ジム・マテオス (Jim Matheos/1962年11月22日~) は、アメリカ合衆国のギタリスト。プログレッシブ・メタル・バンド「フェイツ・ウォーニング」(Fates Warning)の主要なソングライターで、グループ創設以来唯一の一貫した在籍メンバー。
1962年11月22日、ジム・マテオスは、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウェストフィールド(Westfield, Massachusetts)で生まれる。
1982年、バンド「フェイツ・ウォーニング」(Fates Warning)が米国コネティカット州ハートフォード(Hartford, Connecticut)で結成。当時のラインナップは、ジョン・アーチ (John Arch/Vo)、ジム・マテオス (Jim Matheos/G)、ヴィクター・アデュイーニ (Victor Arduini/G)、ジョー・ディバイアス (Joe DiBiase/B)、スティーヴ・ズィマーマン (Steve Zimmermann/Ds)。
1984年9月、1stアルバム『ナイト・オン・ブロッケン』(Night on Bröcken)を「メタル・ブレイド・レコーズ」(Metal Blade Records)からリリースしてデビュー。このアルバムは、特にタイトル曲“Night on Bröcken”や“Damnation”等の曲で、主にアイアン・メイデンや他のヘヴィメタル・バンドの影響を受けている。
1985年10月、2ndアルバム『スペクター・ウィズイン』(The Spectre Within)をリリース、この作品まではアイアン・メイデン風の伝統的なヘヴィメタルの流れにあったが、“The Apparition”、“Epitaph”、“Pirates of the Underground”、“Traveler in Time”などの曲では一層プログレッシブなアプローチを特徴とし、テンポの変更が多く、アレンジがより複雑になり、さらに象徴性とダブル・ミーニングに満ちた歌詞にファンタジーが加わった。
この時期、フェイツ・ウォーニングは米国の東海岸と中西部地域でライヴの定番バンドとなり、モーターヘッド、クイーンズライシュ、アンスラックス、オーバーキル、アンヴィル、アーマード・セイントなどの数多くのバンドとステージで共演した。
同年、オリジナル・ギタリストのヴィクター・アルドゥイーニがバンドから解雇され、後任にフランク・アレスティ (Frank Aresti/G) が加入した。
1986年11月、3rdアルバム『アウェイクン・ザ・ガーディアン』(Awaken the Guardian)をリリース、画期的で不可欠なプログレッシブ・メタルのアルバムと見做されいる本作は、より神話的な雰囲気を作り出し、曲の形でプログレッシブなアプローチをより完全に実現することに取り組んでいる。複雑で珍しいリフと、熱狂的で刺激的なヴォーカル・ラインの中で多数のテンポ変更を伴いながらも、基本的な流動性は維持されている。 本作以降、後にプログレッシブ・メタルと呼ばれるようになる音楽性へと方向転換していく。込み入ったリズムを含む楽曲、プログレッシブ・ロックの精神性、ヘヴィメタル音像の組合せといった特色の数々は、その後の「ドリーム・シアター」 (Dream Theater) や「クイーンズライク」 (Queensrÿche)らにも多大な影響を与え、ともにプログレッシブ・メタルというジャンルを発展させていった。実際、当時ドリーム・シアターのマイク・ポートノイは、「プログレッシブ・メタルを作り出したのは、フェイツ・ウォーニングであった」とも述べている。
なお、1stアルバムから3rdアルバムまでは、ジョン・アーチの並々ならぬヴォーカルが特徴となっており、歌詞では幻想的な題材を主に扱っていた。
本アルバムは、米音楽誌『ビルボード』(Billboard)の総合アルバム・チャート「Billboard 200」(以下「全米」)で191位に初めてチャート入りしたが、メタル・ブレイドにとっても同チャート200位以内に入ったのは初めてのこととなった。
バンドはライヴでクイーンズライシュやサクソンなどのバンドと共演した。
1987年、ジョン・アーチが脱退。穴埋めにクリス・クロンク (Chris Cronk/Vo)が短期間だけ在籍したが、程なくして離脱した。その後任ヴォーカリストとして加入したのが、レイ・アルダー (Ray Alder/Vo) だった。
1988年3月23日、4thアルバム『ノー・イグジット』(No Exit)をリリース、全米111位。アルダーが加入してからは、内省的な内容の歌詞が多くなった。ここからは、"Anarchy Divine"、"Silent Cries"をシングル・カットした。
同年、ズィマーマンが辞め、後釜にマーク・ゾンダー (Mark Zonder/Ds)が加入。
1989年8月22日、5thアルバム『パーフェクト・シンメトリー』(Perfect Symmetry) をリリース、全米141位。本作以降は、プログレッシブ・ロックの要素が更に増して実験的で技巧を凝らした音楽となり、眼前に迫り力で圧倒するようなヘヴィメタルの要素はやや後退した。ここからは"Through Different Eyes"をカット。
1991年10月29日、6thアルバム『パラレルズ』(Parallels)をリリース、『ビルボード』誌「Billboard Top Heatseekers」20位を記録。収録曲“Life in Still Water”では、ジェイムズ・ラブリエがバッキング・ヴォーカルとしてゲスト参加している。ここから、"Point of View"と"Eye to Eye"をシングル・カットした。
1994年7月26日、7thアルバム『インサイド・アウト』(Inside Out)をリリース。ここからは、"Pale Fire"と"Monument" をシングル・カットした。
1996年、ジョー・ディバイアスが脱退、これにより、オリジナル・メンバーはジム・マテオスのみとなった。後任ベーシストには、ジョーイ・ヴェラ (Joey Vera)が加入した。
1997年4月22日、8thアルバム『プレザント・シェイド・オブ・グレイ』(A Pleasant Shade of Gray)をリリース。
2000年7月25日、9thアルバム『ディスコネクテッド』(Disconnected)をリリース。
2002年、クロマ・キーのキーボード奏者兼ヴォーカリストのケビン・ムーアとともに、プログレッシブ・ロック・バンド「OSI」を結成。マテオスとムーアが主に作曲を担当し、この二人以外は流動的なメンバーとなった。
2003年1月14日、バンド「Gordian Knot」の2ndアルバム『Emergent』に参加。
2月17日、OSIの1stスタジオ・アルバム『Office of Strategic Influence』をリリース、「Billboard Independent Albums」31位・フランス149位。
6月17日、マテオスはフェイツ・ウォーニングのオリジナル・ヴォーカリストであるジョン・アーチのアルバム『A Twist of Fate』でコラボレーションした。本アルバムは、アーチが1987年にフェイツ・ウォーニングを脱退して以来初めてのプロとしてのレコーディングとなった。
2004年10月5日、10thアルバム『FWX』(FWX)をリリース。ここからは、"Simple Human" をシングル・カット。
2005年、マーク・ゾンダーが脱退、後任ドラマーとしてニック・ディヴァージリオ (Nick D'Virgilio) が加入した。
2006年4月21日、OSIの2ndアルバム『Free』をリリース、
2007年、ニック・ディヴァージリオが脱退。後任ドラマーとして、ボビー・ジャーゾンベク (Bobby Jarzombek) が加入した。
2009年4月27日、OSIの3rdアルバム『Blood』をリリース、
2010年、マテオスはジョン・アーチと再びコラボレーションし、ユニット「アーチ/マテオス」(Arch/Matheos)を結成。
2011年9月9日、アーチ/マテオスとしてアルバム『Sympathetic Resonance』をリリース、「Billboard Heatseekers Albums」14位・「Billboard Hard Rock Albums」22位・ドイツ27位・オーストリア67位・スイス78位を記録した。
2012年3月27日、OSIの4thアルバム『Fire Make Thunder』をリリース、Billboard Heatseekers Albums18位をマークした。
2013年、バンドはデビュー以来在籍していた「メタル・ブレイド・レコーズ」から「Inside Out」へ移籍。
9月30日、9年ぶりの11thアルバム『Darkness in a Different Light』をリリース、
Billboard Heatseekers Albums5位・Billboard Hard Rock Albums10位・Billboard Independent Albums32位・ドイツ41位・Billboard Top Rock Albums50位・スイス56位・オランダ90位・ベルギー129位・全米162位をマークした。ここからは、"Firefly"をカット。
2014年2月17日、マテオスは実験的なギター・アルバム『Halo Effect』を、インディペンデント・レコード・レーベル「Burning Shed」からリリースした。
2016年7月1日、12thアルバム『セオリーズ・オヴ・フライト』(Theories of Flight)をリリース,、オーストリア32位・ベルギー175位・オランダ70位・ドイツ12位・イタリア80位・スイス16位・US Heatseekers Albums (Billboard)2位をマーク。
同年、プログレッシブ・メタルの幕開けとなった3rdアルバム『アウェイクン・ザ・ガーディアン』発売30周年を記念して、当時のメンバーが集まり同作の完全再現ライヴを実施。ラインナップは、ジム・マテオス(G)、ジョン・アーチ(Vo)、ジョー・ディバイアス(B)、スティーヴ・ズィマーマン(Ds)、フランク・アレスティ(G)。
2017年、フェイツ・ウォーニングは、前年のコンサートの模様を収録したライヴ・アルバム『Awaken The Guardian Live』をリリースした。
2019年、アーチ/マテオスは2枚目のアルバム『Winter Ethereal』をリリース。
2020年11月6日、フェイツ・ウォーニングは最新のスタジオ・アルバム『ロング・デイ・グッド・ナイト』(Long Day Good Night)をMetal Bladeからリリースした。本アルバムは、オーストリア50位・ベルギー134位・ドイツ11位・ハンガリー24位・スイス20位をマーク。
(参照)
Wikipedia「フェイツ・ウォーニング」「Jim Matheos」「Fates Warning」「OSI (band)」「Arch/Matheos」「Gordian Knot (band)」
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