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ダンサーであり、振付家であり、ボディコンディショニングの講師でもあるinoのブログです。

今日はちょっと、指導者よしことして書いてみようと思う。こんな私にも「教えてみませんか」と声がかかり、「クラスを持ちませんか」とお誘いがあり、今までにいくつかのスポーツクラブやバレエスクールで、レッスンする機会をいただいてきた。実にいろんな人が来て、たくさんの出会いがあった。

特に印象に残っているのが、ある時期東京で教えていた時の3人。

 

A子さんは位置取りが絶妙で、混みあったクラスでも、いつも決して他人の邪魔にならない場所に、すっと静かに存在していた。周りへの気配りも自然で、全く押しつけがましくない。ある時彼女の仕事が、舞台の大道具さんだと知って、すごく合点がいった。全体を見渡しながら、どう動くべきか、何に気をつけなくてはいけないか。常に考えて、行動してきた人だったのだ。洞察力がずば抜けている。

 

B子さんは、何気なく使う言葉の選び方に何とも言えないセンスを感じさせる人だった。レッスンで私の発した言葉を、一度自分の感覚のフィルタを通して確認し、それを口にする。私自身が、彼女のその言葉を聞くことで、「ああそうなのか、私が言いたかったのはそういうことだったのか」と教えられ、納得することも多かった。独自の感性がある人として忘れられない。

 

C美さんは、質問の角度というか、解釈の仕方が面白かった。「それはこういうことですか?」と思わぬ方向から聞いてくる。「もし私が木だったとして、幹は下に根を張るんじゃなくて、上へ上へ伸びていき、腕はどこまでも横に伸びていこうとする枝?」よく覚えてないけど、例えばこんな調子。わからないことを自分の知っている何かに置き換えて考える、論理的思考の持ち主と言えるのかもしれない。

 

洞察力、感性、論理的思考。この3つは体を作っていく時にとても大切なもの。得た知識を自分の体に落とし込んでいくときの力になる。全部でなくて構わないので、どれかひとつは持っていてほしいな、と思う。

それを全否定はできないけれど、ただきれいな衣装で舞台に立ちたい、というモチベーションだけでは、なかなか進歩は難しいのだ。