ゴンザレス三上(本名:三上 雅彦[みかみ まさひこ]/1953年12月30日~)は、日本のギタリスト、作曲家、編曲家。アコースティック・ギター・デュオ「ゴンチチ」のメンバー。

 

 

 

1953年12月30日、三上雅彦は大阪府で生まれ、現在も大阪を拠点に活動する。

 

幼稚園に通っている頃、お昼時に園で流れた、ルロイ・アンダーソン(Leroy Anderson/1908年6月29日-1975年5月18日)の『シンコペイテッド・クロック』(The Syncopated Clock)に衝撃を受け、食べかけのウィンナーを落とし、曲が終わるまでお弁当がのどを通らなかったという。これが音楽へ目覚めたきっかけだった。

小学校5年生の時、三上はギターを弾き始めた。きっかけは、ギター演奏のうまい友人に教えてもらったことだった。以来、およそ半世紀のキャリアを持つ。


1978年、三上は就職を前にして喫茶店でギター教室を開き、自宅でギターの多重録音をしていた。そんな頃、喫茶店のマスターに、ライヴハウスでフォークシンガーをしていた松村正秀(1954年9月6日 -/大阪府出身)のデモテープを聴かされた。

ある日喫茶店に出入りしていた共通の友達が、三上を松村の家に連れて行く。その際に二人でギターを弾いたところ非常に相性が良く、意気投合する。この時に弾いた曲が後年アルバム『Black Ant's Life』に収録された“My Favourite Things”だった。なお、三上にギターを習っていて二人を引き合わせたのが、後にマネージャーとなる佐脇章太である。

その後、大阪ガスで社員としてガス点検の仕事をしながら音楽活動を続ける松村の誘いでステージに上がり、二人でギターを弾くようになり、「ゴンチチ」(GONTITI)を結成した。松村が「チチ松村」、三上が「ゴンザレス三上」と名乗り始めたのもかなり初期である。三上の名前の由来は、女子プロレスラー「ローラ・ゴンザレス」から。強そうな語感でつけたとのこと。

 

三上も松村も、ゴンチチとしての活動を続けながら各々就業、三上は電電公社の総務担当として関東と関西を往来、松村は大阪ガス社員を経て、画材店に営業マンとして勤務。長らくサラリーマンとしての仕事を持つ「兼業ミュージシャン」だった。三上は1990年代の前半まで、サントリーホールやハワイのワイキキでコンサートを行って評判になっていた頃も、平日は普通に会社勤めをしていた程である。両名ともサラリーマンとの兼業時代は「さほど苦痛ではなく、かえってメリハリがつき、音楽活動の際のテンションが上がってよかった」と回想している。

 

 

1983年7月25日、1stアルバム『ANOTHER MOOD』をポリスターから発売してゴンチチがメジャー・デビュー。日本人によるポップなギター・デュオの元祖となる。

 

デビュー作『ANOTHER MOOD』をレコーディングする際、予算が無いという事で、安く借りられた松下電器のスタジオで、当時、日本に2台しかなかった最先端デジタルシンセサイザー・サンプラー「フェアライトCMI」をたまたま発見し、ギター以外の演奏に充てた。この偶然により、時代に先駆けアコースティック・ギターとデジタル・サウンドの組合せというゴンチチの大きな特徴が生まれた。この時フェアライトCMIの打ち込みを担当したのは松浦雅也(まつうら まさや/1961年6月16日~)であり、以降もゴンチチと松浦との協力関係は1992年まで続いた。

ゴンチチで定位置は向かって左の川上は、ナイロン弦ギター(クラシックギター、ガットギター)によるリードギターを担当し、ピックを使ってダイナミックに弾き、また12弦ギターやソプラノギター、6弦ウクレレなども使用する。対する松村向かって右にポジションを取り、スティール・ギター(フォークギター)によるサイドギターをフィンガー・ピッキングで演奏する。

 

 

1984年、EPIC・ソニーに移籍する。7月1日、移籍第一弾となる2ndアルバム『脇役であるとも知らずに』を発売。

 

 

1985年2月22日、3rdアルバム『PHYSICS』を発売、帯のコピーは「目覚めた朝の水上音楽 眠れぬ夜の陸上音楽」だった。

10月21日、リミックス3曲入り12インチシングル“チョコレート粉砕工場”を発売。

 

 

1986年4月21日、4thアルバム『SUNDAY MARKET』を発売、帯のコピー「真実は視覚の彼方、音楽は聴覚の彼方」。また、シングル“ココナッツ・バスケット”を同時発売、カップリング曲“ガラスの魚”。

 

11月1日、5thアルバム『冬の日本人』を発売。

 

 

1987年7月22日、6thアルバム『マダムQの遺産』を発売。また、シングル“大陸風に向かって”を同時発売、カップリング曲“貧しい王家”。

 


1988年5月30日、コンピレーション・アルバム『Yellow Tornade』が西ドイツ(現:ドイツ)で発売された。
6月22日、8cmCDミニアルバム『Twinkle Garden』を発売、収録曲は、 1.“アンダーソンの庭”、2.“WATCHDOG IN THE AFTERNOON”、3.“大陸風に向かって”、4.“帰ってきた息子”、5.“クルトが街を行く”。

 

7月21日、アルバム『In the Garden』を発売。

同年、『Sunday Market』がアメリカでリリースされる。以降、

7月21日、『In the Garden』を発売、“Abel”、“HOMEMADE GRIEF”、“BANDIT IN THE MIDNIGHT”を収録。 

 

『Devonian Boys』が続けて発売され、人気を博す。海外販売されたアルバムが日本に逆輸入されて販売されるという現象も見られたが、『KIT』以降はアメリカでのリリースはストップする。「担当者が替わったため」だという。

 

 

1989年5月21日、ベスト・アルバム2枚、『Sprit of Gontiti』と『Body of Gontiti』を発売。『Sprit of Gontiti』が“Bird and Cat”、“マイル君とパプ谷のクリマロ君”、“Noon Flight”等を、『Body of Gontiti』が“STRIKE COMMITTEE”、“NDD (Night Dizzy Dance)”等を、それぞれ収録。

 

 

1990年3月21日、シングル“Tiny Lips”を発売、カップリング曲“Home Song”。

 

4月21日、アルバム『Devonian Boys』を発売。
6月21日、アルバム『ANOTHER MOOD + 脇役であるとも知らずに』を発売。当時既に廃盤であった『ANOTHER MOOD』と『脇役であるとも知らずに』を一緒にCD化。また、シングル“風の国”を同時発売、収録曲は“風の国 remix version”、“Tiny Lips extended version”。

 

12月1日、クリスマス・ミニ・アルバム『Fingering Christmas』を発売、

 

 

1991年6月1日、シングル“Cool Comedy”を発売、カップリングは“at B.W.Garden”。

 

6月21日、アルバム『KIT』を発売。

11月2日公開の竹中直人初監督映画『無能の人』の音楽を担当。携わったきっかけは、以前からゴンチチのファンであった竹中に依頼されたことから。ゴンチチは本映画により、日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した。以来、映画をはじめテレビドラマやアニメ、ドキュメンタリーなどの劇伴を数多く担当する。特に是枝裕和監督作品のサウンドトラックは3作品を数える。

 


1992年6月21日、シングル“漁夫の利”を発売、カップリングは“窓辺の三月”、“もうひとつの漁夫の利”を収録。

 

7月22日、アルバム『Gravity Loves Time』を発売。本作をもって、デビュー時からフェアライトCMIの打ち込みやアレンジを担当してきた松浦雅也とのコラボレートは最後となった。


1993年6月2日、テレビドラマ『日曜はダメよ』のサントラ盤を発売。

9月22日、音楽を担当した映画『ぼのぼの』のサントラ盤を発売。

11月1日、ゴンザレス三上はソロ・アルバム『gate of notion』を発売。ゲストとして小川美潮、かの香織等を迎えた。

 

 

1994年7月21日、ベスト・アルバム『VACANCES』を発売。

 

 

1995年6月21日、シングル“北海道は、どこにある?ここにある!”(v.寺本りえ子)を発売、カップリングは“10イヤーズ・アフター”。

 

9月1日、アルバム『Black Ant's Life』を発売、“My Favourite Things”を収録。また、シングル“はじめてのシャンプー”(v.ササラユキエ)を同時発売、カップリングは“口笛ふいて”(v.太田裕美)。

 

 

 

 

1996年7月1日、初のライヴ・アルバム『LIVE』を発売。また、同時発売で、シングル“Somewhere Before”を発売、収録曲は、“RAY OF HOPE”、“HAPPY SHOWER”、“SOMEWHERE BEFORE”。

11月1日、アルバム『EASY BUSY』を発売。“放課後の音楽室”、“Makai Bossa”、“Share the Moonlight”を収録。

 

 

 

1997年6月21日、NHK BS2 ドキュメンタリー『世界悠々父なる大河、ライン』の音楽を担当。

7月21日、アルバム『DUO』を発馬。“Flow”、“見知らぬ人”、“zephyrus”を収録。 

 


1998年1月31日、OVA『ヨコハマ買い出し紀行』が発売、オープニングテーマ“Cafe Alpha”とエンディングテーマ“閉店時間”の作曲と演奏、挿入歌の“遠い町”と“風が吹いていた”(ともに作詞・曲:GONTITI/歌:アルファ[椎名へきる]) を楽曲提供。

 

 

7月18日、アルバム『Strings with Gontiti』を発売。“水辺の人々”、“Days of Wall”、“Foggy Valley”を収録。

 

 

1999年7月23日、アルバム『Red Box』を発売。

 

 

2000年4月19日、ベスト・アルバム『Best of Gontiti Works』を発売。

 

 

2001年3月14日、ポニーキャニオン移籍第一弾アルバム『GUITARS』を発売。
7月4日、ベスト・アルバム『南国音楽 Resort Music Series』を発売。“Canal Tune”、“Birth of Sigh”、“修学旅行夜行列車”を収録。 

 

 

 

2002年5月15日、CGアニメ映画『ぼのぼの クモモの木のこと』のサントラ『made in Ukulele』を発売。オリジナル曲が追加されている。
8月21日、ベスト・アルバム『gontiti best』を発売。

10月23日、『ヨコハマ買い出し紀行 ベスト・サウンドトラックス』が発売。

同年、ベスト・アルバム『Best of Gontiti WORKS』を発売。

これを最後にエピックから離脱。

同年、ポニーキャニオンに移籍。

12月4日、アルバム『A Magic Wand of "Standards』を発売。

同年公開の映画『ぼのぼの クモモの木のこと』の音楽を担当した。

 

 

その後も、『image』シリーズや、そのライヴである「live image」に参加し「癒し系」としての人気を高め、「Gontiti recommends」シリーズCDをリリース、

また、原田知世、松下奈緒、渡辺美里、菅原洋一らのアルバム制作に参加、その他執筆活動など様々に積極的な活動を続けている。

なお、ゴンチチの楽曲“放課後の音楽室”は、高校の音楽教科書『音楽2』に掲載されている。

 

 

2003年7月30日、2枚組ベスト・アルバム『Gontiti Recommends Gontiti』を発売。“Leave from the Airport”、“Ducky Hip”、“大陸風に向って”を収録。

 

12月17日、アルバム『gontiti 25th Anniversary CD』を発売、結成25周年記念盤。無観客ライヴ収録。

 

 

2004年8月4日、是枝裕和監督映画『誰も知らない』サウンドトラック盤を発売。

12月1日、アルバム『XO』を発売。“ping-pong-song”、“朝のめざめ”、“Land At ALOHA (IPO IPO)”を収録。 

 

 

 

2005年7月29日、テレビドラマ『おとなの夏休み』サントラ盤を発売。

 

 

2006年3月1日、アルバム『我流一筋』を発売。“忘我の調べ”、“夕空暮色”、“オウムガイの漂流”を収録。

 

 

 

 

 

2007年3月21日、ベスト・アルバム『gontitiスーパーベスト2001-2006』を発売。“My Favorite Things(LIVE ver.)”、“A Whole New World”を収録。 

 

4月4日、ゴンザレス三上のソロ・アルバム『green shadow,white door』を発売。ゲストとして、吉田美奈子(vo)、宮本文昭(オーボエ)、中島ノブユキ(Pf)、遊佐未森(ポエトリーリーディング)、羽毛田丈史(編曲,Pf)、津上研太(Sax)、LOVEHOLIC(ポエトリーリーディング)、naomi & goro(Cho)、一本茂樹(B)等を迎えた。
12月26日、ネット配信限定盤『Online Limited 1』をリリース。

 

 

2008年6月11日、是枝裕和監督映画『歩いても 歩いても』サントラ盤を発売。

 

 

8月6日、結成30周年記念盤『VSOD』を発売。Epic復帰作品。

 

 

2009年4月22日、ネット配信限定盤第二弾『LIVE At Shirakawa Hall '09 (Online Limited 2)』をリリース。

 


2010年、ゴンザレス三上はゴンチチの活動の傍ら、パーカッション奏者の辻コースケとのユニット「Smoked Salmon Railway Machine」を結成。同年、アルバム『SEIZA』をリリースした他、年に1、2回程度のライヴ活動を行っている。

 

11月24日、クリスマス・アルバム『Merry Christmas with GONTITI~best selection of christmas songs~』を発売、ミニ・アルバムを含めるとクリスマスアルバムとして2枚目、フルアルバムとしては初。“The Christmas Song”、“Silent Night (きよしこの夜)”、“Have yourself a merry little Christmas”を収録。

 

 

2011年頃、エピックに復帰。

2011年8月10日、10年ぶりのギター・デュオ・アルバム『humble music』を発売。“船乗りとタコの友情”、“帰り道は君と一緒”、“氷と水のワルツ”を収録。 

 

 

 

2012年12月19日、テレビドラマ『ゴーイング マイ ホーム』のサントラ盤を配信リリース。

 

 

2013年6月12日、映画『俺はまだ本気出してないだけ』のサントラ盤『俺はまだ本気出してないだけ 本気音楽集』を発売。“なんとなく大丈夫かもしれない(空気)”、“どうしようもない事のくり返し”、“何してんだ俺は”を収録。

 

 

2014年9月17日、二人の還暦を記念して作られた、全てのキャリアを通したベスト・アルバム『オールタイム・ベスト』を発売。“10years after”、“月の舟”、“あの夏の少女達”等を収録。

 

9月17日、ゴンチチが手がけた是枝裕和監督作品のサウンドトラック集『“GONTITI SINGS KOREEDA”ゴンチチ「是枝フィルム」作品集』を発売。3作品を1枚に収録。

 

 

2015年9月9日、アルバム『ダブル還暦フェスティバル2014』を発売。



2016年には、天野こずえ原作のテレビアニメ『あまんちゅ!』の劇中音楽を担当。

 

8月24日、テレビアニメ『あまんちゅ!』オリジナルサウンドトラックが発売。

同年、三上は「ミカミマサヒコ」名義で、ドイツ在住のヴィブラフォン奏者フジタマサヨシとのコラボレーションユニット「masahiko mikami + masayoshi fujita」として、アルバム『Conjecture』を発表。

12月14日、アルバム『Holiday Home Songs』を発売。「ゴンチチ新春生音三昧」のセットリストから選んだ曲を、スタジオで再レコーディングしたもの。2015年の紀尾井ホールでのコンサートの模様を収録したBlu-rayとの2枚組。


2018年5月30日、テレビアニメ『あまんちゅ!!~あどばんす~』オリジナルサウンドトラックが発売。

12月19日、ゴンチチ結成から40周年を迎え、7年ぶりのオリジナル・アルバム『we are here -40 years have passed and we are here-』を発売。“Beyond the clouds”等を収録。

 

 

 


2019年、NHKラジオ(第一、及びFM)の番組「武内陶子のごごラジ!」のテーマ曲“Brisa da tarde”(作曲:ブリーザ・ダ・タルジ&ゴンチチ)を提供。タイトルはポルトガル語で「午後の風」という意味である。
12月25日、映画のサントラ、CM曲、バッハの曲、ラジオ番組のテーマ曲、再録曲などを組み合わせたコンピレーション・アルバム『Assortment』を発売。


2020年、新型コロナのパンデミックにより、予定されていた生音三昧コンサートやlive imageコンサートが中止となる。

それ以降は、NHK-FMの『世界の快適音楽セレクション』、YouTubeの「ゴンチチハウスチャンネル」、Twitterなどが主な活動となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(参照)

Wikipedia「ゴンザレス三上」「ゴンチチ」

 

 

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