イルカ（いるか/本名：神部[かんべ]としえ/旧姓：保坂[ほさか]/1950年12月3日～）は、日本のフォークシンガー、絵本作家。
東京都中野区出身。
父親はジャズバンド「スターダスターズ」の花形テナーサックス奏者だった保坂俊雄。スターダスターズはラストになると必ずバンドテーマである“スターダスト”を演奏したが、子どもの頃、母親に連れられライヴを観に行くと、その“スターダスト”で父親がピンスポットを浴びて、一人だけ立ち上がってソロでサックスを吹く姿がかっこよく、“スターダスト”は我が家のテーマソングになったという。保坂は美空ひばりの専属バンド「ひばり&SKY」の指揮を担当していたことでも有名。
中野区立谷戸小学校卒業。
小学校では音楽部鼓笛隊に所属しベルリラを担当。小学校の同級生には作曲家・編曲家の船山基紀がいる。
東京文化中学校、東京文化高等学校を経て、女子美術大学卒業。
芸名の由来は、女子美術大学のフォークソング同好会に在籍していた当時、皆がギターケースを持って帰る姿を見て「イルカの群れみたい」と言ったのがきっかけで、周囲から「イルカ」と呼ばれるようになった。
1969年、早稲田大学フォーク・ソング・クラブのメンバーで結成された「ザ・フォーシュリーク」が解散し、リーダーの神部和夫が明治大学の山田嗣人（山田パンダ）、早稲田の嘉屋泰雄を誘って「シュリークス」を結成。
同年9月、コロムビアレコードからシングル“君よ!人生は”でデビュー。
その後、嘉屋泰雄の脱退と入れ替えに、「ザ・リガニーズ」の所太郎が参加した。
1970年9月5日、移籍した東芝エキスプレス（現：イーエムアイ・ミュージック・ジャパン）から
2枚目のシングル“さらば”をリリース、ヒットした。
3枚目のシングルをリリース後、保坂としえ（後の「イルカ」）が参加。
1971年4月25日、東宝映画『幻の殺意』主題歌となるシングル“君の生まれた朝”をリリースし、保坂にとってはこれがデビューとなったが、その後、所太郎と山田嗣人（後に山田パンダとしてかぐや姫に参加）が脱退したため、男女二人組となった。
10月25日、二人になってから初めてのシングル“きみまつと”をリリース。
12月1日、シュリークス初のオリジナルLP（以下「アルバム」と表記）『ふるさと』をリリース。
1972年、神部と結婚し、「神部としえ」となる。
同年7月5日、シュリークス最後のシングル“今夜は手紙を書こうかな”をリリース。
1974年2月25日、シュリークス最後のアルバム『イルカの歌』をリリース。“クジラのスーさん空をゆく”などを収録。
10月25日、ファーストシングル“あの頃のぼくは”（作詞・曲：伊勢正三）をリリースし、「イルカ」としてソロデビュー。
イルカのソロデビューを機に神部は、イルカの音楽プロデューサーおよびマネージャー業に専念するようになった。
1975年3月5日、ファーストアルバム『イルカの世界』をリリース。大ヒット曲“なごり雪”収録。
3月25日、セカンドシングル“風にのせて”をリリース。
11月5日、3枚目のシングルとして、「かぐや姫」のカヴァー“なごり雪”（作詞・曲：伊勢正三/編曲：松任谷正隆）をリリース、オリコン最高4位、翌1976年度年間チャート11位と自身最大のヒットとなった本シングル盤は、アコースティックギターは吉川忠英、エレキギターは鈴木茂、ベースは宮下恵補、ドラムは村上秀一の演奏によりレコーディングされた。
1977年3月25日、6枚目のシングル“雨の物語”（作詞・曲：伊勢正三/編曲：石川鷹彦・木田高介）をリリース、同曲はTBS『ロマンを旅する』のテーマソングに採用され、オリコン最高16位、1977年度年間チャート34位を記録。“なごり雪”の作者、伊勢から曲提供を受け、イルカにとって同曲に次ぐヒットとなった。
4月25日、アルバム『植物誌』をリリース、オリコンチャート1位を獲得し、イルカのアルバムで最大のヒットとなった。“雨の物語”と“バラのお嬢さん”（作曲：西岡たかし）を除き、全曲イルカによる作詞作曲の作品。
1977年から1980年にかけて、絵本『ちいさな空』全4巻を発表した。
1978年3月25日、シングル“サラダの国から来た娘”（作詞・曲：イルカ）をリリース。B面“月下美人の咲く夜に”は、明治乳業(現明治) 明治クイーンカップの本人出演CMに使用された。
この後、出産のため、同年半ばから翌年初頭にかけて産休に入り、一時歌手活動を休業。
12月14日、長男「冬馬」を出産。後にシンガーソングライターとして活動。
1979年4月25日、産休明け・カムバックシングルとして、「風」のカヴァー“海岸通”（作詞・曲：伊勢正三/編曲：佐藤準）をリリース、オリコン最高24位、1979年度年間チャート92位。
9月20日、アルバム『いつか冷たい雨が』をリリース、オリコンチャート1位獲得作品。
1981年5月25日、シングル“FOLLOW ME”をリリース、フジテレビ『平岩弓枝シリーズ “女の座”』主題歌。
1982年12月10日、シングル“きみのマーチ”をリリース、テレビアニメ『ノエルの不思議な冒険』主題歌。
1983年8月5日、シングル“LOST LOVE”をリリース、テレビ番組『オサラバ坂に陽が昇る』イメージソング。
1985年2月21日、シングル“もう海には帰れない”をリリース、TBS系 ポーラ・テレビ小説『愛の風、吹く』主題歌。
5月29日、美空ひばりの“夢ひとり”がリリース、本曲は、ひばり自筆の詩に、イルカが曲を付けた楽曲である。イルカの実父・保坂俊雄が美空ひばりの専属バンド「ひばり&SKY」の指揮を担当していた縁でイルカとひばりの両者共に交友があったからである。
1986年10月21日、シングル“海のゆりかご”をリリース、B面はテレビ番組『どうぶつ通り夢ランド』テーマソングの“どうぶつ通り夢ランド”。
同年、神部がパーキンソン病を患う。
1989年9月21日、シングル“迎えに行く朝”をリリース、フジテレビ『トークシャワー』主題歌。B面“いつだって愛してる”は日立ルームエアコン『白くまくん』イメージソング。
1991年6月21日、シングル"終恋"をリリース、コープこうべ イメージソング。
1992年12月31日、NHK『第43回紅白歌合戦』に初出場し、“なごり雪”を歌唱、この時の白組の相手は、南こうせつ。
1993年1月1日、シングル“女はつらいよ”をリリース、関西テレビ『子供虐待防止』キャンペーンソング。
1995年2月22日、渡辺満里奈および植木等のスプリット・シングル“うれしい予感 / 針切じいさんのロケン・ロール”が発売。『ちびまる子ちゃん』第2期初代オープニングテーマおよびエンディングテーマ。 植木等が歌唱した“針切じいさんのロケン・ロール”では『ちびまる子ちゃん』でさくらももこの声を担当するTARAKOと声がそっくりであるとのことが縁で、さくら・TARAKOとともにイルカもコーラス担当で参加した。
1996年3月16日、シングル“傘の雫”をリリース、テレビ東京系『特選・ぶらり旅』エンディングテーマ。
1998年1月21日、シングル“花一輪”をリリース、MBS・TBS系ドラマ30『車いすの金メダル』主題歌。
1999年1月21日、美川憲一とのデュエット曲“地上の愛”をリリース、イルカにとって初のデュエットシングル。
2001年6月21日、シングル“旧友再会”をリリース、MBS系『すてきな出逢い いい朝8時』エンディングテーマ。
2004年、国際自然保護連合の親善大使に就任。また、テーマソングを提供している。
2005年12月7日、アルバム『Any Key OK!!』をリリース、実父であるサックス奏者・保坂俊雄とのコラボレートによるスタンダード・ジャズ集。
2007年3月21日、神部が急性腎不全のため北海道旭川市の病院で逝去。59歳。
2008年6月4日、シングル“いつか見る虹〜モルダウから〜”をリリース、『みんなのうた』6・7月に採用される。原曲はベドルジハ・スメタナ作曲の交響曲“わが祖国”より“モルダウ”。
2010年、母校の女子美術大学客員教授に就任。
同年6月2日、40周年記念第一弾として『森羅万象～イルカ セレクトベスト～』をリリース。
同年9月19日、シンガーソングライターとして活動している息子の冬馬が祖父（イルカの父）の俊雄とともにサッカーJ2・甲府×熊本戦でミニライブを行った。
2011年2月2日、40周年記念第二弾としてアルバム『Jasmine&Rose』をリリース。
2012年7月4日、40周年記念第三弾としてアルバム『ほのぼの倶楽部』をリリース。
2017年7月26日、アルバム『惑星日誌〜今、伝えたいこと〜』をリリース。
2018年12月31日、『第2回ももいろ歌合戦』（BS日テレ・フジテレビNEXT・ニッポン放送など）へ出場。
2020年6月24日、イルカの初期の楽曲を集めたアルバム『原石時代』が日本クラウンからリリース。
（参照）
Wikipedia「イルカ（歌手）」
公式サイト
http://www.iruka-office.co.jp/index.html