「あ…。いやぁ…。」

頭をポリポリと掻いていると、萌の携帯電話が鳴る。ディスプレイにはケンの名前が表記されている。
「もしもし?」
『おぅ。今ドコに居るよ? いまオマエのA70の調整が終わったから、持っていこうと思ってサ。』

「首都高の○×PAに居るよ。カナエさんと一緒で。」

『OK。20分くらいで着くから待っといてくれ。』

ケンは電話越しにそう告げると、電話越しからA70のE/g音が聞こえた。

「じゃぁ、よろしくぅ。」

そう言って、萌は電話を切る。

「それじゃ、私はココで。」

「じゃ。」

友也は萌に少し手で合図を送りながら、インプのナビシートに乗り込んで眠った。



――30分後


「んんー…、30分は眠れたか……。」

友也はナビシートのリクライニングを起こし、運転席へと戻ってインプのE/gを掛ける。

チラとFDとアルテが止まっていた所を見るが、流石にFDとアルテは居ない。

「さて…、出発するかぁ…。」

インプを動かし、友也はPAからコースへと出て行った。


 ・

 ・

 ・


――翌日、AM11:50 TGK裏ガレージ内


「コレはヒドいな……。」

竜が友也のインプを見て呟く。その隣には友也も居る。

インプのFバンパーからボディ後方に向かって、左側面に壁にこすった様な無数のキズ。

ソレに加え、Rバンパーは右側が思い切りヘコんでいて、ヘッドライトとテールランプは割れてGTウィングも左ステー部分を残したまま吹っ飛んでいる。

インプが何故こんな状態になっているのかと言えば、昨日のアルテ&FDとのバトル後のこと。

友也が1人でC1を走っている時に、道路の継ぎ目に乗ってしまいコントロール不能に陥りスピン。

右のリアを思い切り壁にぶつけ、その反動で左側の壁に車体をこすり付けながら停車した為だ。

「けど、お前に怪我が無くてホント良かったな…。」

竜が友也を見て言う。インプがこんな状態の割には、友也には少しの擦り傷のみだ。

「…直りますか?」

「直るけど、時間は掛かるな。少なくとも1週間チョイくらいは必要だな。」

「そう…ですか。」

肩を落として落ち込む友也。

「ま、インプが直るまで大人しく家でゆっくりしとけ。たまには息抜きも必要だからな。」

そう言って、竜は友也の肩をポンと叩くと、友也は代車のムーヴに乗ってTGKを後にした。

「だいぶ落ち込んでたわねぇ。」

友也がTGKを後にしたのちに、奈緒がガレージに入ってくる。

「ま、仕方ないだろ。自分のクルマ壊したら誰でもあーなるって。」

竜はそう言いながら、インプをリフトアップする。

「うわ…、ホイールヒットしてアライメント狂ってやがる…。」

「あらら…。完璧にあさっての方向ね。思ったよりも時間かかりそーね。」

「ま、何とかなるだろ。」

そう言って竜はリフトを下げた。


 ・

 ・

 ・


 同日、PM0:30 SPEED SHOP ケン専用ガレージ


ケン専用ガレージの中で私服姿の萌とケンが、黒いJZA70 SUPRA 2.5TwinTurbo-Rを前にして話していた。

「取り合えずブーストを1,2キロ掛けて…。まぁ、せいぜい400馬力ってトコか。」

「400馬力かぁ…。前の仕様よりパワー落ちてるけど?」

「お前なぁ…。前の500馬力ドッカンターボ仕様で事故りかけたの忘れたのか?

C1外回り汐留トンネル内でバランス崩して、右へ左へと蛇行しまくったろ。

あん時は周りに一般車が居なくて良かったけど、フツーなら大事故だぞ。」

ケンは少し棘を含んだ言い方で萌に言う。

「うっ…。で、でもさぁッ。あの時は前を走ってた兄さんが秘技☆バナナ落とし!とかいって、窓からバナナの皮を落としたのが原因でしょ!?」

萌の口からとんでもない言葉が出てくる。とゆーより、ふざけ過ぎにも程が有る。

バナナの皮を落とすとは、カートに乗ってレースをする某ゲームのドライバー達もビックリである。

「いや、ホントにバナナの皮でクルマが滑るとは思わなかったから……。あの時はちょっとした感動に包まれたぜ。」

最早とんでもない発言ばかりだ。一歩間違えれば、周りのクルマにも影響を与える危険な行為だ。

「まぁ、過去の話は置いといてと……。

とにかく、400馬力の暫定仕様で暫らく走ってくれ。その後で、チョイチョイ変えてくから。」

「はーい。」


 続く


――PM2:30 SPEED SHOP


「全くぅ、全然進んでないなぁ。」

SPEED SHOP内のケン専用ガレージの中で、不満たっぷりの声で萌が呟く。

「まぁまぁ。ケンさんも忙しいですよ、最近は。」

萌の横に居る、私服姿のカズが苦笑気味に話す。

「でも、A70が無かったら遊びにも行けないんですよぉ。」

目の前にある、フロントのタイヤやバンパーが無いA70を見て、萌は更に呟く。

すると、ツナギ姿のケンが萌に話しかけながら、ガレージ内に入ってくる。

「そろそろ帰れー。勉強しろー。料理は作るなー。」

「いまドサクサに紛れて、変な事いわなかった?」

「いや、別にィ。」

ケンはデスクの上に軍手を置き、椅子に座る。

「早く直してよぉ。走りに行きたいしさー。」

「じゃ、今夜にでもデモカーのFDで走って来てくれよ。データ取りしたいし。」

そういって、ケンは萌にFDのスペアキーを渡す。

「コースは…、何処でも良いや。とにかく頼んだぜ。」

「それは良いけど…、ちゃんと明日の夜までには直してよね。」

「解ってるって。後は微調整だけだから。」

「じゃ、ヨロシクね。」

萌はキーをポケットに直し、ガレージを後にする。

「じゃあ、俺もここらで。」

「おぅ。」

カズもガレージを出て、表に止めてあるSW20に乗り込む。

そのままE/gを掛け、ガレージを後にした。


 ・

 ・

 ・


 同日、PM12:30 C1内回り某PA


ヴオォアァァァ――……、ヴォアァッ!ヴォアァッ!ドッドッドッド………


PA内に、黄色のFDと銀色のアルテ、そして白色のSW20が入ってくる。

「C1じゃ速いわねー。」

「ま、C1最速って言われてる位だからな。」

カナエとカズが、各々のクルマから降りて話す。

その間に、萌はFDの車内でメモをとる。

「でも、萌ちゃんのFDも速かったわよね。」

「ああ。特に汐留のS字コーナーの攻め方には驚いたよ。

クルマが良いからかも知んねーケド、あそこまで綺麗に逆ドリフトって出来るモンなんだな。」

C1の中でも、攻略が難しいと言われている汐留S字コーナーを綺麗に抜けていくFD。

そんな姿が、まだカズの脳裏からは離れなかった。

「さてと…、俺は勝手に走ってくるからさ。後はごゆっくりー。」

カズはSW20に乗り込み、PAを出て行く。

その後、アルテとFDもPAを後にした。


 ・

 ・

 ・


 首都高 C1内回り


FDとアルテの2台がC1内回りを暫らく走行していると、後ろのアルテに1台のクルマが張り付いた。

すると、後ろのクルマがアルテに向かってパッシング。前に居たFDにアルテが合図を送る。

その後、アルテがハザードを点灯させてFDとアルテはフル加速。

「車種はインプレッサかぁ…。」

萌とカナエはバックミラーで後ろを確認する。後ろに居るのは青いインプレッサだった。

そのインプは、間違いなく友也のインプレッサだった。



    ALTEZZA RS-200(元山 加奈江) & FD-3S RX-7(松山 萌)


                  ~V.S~


       GDB-中期型 IMPREZA(上田 友也)



バトルBGM「Evil Association(湾岸ミッドナイト MAXIMUMTUNE3)」

バトルコース「首都高 C1内回り」



「悪いけど、手加減なんてしないわよ。」

シフトを3速にチェンジ。アルテがFDの前に出る。

「おっとっと。」
FDもシフトを3速へチェンジして、アルテの後ろに張り付く。

そして右コーナーに3台は差し掛かる。

アルテとFDはブレーキングと同時に、車体が流れる。
「おぉッ!?」
友也は少し叫び、インプはグリップでコーナーを抜ける。
立ち上がりでインプもシフトを3速へと入れて、後ろのFDのテールに張り付く。

そして、コーナーへの進入の際に、インプはFDのイン側に車体をねじ込ます。
そのままインからFDをパスし、コーナー立ち上がりでアルテに並びかける。

「ッ!」
アルテの前には一般車の姿。アルテはブレーキを踏み、FDを前に行かしてから車線を変更。

そのまま、アルテはFDのスリップに入る。
「ココ一番って時の為に、パワーを温存させるって戦法か…。」
バックミラーで後ろの動きを確認した友也が呟く。

3台は銀座エリアへと進入。橋桁シケインを綺麗に駆け抜けてゆく。

そして、銀座エリアを立ち上がった後、江戸橋JCT前の長い上りのストレートでカナエが仕掛けた。

FDのスリップを抜け、スクランブルブーストを発動させる。

すさまじい加速力で、FDとインプをオーバーテイク。

そのまま左の車線に入り、C1内回りへと再合流する。

急な左コーナーを抜け、本線に合流した瞬間に、カナエはアクセルをグッと開ける。

「おとと…。」

軽くホイールスピンを起こし、リアタイヤから白煙が吐き出される。

そして、軽くアウトへハラんだインプの横を、悠々とFDが駆け抜けてゆく。

FDも本線へと合流するとフル加速する。

「げぇ…!」
友也もアクセルを踏み込み、FDのテールへと喰らいつく。

シフトを3速にチェンジして、FDの横に並びかける。
そして4速へとシフトアップし、FDを抜いてアルテの後ろへと張り付く。
「ケッコー速いわね…、このインプ。」
カナエが車内で小さく呟く。
そして、左→右のS字コーナー進入の際に、インプが仕掛けた。

コーナー進入の際に、アウトへと車体を寄せたアルテのイン側に、インプがねじ込んでくる。
そこから2台は同時にフルブレーキング。

カナエはヒール&トゥでシフトを2速へと落とし、アルテのテールがスライドする。

一方、友也は3速にシフトダウンし、フロントタイヤをクリップさせたまま、アルテの鼻先を奪う。

「よしッ。」
インプに鼻先を奪われた事により、アルテはラインの自由度が減る。

そのままゆっくりと後退し、インプが前に出た後に、次のコーナーでアウトの進路を取るラインで立ち上がる。
そして、振り替えしの右コーナー進入で、今度はカナエが仕掛ける。

サイドブレーキを使用し、アルテの車体の向きが急激に変わる。
友也は、アルテがアウトから攻めて来ると予想していた為に、車体をアウトへと振っていた。

カナエはアウトから行くと見せ掛けて、ぽっこりとスペースの開いたイン側へと車体をねじ込ます。

「しまった…!」

友也が車内で小さく叫ぶ。

アルテがインプの前に出て、2台はコーナーを立ち上がった。
「うーん…、あのインプの人、意外と速いなぁ…。」

2台より少し離れた場所に居る、FDの車内で萌が呟く。

綺麗にS字コーナーをクリアして、徐々に2台に追いついてくる。

「あのFD…、抜かれてから徐々にペースが上がってる様な…。いや、気のせいか……。」

友也がバックミラーから視線を外し、目の前に居るアルテに向けた―――、その瞬間だった。

「ッ!?」

カナエが声にならない叫びを上げる。

アルテの前に居たガラの悪そうなバニングが、ウィンカーも無しにイキナリの車線変更。

「くッ!」

カナエはブレーキを脚力いっぱいに踏み込んでアルテを減速させようとするが、

バランスの崩れたアルテはスピンモードへと突入。

「ッ――!」

カナエはクラッチを繋いでシフトを2速へと入れる。

そして、車体が完全に進行方向に向いた瞬間、クラッチから足を離す。

クラッチミートで駆動力を取り戻したアルテは、白煙を上げながら元に戻る。

その横を、友也のインプが通り過ぎる。

「ふぅー…、助かった…。もう少し立て直すのが遅かったらアウトだったぁ……。」

カナエは小さく呟き、アルテを再び加速させる。

直ぐにシフトを3速へと入れて、インプを猛追する。

すると、かなりの勢いでアルテの横をFDが通過してゆく。

今まで後ろで大人しくしていた萌が、インプに猛チャージする。

「今度はこっちの番ッ。」

一気にインプとの差を詰めたFDは、インプのスリップへと入る。

そして、萌はFDのライトを消した。

「!? FDが消えた…?」

友也は反射的に、次のコーナーのイン側に車体を寄せてしまう。

…それが萌の狙いだった。

コーナー進入でFDをアウトへと振り、ライトをつける。

そのまま慣性ドリフトへとFDを持って行き、インプのノーズを奪う。

「よぉしッ!」

そのままアクセルワークでFDをコントロールし、FDはアウト側ギリギリを通過する。

だが、友也も負けじと4WDの利点を生かした立ち上がり加速でFDの横に並びかける。

パワーはインプのほうが明らかに上だが、FDの方がチューニングの完成度は高い。

FDはシフトを4速へとアップ。続いてインプもシフトアップする。

しかし、インプの方がブースト圧が高い為に、少しのターボラグが発生してしまう。

FDがインプよりも早いタイミングで地面を蹴って加速。インプの前へと完全に出た。

そして、インプは後続のアルテにもオーバーテイクを許してしまった。

「くっ……。ココまでか…ッ。」

友也は小さく叫び、ハザードをつけてインプを減速させる。

「ふぅ……。なんか最近、負けてばっかりだなぁ…、タハハ…。」

苦笑気味に呟いていると、前の2台がPAへと入ってゆく。

友也も2台に続き、PAへと入っていった。


 続く


――PM10:30 首都高 C1外回り沿いPA


ドッドッドッドッド………


C1沿いのPAに、SPEED SHOPのデモカーである筈の赤い34Rが停車している。

「ロードテストもコレで終了。なんとか次の企画に間に合ったな…。」

ふぃー、と一息ついて車外へと出るケン。

すると、34Rの横に銀色のアルテッツァが停車する。

「どもー、元気してましたかー?」

アルテの窓が開き、中からカナエがケンに挨拶をする。

「よっ、オレは元気元気。ソレより、最近は本業が忙しいらしいね。」

「そーなんですよ。お陰でアルテに乗れる時間が減っちゃって。」

「まぁ、そんだけ売れてるってコトだよ、きっと。

ソレと…、何で隣に萌まで乗ってんのかなぁ…?」

アルテのナビシートに座る、自分の妹を見る。

「いやー、たまたま途中で会っちゃって。私、A70を兄さんに預けっぱなしだから、アシが無かったから。」

カナエと萌が車内から降りてきて、ケンと話す。

その瞬間、PA内に居る男性ランナーが一気にアルテの方へと注目する。

まぁ、仕方ないといえば仕方が無いのだが。

「……、なーんか視線が痛いなぁ…。」

ケンが後ろを振り向く。そこには、視線をギラつかせた男性ランナーが十数人と居た。

その内の数人は、ケンを思いっきり睨んでいる。

「…さて、そんじゃオレは34Rで走ってくるよ。」

2人に告げ、ケンは34Rに乗り込む。

E/gは掛けっ放しだったので、アクセルを2回ほどあおる。

「じゃねー。」

軽くホイールスピンを起こしながら、34RはPAを飛び出してコースへと出た。


 ・

 ・

 ・


C1外回りからレインボーブリッジを経由して、34Rは湾岸線を9号方面へと上っていた。

「ん?」

トラックをパスする為に車線を右に振った瞬間、キラとバックミラーに光が映る。

現在、34Rのスピードメーターは200km/hより、やや上を指している。

ケンは少しアクセルを抜き、後ろのクルマが追い付いて来るのを待つ。

「この音はボクサーサウンド…、インプレッサか?」

バックミラーに映る光の動きと、微かに聞こえるE/g音から車種を割り出すケン。

そして、光が真後ろにまで迫ってくる。

「…ビンゴだ。中期形のブルー系インプ……、ブルーのインプ…?」

ケンの頭の上に、小さな?マークが現れる。

「まさか…、この前のインプか!?」

ケンは思わず車内で叫んだ。

完全なる確証は無いが、現にこのインプは34Rを見つけてから猛チャージしてきた。

「OK。この前とは戦況が違うぜ、インプレッサ。」

ケンはアクセルを踏み込むと同時に、シフトを4速へとチェンジ。

2,7L+シングルターボ化されたRB26が唸りを上げ、一気に赤いボディを引っ張っていく。

「っ!」

後ろのインプのドライバー、友也もインプをフル加速させた。


 

       BNR34 SKYLINE GT-R(松山 健悟)

          

           ~V,S~


      GDB‐中期型インプレッサ(上田 友也)



バトルBGM「In Your Dream(湾岸ミッドナイト MAXIMUMTUNE3)」

バトルコース「首都高 新環状線左回り」



「遅れんなヨ、インプの兄ちゃん。」
一般車の間を綺麗にスラロームして行く34R。

右へ左へと、34Rのテールランプの軌跡が移動する。
「くッ…。」
友也は負けじと34Rの後ろに食いつく。

そしてシフトは5速へとチェンジ。スピードメーターは、250km/hよりもやや下を指している。

「この前とは動きが全く違う……!」
34Rが前のまま、湾岸線から9号上り線を走りきって、江戸橋JCTを左に折れる。

2台はC1外回りへと合流し、コーナーを抜けてゆく。
「思ったよりも走り易いな…。じゃ、次は後ろだな。」
ケンが車内で小さく呟き、ブーストコントローラーのダイヤルをカチカチと回して、ブーストを1,4kgから1,0kgまで落とす。
それと同時に、シフトを3速へと落として右のウインカーを点灯させる。
「っ、前を走れってワケか…!」
友也のインプが34Rを追い抜き、右コーナーへと差し掛かる。

キッチリとしたブレーキングでインプの車速を落とし、友也はインプを曲げてゆく。

すると、ケンの目に1枚のステッカーが映った。

「TGK…か。」
高いスピードを保ったまま、34Rはドリフト状態でコーナーを抜ける。

インプのテールに張り付いたまま、2台は銀座エリアへと突入していく。

橋桁のシケイン。インプは次のコーナーでインを取れる右のレーン、34Rはアウト側になる左のレーン。

2台は同時にコーナーへと差し掛かる。

先にインプがブレーキング。その後に34Rのハードなブレーキング。

C.Pにピタリと付け、インプはグリップでコーナーへ進入。34Rは軽くテールを流す。

インプはグリップのまま通過。34Rはアウト側の側壁ギリギリを通過する。

「速い…っ!」

友也はバックミラーで34Rの動きを確認しながら、2台は銀座エリアを抜け、汐留トンネルへ。

そして、左コーナーへのブレーキング勝負でケンが仕掛けた。

「ワキが甘いぜ、インプの兄ちゃん。」

軽くブレーキをリリースしながら、34Rの走行ラインをアウト側からイン側へと変える。

アウトへと車体を振っているインプの左側に出来たスペースに、ケンは34Rをねじ込ます。

34Rに並ばれた事により、インプの走行ラインの自由度が減る。

スピードの落ちたインプの横を、34Rが悠々と駆け抜けてゆく。

「―――。」

友也はハザードを付け、ゆっくりとインプを減速させる。

バックミラー越しに、インプが離れてゆくのをケンは確認する。

「ハザードをつけて減速、自分の意思を持って道を譲る。

賢明な判断だな、インプレッサ。そうじゃないと、ココを走ることなんか出来っこない。」

ケンも34Rをゆっくりと減速させ、近くのランプから降りた。


 ・

 ・

 ・


「いらっしゃいませ――ッ。」

GS店員の指示で、ケンは34Rを停車させる。

「ハイオク30リッター、現金で。」

「解りました、ハイオク30リッター入りまァす。」

ケンは飲み物を買うために、自販機へと向かう。

すると、先程のインプレッサがGSに入ってくる。

「いらっしゃいませッ。」

「ハイオク20リッターで。」

「解りました、現金ですねッ。」

友也は、横に並んでいる赤い34Rを見る。

そして、友也も飲み物を買おうと自販機のほうへと寄る。

ドアを開けて待合室に入ると、声を掛けられた。

「こんばんわ――。TGKの人かな?」

「あ…。違います、ただの客です…。」

「そーだったの。ゴメンねぇ、ステッカーが張って有ったから、ついね。」

「いえ…、それより、あの赤い34Rの方ですか?」

友也はスポーツドリンクを片手に持ち、ケンに質問する。

「そ。SPEED SHOP代表の松山 健悟だ、ヨロシクね。」

「僕は上田 友也です、ヨロシク。」

2人は軽く挨拶を交わす。

「もうセッティングOKて感じですね。」

「残念だけど、今は微調整ってトコ。まだ完璧なセッティングじゃないし。」

「え…? アレから詰めれる余地が有るんですか?」

「ああ。150km/hから280km/h overまで一気に行くときに、若干の息継ぎが感じられるからな。

後は、ブレーキONで姿勢が前のめりに成らない様にするとか。」

「へぇ…。プロのチューナーさんは、そんなトコまで考えてるんですか…。」

「取り合えず、あの34Rはパワーがパワーだからな。そのパワーを受け止めれる足回りにしないと、逆に危険だしな。」

2人が雑談していると、店員が2人を呼びに来る。

「2台とも、ハイオク入りました――。」

2人は店員の指示で、各々のクルマへと乗り込む。

そして、GSの前でケンは左へ。友也は右へと曲がり、各自の家路に着いた。


 続く



 首都高 C1内回り


SW20が前のまま、2台は銀座エリアへと突入した。

「さてと…、そろそろ行かせてもらうぜ、インプレッサ!」

カズはシフトを3速に落とすと同時にフルブレーキング。

テールランプの赤い軌跡を残しながら、SW20はコーナーへと鋭く突っ込む。

「っ!」

その瞬間、友也はSW20の動きが変わった事を本能で悟った。

そして、友也も負けじとインプをコーナーに進入させ、SW20の後を追う。

しかし、既にSW20は橋桁のシケインを抜ける所だった。

シフトは3速のままで、SW20を見失わない様に友也はインプをドライブする。

そして、銀座エリアを抜けて長いストレートを上りきりる。

江戸橋JCTでカズはSW20を一番左の車線へと移動させる。

「(もう一度C1に行く気か…。)」

急な左コーナーを抜けて、2台は本線に合流する。

そして、カズは更にアクセルを踏み込み、SW20はペースアップ。

「よくココまで付いて来れたな、あのインプ。だけど、コレで決めるぜェ。」

カズはシフトを4速に上げる。SW20の姿はインプの視界から消えそうになる。

「ココからペースアップ!?」

友也は驚きの声を出し、アクセルを更に踏み込む。

しかし、その瞬間にインプのリアタイヤがブレイクし、リアのトラクションが抜ける。

「―――ッ!」

友也はステアをこじり、カウンターを当ながらインプのラインを修正するが、既にSW20の姿は無かった。

手の平にかいた汗をズボンで拭い、インプをゆっくりと減速させていく。

「ふぅ――…、やっぱりダメだったか……。ウデには自信が有ったんだけどな…。

自信をことごとく打ち砕かれた気分だ……、今度は同じ様には行かないからなぁ…。」

友也は近くの出口から、C1を降りた。


 ・

 ・

 ・


ヴォアァァァ――…、ヴォアァ!ヴォアァ!ドッドッドッド……


友也の青いインプレッサが、とある店の敷地内で停車する。

店の看板には、‘Tuning Garage Kurotake(TGK)’と書かれている。

「ふぅ…、何とか無事に帰って来れたな。」

停車したインプから友也は降りて、リアタイヤを見つめる。

「思ったよりもリアの負担が大きかったのか…。明日にでも交換しないと…。」

友也が呟いていると、後ろから声をかけられた。

「おい、店はもうとっくに終わってんだぞ。」

「あ…、竜さん。」

友也に声をかけた男性――黒竹 竜(くろたけ りゅう)は、この店のオーナーである。

「誰と走ってたんだ? リアこんなにスリ減らして。」

「SPEED SHOPのステッカーを貼ってる、白いSW20です。」

「あぁ、成る程な。そりゃ格が違うってもんよ。」

何かを思い出した様に竜は友也に言う。

「知ってるんですか、そのSW20?」
「まぁな。前にツルんで走ってた人の内の1人だよ。そりゃ、こんだけタイヤ磨り減る筈だよな。」
竜はインプのリアタイヤを見ながら言った。

「何にせよ、もう店は終わりだ。コレから門シメるから、早く出て行けっての。」

「了解です。明日、ココに来ますよ。」

「おう、そんじゃぁな。」

友也はインプに乗り込み、TGKを後にした。

インプが敷地内から出て行ったことを確認し、竜は門を閉めた。


 ・

 ・

 ・


――同日、AM2:40 首都高 C1内回り


「ふぅー…。取り合えず、こんなモンかな。」

深夜のC1内回りを、ケンがSPEED SHOPのデモカーである、赤色の34Rでゆっくりと走行していた。

「一通りの作業は終わったし……、ちょっとトバすかナ。」

ケンは少しだけ、アクセルを踏み込む右足に力を込める。

すると、34Rの後方から1台のクルマが迫ってくる。

「?」

ゆっくりとアクセルから足を離し、後ろの車が追いついて来るのを待つ。

「……。(4WDっぽい動きだナ。)」

バックミラーに映るヘッドランプの光の動きを見て、ケンはアクセルを少し踏み足す。

そして、後ろのクルマが34Rに追いついてくる。

「やっぱり4WDだったか。しかし、下手なドライブだなァ…。」

34Rに張り付いたクルマは、白色のエボ8だった。しかし、少し動きがぎこちない。

すると、エボ8は34Rに向かってパッシングを行う。

「ったく…、お前なんか相手しても、コッチは楽しくないんだよね。

行くんなら、さっさと行けよ。」

ケンは34Rを隣の車線に移して、エボ8を前に行かす。

そのままエボ8は34Rの視界から居なくなった。

「…、なんか眠たくなって来たなぁ…。そろそろ帰るか…。」

ケンは34Rを近くの出口からC1から降ろした。






――翌日、AM11:20 TGK 3番ガレージ内


3番ガレージのリフトに、友也のインプが載っていた。

「取り合えず足回りは大丈夫だな……。タイヤ交換だけOKか。」

竜がインプのシャーシ裏を見ていると、友也がガレージに入ってくる。

「どうですか、インプは?」

「あぁ、別に何とも無いな。リアタイヤの交換だけで十分だ。」
リフトを下げ、インプを地上に降ろす。

「工具貸してやっからさ。自分で交換しとけよ。」
「はい。」

竜に工具が入っているボックスの鍵を渡し、他のガレージへと移動する竜。

すると、そこにスタッフの1人が歩み寄ってくる。

「社長ォ、山木サンのエボと神田サンのFCどーします?」

「任せる。お前らが責任持ってO/Hしとけ。」

「あ、それとロビーにお客さんですよ。」

「客…? その人のクルマは?」

「確かァ…、白いSW20でしたね。ゴツめのフルエアロの。」

スタッフから客のクルマを聞くと、竜は急ぎ足でロビーへと向かう。



竜がロビーに来ると、見慣れた人物がそこに居た。

「カズ……! うわ、久しぶりだなぁ。」

「やぁ、コッチこそね。久しぶり。」

2人は少し挨拶を交わす。

「ソレはそうと、ケッコー繁盛してるよな。もうTGKサンは儲かってしょうが無いでしょー。」

「いやいや、コレが意外と大変なんだよ。もっとボロいもんかと思ってたんだけどねェ。」

2人は何気ない会話を交わしながら、竜の案内で工場内へと歩んでゆく。

「それより竜は最近、走りに出てる? ココ最近は全然見かけないんだけど。」

「ハハハ。実はね、降りちゃったんだよ。ショップが忙しくなってさァ。」

「そーなの? じゃ、あのインプは?」

「近所の知り合いに売ったんだよ。ソイツも首都高走ってたから良いかな、とか思ってさ。」

竜は苦笑交じりに話しながら、友也の居る3番ガレージへと移動する。

カズは、タイヤ交換をしている友也と、友也が触っているインプが目に映った。

すると友也もカズの視線に気づき、カズの方を見る。そして、両者の目が合う。

「昨日、一緒に走ったインプのドライバーさんかな。」

「そーです。昨日は負けましたけど、今度は勝ちに行きますから。」

「ハハハ、今度は手ぇ抜かずに走っちゃうぜ? 俺は今村 和也だ。気軽にカズって呼んでくれて良いよ。」

「僕は上田 友也です。ヨロシク。」

挨拶を済ますと、友也はインプレッサをジャッキから下ろす。

「そー言えば、このインプ…。リセッティングしてるよね?」

「リセッティング…? いや、竜さんに譲って貰った時のままですけど。」

カズはゆっくりと竜を見る。

「大丈夫だって。渡すときにデチューンしてあっから。」

「ま、そーじゃないと無理だよな。あのセッテでC1走るなんて。そんなコト出来るのは、ケンさんくらいだし。」

「奈緒もちゃんと走れるけどな。」

苦笑気味にカズと竜が話す。

「私がどうかした?」

「うわっ!?」

竜が驚いた声を出して後ろを振り返る。其処には、今さっきまで話していた、黒竹 奈緒(くろたけ なお)が居た。

「久しぶり、カズ君。カナエちゃんは元気でやってる?」

「元気元気。今はタレント活動を頑張ってるよ。」

カズは奈緒にそう言いながら、時計を見て驚く。

「ヤベ! 今日の昼から新製品のチェックだったんだ! そんじゃ!」

「おーう。またな。」

竜・奈緒・友也に見送られながら、カズはTGKを後にした。


 続く