鈴木常吉(すずきつねきち/旧芸名:鈴木常之/1954年11月24日~2020年7月6日)は、日本のミュージシャン、俳優。

 

 

 

1954年11月24日、東京都足立区北千住生まれ。

 

1980年代、栃木県足利市にて結成されたバンド「セメントミキサーズ」に「鈴木常之」名義で参加。初期ラインナップは、鈴木常之(すずき つねゆき/Vo,G)、茂木功(もてぎ いさお/Vo,G)、増田俊行(ますだ としゆき/B)、松村孝之(まつむら たかゆき/Perc)、斎藤泰男(さいとう やすお/Tp)、姫野雅彦(ひめの まさひこ/Ds)。

 

 

1989年5月27日放送のTBS系の音楽番組『平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国』(通称『イカ天』)にセメントミキサーズが出場。ヴォーカル兼ギターの鈴木常之(当時35歳)とベースの増田俊行(当時18歳)の年齢が17も離れていたため、「35歳のおじさんが18歳の子どもをだまして誘い、結成した」という旨の発言をメンバーがしたことから「子供だましバンド」の通称を獲得するなど大いに受けた。そして“ヒ・メ・ジ”を演奏した結果、この回のチャレンジャー賞を獲得し6代目イカ天キング「JITTERIN'JINN」に挑戦、見事これを下して7代目イカ天キングの栄冠に輝く。

6月3日の放送回で、“東京ラッシャイ”を演奏、2週連続勝ち抜きを果たす。

※番組のテロップで鈴木のパートが「Vo.B」となっているが多分番組側の間違い。

 

6月10日放送回で、“真っ赤な夕陽が燃えている”を演奏、荒い演奏で人気があり、3週勝ち抜きを達成。

6月17日の放送にて、“山田一郎 四二才”を演奏し4回目の勝ち抜きを目指すも、挑戦者「突撃ダンスホール」に敗れる。この時期は番組内のダイジェストコーナーで「イカ天戦国時代」と称されている。

年末、ドラムスの姫野雅彦が脱退、後任ドラマーは佐藤揚彦(さとう あきひこ)。


1990年、メジャーデビュー前、斎藤泰男がバンドから脱退。

10月21日、セメントミキサーズとして1stアルバム『笑う身体』をNECアベニューから発売し、メジャー・デビュー。収録曲は、“どのつらさげて”(作詞:鈴木常之/作曲:茂木功)、“真っ赤な夕陽が燃えている”(作詞・曲:長谷川集平)、“東京ラッシャイ”(作詞:鈴木常之/作曲:茂木功)、“鉄の尻”(作詞:スズキコージ/作曲:茂木功)、“今日も怠けの雨が降る”(作詞:鈴木常之/作曲:茂木功)、“ヒ・メ・ジ”(作詞:長谷川集平/作曲:茂木功)、“虫”(作詞・曲:茂木功)、“洲崎パラダイス”(作詞:鈴木常之/作曲:茂木功)、“のんきな父さん”(作詞:鈴木常之/作曲:茂木功)、“もう一杯”(作詞・曲:長谷川集平)、“山のディスコ”(作詞:鈴木常之/作曲:茂木功)、“夜空”(作詞・曲:鈴木常之)、“A Night On Earth”(作詞・曲:Carl Finch)の全13曲。

 

 

なお、『イカ天』内で演奏された楽曲のうち“真っ赤な夕陽が燃えている”が、マレーシアの張少林によって“見人講鬼話”のタイトルで客家語によりカヴァーされ、同国において中国系住民を中心に人気曲となっている。

 

 

1991年7月21日、セメントミキサーズの1stシングル“それがどうした!!”/“きりがない”を発売。ゲスト・コーラスに手塚治虫の実娘:手塚るみ子が参加していた。“それがどうした!!”は、「グリコ」、「JOBTIME」のCMソングに起用され、メンバーの鈴木、茂木もCMに出演していた。また、カップリングの“きりがない”は日本テレビ『マジカル頭脳パワー!!』の初代エンディングテーマとして、1990年10月27日~1991年3月30日に使用された。

 

 

だが、このシングル・リリースを最後にバンドは活動を徐々に縮小していき、結局セメントミキサーズは解散した。

同年、鈴木常之は「鈴木常吉」に名前を変え、上野茂都、桑畑繭太郎らと超個性派音曲集団「つれれこ社中」を結成。バンドのパートは、うたと三味線、アコーディオン、マンドリンにラッパという珍しい編成だった。鈴木はヴォーカル&アコーディオンを担当。

伝説のテレビ番組『新橋ミュージックホール』では、忌野清志郎&つれれこ社中で“トランジスタ・ラジオ”を披露したこともある。

※映像は、忌野清志郎、ユウスケ・サンタマリア&つれれこ社中の共演で“雨上がりの夜空に”。

 

 

1997年2月16日、つれれこ社中のアルバム『雲』をリリース。高田渡、早川義夫、忌野清志郎らに絶賛される。収録曲は、1. 肉屋 2. 田家春望 3. 炊事節 4. ツレレコ節 5. はいこう 6. 鉛の兵隊 7. 藪 8. トリちゃんの夢 9. 私は笑った事がない 10. 日々草の唄 11. 去年の雪 12. 鰻と梅干 13. 煮込みワルツ 14. 新大漁節。参加ミュージシャンは、鈴木常吉(Vo,ac.G)、上野茂都(Vo,三味線)、桑畑繭太郎(mln.Perc)、関島岳郎(Tuba,Tp)、中尾勘二(kl.as)、高橋鮎生(bouzouki)、今井章信(G)、吉野弘志(B)、久下惠生(Ds)。

 

 

 

2000年、つれれこ社中が活動休止。

 

 

2006年10月29日、鈴木常吉は初ソロ作『ぜいご』をリリース。収録曲“思ひで”(作詞:鈴木常吉/作曲:アイルランド民謡)の原曲はアイルランドの旧いトラッドソングで“pretty girl milking her cow”(Callín Deas Cruíte na mBó)。アルバムのライナーノーツでは三上寛が解説文を書いている。

 

 

 

 

 


2009年10月10日~12月12日(MBS)/10月15日~12月17日(TBS)、MBS/TBSのテレビドラマ『深夜食堂』(原作:安倍夜郎/主演:小林 薫)で 『ぜいご』 収録の“思ひ出”がオープニング曲として使われ、大きな反響、話題を呼んだ。また、『ぜいご』からは“お茶碗”、“疫病の神”、“石”、“父のワルツ”等も使われた。2011年10~12月に第2部『深夜食堂 2』が、2014年10~12月に第三部『深夜食堂 3』がそれぞれ地上波にて放送、オープニングに“思ひで”が使用された。また、2015年1月31日に映画版『深夜食堂』が、2016年11月5日に第二弾映画『続・深夜食堂』が公開された。

 

 

2010年10月24日、鈴木が2ndソロ・アルバム『望郷』を発売。

 

10月26日、『ぜいご』が再販される。

 

 

2012年以降は台湾、韓国、中国などでの公演も精力的に行う。

 

 

2014年、シングル“雨”、DVD『浮ぶ海峡』をリリース。

 

 

2016年9月17日、佐藤泰志の同名小説(『黄金の服』所収/小学館刊)を原作とし、 山下敦弘が監督を務めた映画『オーバー・フェンス』が公開。鈴木は「勝間田憲一」役で出演、俳優にも活動の場を広げる。主演はオダギリジョー。

11月2日、コンピレーション・アルバム『深夜食堂のうた』が発売、鈴木の『ぜいご』から“思ひで”、 “石”、“藪”を収録。

 

 

2019年1月18日に公開された映画『夜明け』に、木工所の従業員「米山源太」役で出演。脚本は広瀬奈々子で、本作が監督デビュー作でもある。主演は柳楽優弥。


 

 

 

2020年7月6日、鈴木常吉こと鈴木常之が以前から患っていた食道癌のため死去。

65歳没。

 

 

 

 

2020年11月29日、鈴木常吉『オールウェイズラッキー』が、しゃぼん玉レコードからリリース。生前最後となった2019年8月19日のライヴ音源に加え、未発表曲“Long distance a lullaby”、映画『つつんで、ひらいて』のエンディング曲“小石と靴下”の全17曲を収録した鈴木常吉の3枚目となるアルバム。当初は鈴木の誕生日である11月24日に発売が予定されていたが、11月29日に延期されリリースされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(参照)

Wikipedia「セメントミキサーズ」

https://natalie.mu/music/news/389292

 

 

(関連記事)