小林 亜星(こばやし あせい/1932[昭和7]年8月11日~2021[令和3]年5月30日)は、日本の作曲家で、作詞家、俳優、タレント、歌手等の顔を併せ持つマルチタレントでもあった。日本作詞作曲家協会(J-scat)理事、大日本肥満者連盟(大ピ連)初代会長を務めた。

 

 

 

1932年8月11日、小林 亜星は東京都に生まれる。母の尊敬する演出家の息子の名前をとって「亜星」と名付けられた。祖父は医師、父は役人、母は劇団員。子ども時代に戦争のため長野県小諸市に疎開した経験を持つ。東京都渋谷区出身・杉並区在住。

旧制慶應義塾普通部から慶應義塾高等学校に進学、高校の同じクラスには後に音楽家となる冨田勲、林光がいた。

高校卒業後は、父の勧めで慶應義塾大学医学部に入学したものの医師になる意思はなく、音楽サークルでの活動に熱中したことで、親に断りなく経済学部に転部し、同学部を卒業。

なお、転部したことは卒業時に初めて親の知るところとなり、怒りを買って勘当された。

 

大手製紙会社に入社するも数ヶ月で退社し、大学の先輩で放送関係の仕事をしていた作曲家・服部正に師事した。当初は服部に「音楽大学出身者以外の弟子は取らない」と断られたが、連絡先を書いたメモを郵便受けに置いて帰った所、数日後に電話で入門を認められた。当時は痩せていたという。

 

1961(昭和36)年、出世作のレナウンCMソング“ワンサカ娘”の作詞・作曲・編曲を担当(以下、作曲は小林亜星)。歌唱は1964年弘田三枝子や1965年シルヴィ・バルタンが有名だが、最初はかまやつひろしが担当。この仕事は、当時レナウン宣伝部に在籍していた実妹の川村みづえ(イエイエのCMのイラストは川村の作品)の紹介で実現。同CMは、日本で初めて日本国外のCM作品賞を受賞し「日本のCM製作レベルを国際級に押し上げた」と評されている。

 

同年10月11日~1977年(昭和52年)3月30日、15年半にわたって放送された刑事ドラマ番組『特別機動捜査隊』のテーマソング。

 

 

1963年11月25日~1965年8月16日、モノラルのテレビアニメ『狼少年ケン』全86話のOPとEDを作曲、いずれも作詞は大野寛夫、伴奏は アンサンブル・ビボ、歌はビクター少年合唱団で、EDの後期のみ西六郷少年少女合唱団が歌唱した。

 

 

1965(昭和40)年3月、日本初のカラーミックスタイプの洗剤として発売されたライオン「ブルーダイヤ」の発売当初から使用されたCMソング“ブルーダイヤの歌”(作詞:小林亜星)を作曲。1967年8月~1971年には自身もCMに出演した。

 

 

1966(昭和41)年、ブリヂストンCMソング“どこまでも行こう”(作詞:小林亜星)。

 

同年10月、テレビアニメ『魔法使いサリー』OPテーマ“魔法使いサリーのうた”(歌:スリー・グレイセス・薗田憲一とデキシーキングス)、EDテーマ“魔法のマンボ”(1話-26話/歌:前川陽子・ハニー・ナイツ)、“いたずらのうた”(27話-73話/歌:朝井ゆかり・野沢雅子・加藤みどり)・千々松幸子・平井道子)、“パパパのチョイナのうた”(74話-109話/歌:水垣洋子・フォー・メイツ)の作曲・編曲を担当。作詞はすべて山本清。

 

 

 

 

 

1967年、レナウンCMソング“イエイエ”(歌:朱里エイコ)。同曲はレコード化され、1968年8月までに1万5000枚を売り上げている。

 

 

1968(昭和43)年、サントリー「オールド」CMソング初放送。この時は当時上智大学教授のサイラス・モズレーという男性のスキャットとギター伴奏によるハ短調のものだった。楽曲はCM用に短く完結しており、短いイントロと8小節の主旋律を必要に応じて繰り返すのみとなっている。 後に、小林自身により日本語詞が作られ、タイトルが“夜がくる”とつけられた。この時の日本語詞ヴァージョンは「マークHAMA」名義で小林自ら歌唱した。

 

同年、日立製作所“日立キドカラーの歌”(作詞:小林亜星/歌:ザ・ピーナッツ)。

 


1969(昭和44)年1月6日、テレビアニメ『ひみつのアッコちゃん』放送開始、1970年10月26日まで放送。OPテーマ“ひみつのアッコちゃん”(作詞 :井上ひさし・山元護久/歌:岡田恭子)、EDテーマ“すきすきソング”(作詞:井上ひさし・山元護久/歌:水森亜土)、イメージソング(第1作)“なかよしアッコちゃん”(作詞:羽柴秀彦/歌:スリー・グレイセス)を作曲。

 

 

同年、1986年まで続いた日本生命のCM「ニッセイのおばちゃん」シリーズのCMソング“モクセイの花”(作詞:横内理員/歌:デューク・エイセス)。その後も1989年頃から数年間、ニッセイレディのCMの時に、歌詞と曲調をアレンジして放送されていた。

 

同年、「イエイエ」、「エメロンシャンプー」他のCM音楽作曲に対して、第6回放送批評家賞(ギャラクシー賞)を受賞。

 

 

1970(昭和45)年9月、大関CMソング“酒は大関”(作詩:小林亜星/歌:加藤登紀子)。後にCM出演者の田宮二郎らのヴァージョンも生まれた。

 

10月2日~1971年3月26日、TBS系列局で放送されたテレビアニメ『キックの鬼』のOP“キックの鬼”(作詞:野口修/歌:沢村忠・少年少女合唱団みずうみ)、ED“キックのあけぼの”(作詞 :梶原一騎/歌:沢村忠)。

 

 

同年、積水ハウスCMソング“積水ハウスの歌”(作詞:羽柴秀彦)。一部歌詞やアレンジを変えながらも今日まで使用されている。

 

同年、花王「エメロンクリームリンス」“ふりむかないで”(歌:ハニー・ナイツ)。

 

 

1971(昭和46)年、明治製菓(現在は株式会社明治から発売)の名物商品「チェルシー」のCMソング“チェルシーの唄”(作詞:安井かずみ)。オリジナル歌唱はシモンズ。その後、数多くのアーティストに歌い継がれ、歴代アーティストによるヴァージョンを収めたCDも発売された。

 

 


1972(昭和47)年4月1日、『快傑ライオン丸』が放送開始、1973(昭和48)年4月7日まで、OP “風よ光よ”(作詞:しのだとみお/編曲:筒井広志/歌:秀夕木・ヤング=フレッシュ)、ED“ライオン丸がやってくる”(作詞:しのだとみお/編曲:筒井広志/歌:ヤング・フレッシュ)の他、挿入歌も作曲した。

 

 

10月1日、テレビアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』放送開始、初期EDテーマで後期OPになった“ガッチャマンの歌”(歌:子門真人・コロムビアゆりかご会)、初期OPで後期EDテーマとなった“倒せ! ギャラクター”(歌:コロムビアゆりかご会)。いずれも作詞は竜の子プロ文芸部、編曲はボブ佐久間。

 

 

10月5日~1973年3月29日、テレビアニメ『ハゼドン』の、初期OP・後期ED「ぼくはハゼドン」(作詞: ほしのたかし/歌:水森亜土)、初期ED・中期OP&ED・後期OP“ハゼドン音頭”(作詞:矢倉沢始/歌:和泉常寛・コロムビアゆりかご会)、編曲はいずれも 筒井広志。

 

 

同年、日立グループのCMが制作される際に小林に作曲が委嘱され、作詞は小林の紹介により伊藤アキラに委嘱。こうして制作された、歌い出しに由来する“この木なんの木”の別名でも知られる“日立の樹”(ひたちのき)を使用したグループCMの放送は1973年から。歌唱は、初代CMで朝コータローがメインヴォーカルを務めた。

 

 

1973(昭和48)年3月、大関“酒は大関あればいい”(作詩:阿久悠/歌:森山良子)。後に加藤登紀子も歌唱した。

 

10月4日~1974年3月28日、テレビアニメ『ドロロンえん魔くん』のOP“ドロロンえん魔くん”、ED“妖怪にご用心”。ともに作詞・歌は中山千夏、編曲は小杉仁三。

 

 

1974(昭和49)年、向田邦子の代表作であるテレビドラマ『寺内貫太郎一家』にて俳優デビュー、いきなり初主演となる。同作品はシリーズ化され、その都度「寺内貫太郎」役で主演した。

 

 

1975(昭和50)年7月2日~12月24日、テレビアニメ『宇宙の騎士テッカマン』 のOP“テッカマンの歌”(歌:水木一郎)、ED“スペースナイツの歌”(歌:水木一郎・コロムビアゆりかご会)。両曲とも、作詞は竜の子プロ文芸部、編曲はボブ佐久間。

 

 

 

12月1日、都はるみのシングル“北の宿から”(作詞:阿久悠/編曲:竹村次郎)発売、翌1976年『第18回日本レコード大賞』大賞受賞。

 

 

1976年4月17日~1977年5月28日、テレビアニメ『超電磁ロボ コン・バトラーV』のOP“コン・バトラーVのテーマ”、ED“行け! コン・バトラーV”。いずれも作詞は八手三郎、編曲は筒井広志、歌唱は水木一郎と、OPはザ・ブレッスン・フォー、EDはコロムビアゆりかご会が加わった。

 

 

 

1979(昭和54)年9月、大関“ロッキング・タイム”(作詩:小林亜星/編曲:いち ひさし/唄:小林亜星)。

 

 

1980(昭和55)年9月2日~1982年9月28日、カラー版『怪物くん』(第2作)のOP“ユカイツーカイ怪物くん”(作詞:藤子不二雄/編曲:筒井広志/歌:野沢雅子)、EDテーマ第1回-第36回および第41回-第94回“おれたちゃ怪物三人組よ”(作詞:藤子不二雄/編曲:筒井広志/歌:肝付兼太・神山卓三・相模太郎)、 第37回-第40回“新・怪物くん音頭”(作詞:藤子不二雄/編曲:筒井広志 /歌:野沢雅子・こおろぎ'73・肝付兼太・神山卓三・相模太郎)。

 

 

同年、フジテレビ系列『花王名人劇場』(後に『花王ファミリースペシャル』)で放映された『裸の大将放浪記』(芦屋雁之助主演)の主題歌“野に咲く花のように”(作詞:杉山政美/編曲:武市昌久/歌:ダ・カーポ)。レコードリリースは1983年7月21日。

 

この頃、サントリー・ウイスキー「ローヤル」CMソング“陽はまた昇る”。

 

この頃、雪印乳業(現・雪印メグミルク)「雪印ネオソフト」DMソング“仲よしソフト/おいしい顔” (歌:トランザム)。

 

 

1982年7月5日~1984年8月27日、テレビアニメ『The♥かぼちゃワイン』のEDテーマ、1982-1983年“青葉春助・ザ・根性”(作詞:伊藤アキラ/編曲:いちひさし/歌:古川登志夫)、1983-1984年“Pumpkin Night”(作詞:松本由佳里/補作詞:伊藤アキラ/編曲:いちひさし/歌:古川登志夫・横沢啓子)。“Pumpkin Night”の歌詞は放送1周年を記念して一般公募したもの。

 

 

 

1984(昭和59)年1月〜1988年3月、テレビアニメ『まんが日本昔ばなし』EDテーマ“にんげんっていいな” (作詞:山口あかり/編曲:久石譲/歌:中島義実・ヤング=フレッシュ)。2007年にガガガDX(ガガガSP)が、日産自動車「セレナ」CMソングとしてカヴァーしている。

 

 

1987(昭和62)年~1995年まで7作が、2002年にリニューアル版が放送された時代劇『三匹が斬る!』シリーズの音楽を担当。

 

 

1988(昭和63)年10月9日~1989年12月24日、テレビアニメ『ひみつのアッコちゃん』第2作が放送。OPテーマ“ひみつのアッコちゃん”(作詞 :井上ひさし・山元護久/編曲:青木望/歌:堀江美都子)がアレンジと歌手を変えて再度使用された。第1作のEDテーマ“すきすきソング”(作詞:井上ひさし・山元護久)も編曲を有澤孝紀が担当し、歌い手も水森亜土に「こおろぎ'73」も加え、キャラクターソング、イメージソングとして再度使用された。

 

 

1989(平成元)年1月~1990年9月、テレビアニメ『まんが日本昔ばなし』EDテーマ“みんなでたんじょうび”(作詞:伊藤アキラ/歌:中村花子・ヤング=フレッシュ)。日本コロムビアから発売される童謡集に収録されることがある。

 

10月9日~1991年9月23日、テレビアニメ『魔法使いサリー』の20年ぶりの「続編」(1989年版)制作・放送に伴い、OPテーマ には1966年版と同じ“魔法使いサリー”がアレンジと歌手(編曲:山本健司/歌:朝川ひろこ)を変えて再度使用された。

同年、“あなたと、コンビに、ファミリーマート”がファミリーマートのコーポレートメッセージとして制定、TVCMをはじめ様々な媒体で、サウンドロゴとして長期にわたり使用される。

 

 

1991(平成3)年、新興産業「さいでりあ」CMソング“パッとさいでりあ”が放送開始、小林が自ら出演したCMは人気を集め、後にCMソングはシングルCDとしても発売された。

 

 

1994(平成6)年5月1日、白夜書房「まんがの森」CMソング“まんがらりん”(作詞:梅田彰宏/歌:飯島愛)がシングル発売。CMにはイメージキャラクターでもあった飯島が出演した。

 

 

1998(平成10)年4月5日~1999年2月28日、テレビアニメ『ひみつのアッコちゃん』第3作が放送。OPテーマ“ひみつのアッコちゃん”(作詞:井上ひさし・山元護久/編曲:大島ミチル/歌:下成佐登子)がアレンジと歌手を変えて三度使用された。オーケストラ演奏を伴奏とする他、最後の歌詞のアクセントが上がらないのも特徴。

同年、“どこまでも行こう”(1966年)作曲者の小林と、同曲の著作権者の音楽出版社が、フジテレビのバラエティ番組『あっぱれさんま大先生』EDテーマに使われた“記念樹”(1992年/作詞:天野滋)の作曲者・服部克久に対して損害賠償を請求する訴訟を提起。小林は“記念樹”が“どこまでも行こう”を複製したものだとして著作者人格権(氏名表示権)侵害による損害賠償を、音楽出版社は複製権侵害による損害賠償を各々求めた。小林側は当初服部側に抗議したが服部は盗作ではないと主張、両者の主張が平行線をたどった結果、提訴に至った。

 

 

1999(平成11)年、フジテレビ系アニメ『∀ガンダム』の第1クール〜第3クール分(第2話〜第38話)のOPテーマ“ターンAターン”を作曲。歌手は、『寺内貫太郎一家』で親子を演じた西城秀樹を小林が推薦した。

 

 

2003(平成15)年3月11日、東京地裁の2000(平成12)年2月18日の第一審による小林側の請求棄却と控訴、東京高裁の2002(平成14)年9月6日の控訴審による小林側の逆転勝訴を経て、服部の上告を最高裁が上告不受理とする決定をしたため、高裁の判決が確定、最終的に“記念樹”の作曲が著作権法違反にあたるものであるとされた。


 

2009(平成21)年5月、懇意のヴァイオリニスト、天満敦子とのコラボレーションを集大成したアルバム『ロマンティックをもう一度』を発売。

 

 

 

 

2015(平成27)年、第57回日本レコード大賞・功労賞を受賞。

 

 

2017(平成29)年9月29日、ファミリーマートのコーポレートメッセージ“あなたと、コンビに、ファミリーマート”が、コンビニ業界としては初めて「音商標」として特許庁に登録された。

※当該サウンド・ロゴ部分は0:25頃から。

 

 

2021年5月30日早朝、自宅で倒れていたところを発見され東京都内の病院へ緊急搬送されたが、心不全のため、同日死去。88歳没。

 

 

 

 

CM曲や歌謡曲、アニメソング、テレビ番組のテーマ曲など、生涯に6000曲以上を残した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(参照)

Wikipedia「小林亜星」