森田 童子(もりた どうじ/1953[昭和28]年1月15日~2018[平成30]年4月24日)は、日本の女性シンガーソングライター。本名は非公開。

 

 

東京都出身(札幌のコンサート会場で配布されたチラシ「森田童子ラフスケッチ」によると、1952年に青森で生まれたとなっている)。

 

1970(昭和45)年、全共闘などの学園闘争が吹き荒れる時代に友人が逮捕されたことをきっかけに、高校を中退。

 

気ままな生活を送っていたが、20歳の時に友人の死をきっかけに歌い始める(この亡くなった友人をモチーフにした曲が、デビュー曲となる“さよなら ぼくの ともだち”である)。

 

1973(昭和48)年、西荻窪ロフトでライヴハウスデビュー。

 

1975(昭和50)年10月21日、シングルレコード(EP)“さよなら ぼくの ともだち”(編曲:早川博二)で、ポリドール(現:ユニバーサルミュージック合同会社)よりデビュー。B面“まぶしい夏”( 編曲:木森敏之)。楽曲はすべて作詞・作曲:森田童子(以下同)。

 

 

以後、主にライヴハウスを中心に活動する。

11月21日、1stアルバム(LP)『GOOD BYEグッドバイ』を発売、オリコン44位。


1976(昭和51)年11月21日、2ndアルバム『マザー・スカイ=きみは悲しみの青い空をひとりで飛べるか=』を発売、オリコン44位。

 

同日、シングル“ぼくたちの失敗”(編曲:石川鷹彦)を同時発売。B面“ぼくと観光バスに乗ってみませんか”(編曲:石川鷹彦)。

 

 

 

1977(昭和52)年12月10日、3rdアルバム『A BOY ボーイ』を発売、オリコン52位。

 

 

1978(昭和53)年3月1日、シングル“セルロイドの少女”(編曲:若草恵)を発売。B面“蒼き夜は”(編曲:木田高介) 。

 

 

11月1日、ライヴアルバム『東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤』をリリース、オリコン78位。

 

 

1980(昭和55)年、ポリドールからワーナー・パイオニア(現:ワーナーミュージック・ジャパン)に移籍。

11月20日、スタジオアルバムとしては4枚目、通算5枚目のアルバム『ラスト・ワルツ』を発売、オリコン64位。

 

 

 

 

1981(昭和56)年1月25日、シングル“ラスト・ワルツ”を発売、B面“菜の花あかり”。編曲はAB面ともに千代正行。

 

 

 

1982(昭和57)年11月20日、5枚目のスタジオアルバム、通算6枚目の『夜想曲』を発売。

 

 

 

1983(昭和58)年11月30日、6枚目のスタジオアルバム、通算7枚目の『狼少年 wolf boy』を発売。

 

新宿ロフトでのライヴを最後に、引退を宣言することなく活動を休止する。


レコーディングの編曲は、アコースティックギター奏者の石川鷹彦(元六文銭)などが担当した。その後、イラストレーターとしても活躍したマネージャーだった前田亜土と結婚。

 カーリーヘアにサングラス、男性的な服装というスタイルが特徴で、レコードジャケットはもちろんコンサートなどでも素顔を見せることはなかった。

 

森田童子は芸名であり、由来は笛吹童子。本名は非公開。加えて実生活についてもほとんど公表せず、作詞した歌詞の内容もありのままの実体験ではなく願望を投影したものであるとしており、普段も寡黙で、作品に生活感を滲ませることを避けていた。

 

1988(昭和63)年、初期アルバム4作『グッド・バイ』から『東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤』までが初CD化された。

 

1989(平成元)年9月、日本の学生運動と青春と恋をテーマにした、ミニシアター系映画『グッドバイ』に楽曲が使用され、映画での使用曲を集めたサウンドトラックCDも発売された。

 

一部ではカリスマ的な人気を博しつつも、森田のファンは全国的に見れば少数で 、森田本人がメジャー化を望んでいなかったこともあり、その作品はマスコミなどに表立って紹介されることもなかった。

 

 

1993(平成4)年1月、真田広之と桜井幸子が主演したテレビドラマ『高校教師』の主題歌として1976年発売のシングル“ぼくたちの失敗”が使われ、同曲はシングル盤CDとして再発、CDは100万枚に迫る大ヒットとなった。B面は“男のくせに泣いてくれた”。

 

このドラマの脚本を書いた野島伸司は、高校時代に同級生に誘われてライヴハウスで歌う森田を知り、強い印象を受けたという。プロデューサーの伊藤一尋とともに森田の楽曲の採用を決定した。

同年3月、“ぼくたちの失敗”のリバイバルヒットを受けて、ベスト盤『ぼくたちの失敗 森田童子ベスト・コレクション』が発売された。

同年4月、オリジナル・アルバム7枚がCDで再発売(うち3枚は初CD化)され、活動当時を知らない若い世代を含めて、新たに多くのファンを獲得した。 しかし本人はこのリバイバルブームに対し、マスコミの取材には応じず沈黙を守った。

11月、映画版『高校教師』で“たとえばぼくが死んだら”(編曲:千代正行)がアルバム『ラスト・ワルツ』から主題歌として使われ、シングルカットされて発売された。

 

2003(平成15)年1月、10年ぶりにドラマ『高校教師』の新作が放送され、再び“ぼくたちの失敗”が主題歌として使用された。 

同年、ベスト盤『ぼくたちの失敗 森田童子ベストコレクション』がCCCDで発売されたが、“海が死んでもいいョって鳴いている”(アルバム『ラスト・ワルツ』収録)の歌詞を一部変更して、新規に歌唱・録音された“ひとり遊び”が収録され、これが森田童子最後の音楽作品となった。

“ひとり遊び”は森田の自宅で、自らのピアノ、ギター、ハーモニカの演奏で20年ぶりに録音され、編曲も森田自身によって行われた。

 

2010(平成22)年5月に記事が掲載された朝日新聞の取材によれば、近しい人物の死去による精神的ショックと、自身の持病により活動が困難な状況であるとしている。

夫の前田亜土は同年に没している。

 

 2015(平成27)年9月に公開された映画『GONIN サーガ』で、“ラスト・ワルツ”が挿入歌として使用された。

 『高校教師』のリバイバルヒットで再発されたCDアルバムもその後廃盤になり、長らく入手困難な状況が続いていたが、2016年7月20日に23年ぶりにCDが再発売された。オリジナルアルバム7作、ベストアルバム2作(うち『友への手紙 森田童子自選集』は初CD化)の計9タイトルが発売。小澤賢太郎(音楽出版ジュンアンドケイ)の企画・監修で、レーベルはユニバーサルミュージック/USMジャパン。オリジナルマスターテープからデジタルリマスタリングされたSHM-CD仕様となっている。 

 

また現在までに、様々なアーティストによって楽曲がカヴァーされている。リバイバルヒットで代表曲となった“ぼくたちの失敗”は、YMCK、cheeなどによるカヴァーがあり、mondialitoによるフランス語カヴァー曲(曲名は“notre echec”)も存在する。“たとえばぼくが死んだら”はeastern youth、山中さわお、中村中によってカヴァーされている。変わったところではJOJO広重(非常階段)の「スラップ・ハッピー・ハンフリー」によるノイズ系カバーなどもあり、幅広いジャンルのミュージシャンにカヴァーされている。 

 

2016年7月、2003年発売のベスト盤『ぼくたちの失敗 森田童子ベストコレクション』がSHM-CDにて再発売された。

 

2018(平成30)年4月24日未明、心不全のため自宅で死去。65歳没。

 

同年6月1日発行の日本音楽著作権協会(JASRAC)会報に訃報が掲載されたことで死去が明らかになった。

 

音楽活動休止後は主婦として暮らしていたが、音楽関係者の話として体調を崩して2017年から入退院を繰り返し、退院後間もなくして逝去したという。

 

 

 

 

 

(参照)

Wikipedia「森田童子」

森田童子研究所

森田童子 Universal Music Official Web