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ダンサーであり、振付家であり、ボディコンディショニングの講師でもあるinoのブログです。

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 ひと昔前まで、人間は手と足と知恵を使って物を作り出していた。言葉にも「身になる」「身に着く」「身軽」「身をやつす」など、身体に関連した慣用句がたくさんある。

 

でも今私たちは、すべてが簡略化、効率化する暮らしの中で、どんどん自分の身体を使わなくなっている。手間のかかる家事を他人に発注し、メンテナンスの面倒なものは使い捨て、ネット空間で楽しんで、電子マネーで支払い。思考とスピードを重視する世界で、身体をあまり使う必要はない。大げさに言えば、人間そのものがAI化されている。

 

最近私が気になることのひとつに、「若い人の輪郭がぼやけてきている」というのがある。太っているとかやせているとかではなくて、肉感がぼよーんとして、空間に対して身体がなじみすぎている印象なのだ。ただ有酸素運動をしている、ダイエットで体型はキープしている、ではダメなのだ。身体を使って生きていない。

本来人間は、自然に抗って生きていくことで、自分たちの身体を作ってきたのだと思う。

田中泯という踊り手は、農村に移り住み、農作業をしながら、表現する自分の身体を構築していった。

 

まあだけど、ここまで機械化、外部化が進んでくると、また身体の重要性に気づき始めた人もいるだろう。自分の身体をちゃんと理解して、それこそ「身に着けて」行ってほしいなと思う。