ケイト・ブッシュ(Kate Bush、CBE/本名:キャサリン・ブッシュ/1958年7月30日~)は、イングランド出身のシンガーソングライター。

 

 

ケイトは英国・大ロンドン(Greater London)ベクスレー区のベクスリーヒース(Bexleyheath)の比較的裕福な家庭に生まれた。父ロバートは医師で、母ハンナはアイルランド系の元看護師。

ピアノが堪能な父、アイリッシュフォークの元ダンサーである母、詩人でありカメラマンでもある長兄ジョン、楽器メーカーに勤めていた次兄パディという音楽一家の中で育つ。兄たちは地元のフォークミュージックシーンに関係していた。

なおパディは後にケイトのアルバムにも参加している。

 

ケイトが音楽に興味を持ち始めたのは1968年頃のこと。

1年間のオーストラリア移住から英国に戻ったケイトは、その頃から父にピアノを習い始める。

カトリック系女子校のグラマー・スクールに通う頃には、ケイトは多くの楽曲や詩を書き始め、同時にヴァイオリンや聖歌隊のレッスンにも励み、自らの芸術的な感性を磨いていった。

 

1974年、本格的に音楽の道へ進むことを決意したケイトは学校を中退し、ビリー・ホリデイやジョニ・ミッチェルなど自分のアイドルに憧れながら音楽作りに専念。

 

1975年、兄パディ達とともにバンド「KT Bush Band」を組み、パブにも出演するようになった。この頃に作ったデモテープが、やがてピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアに見出され、後のEMIとのレコード契約につながる。

 

 

1976年、ロンドン郊外のフラットに移り住んだケイトは、アダム・デューリアスによるマイムを教えるクラスへ入り、更にはリンゼイ・ケンプのもとに弟子入り。

デビューの準備期間ともいえるこの時期をケイトは約1年に渡って過ごし、

 

 

1977年に満を持してアーティストとして初の本格的なレコーディングに入った。

なお、この時期にマイムのスクールでザイン・グリフ、デヴィッド・ボウイらと交流し、その後グリフのアルバムにも参加している。

 

 

1977年11月、エミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』のTVドラマを見て作った“嵐が丘”(Wuthering Heights)で若干19歳でデビュー。いきなり全英4週連続1位を記録。

同曲や全英6位の2ndシングル“少年の瞳を持った男”(The Man with the Child in His Eyes)を含むデビュー・アルバム『天使と小悪魔』 (The Kick Inside)も全英アルバムチャート第3位、40万枚というセールスとなり、一躍大きな注目を集めた。

 

 

1978年11月13日、2ndアルバム『ライオンハート』 (Lionheart)を発表し、最高位は全英第6位。1枚目の時に感じた仕上がりへの不満を本作でいっそう募らせ、自らも裏方の仕事であるプロデュースをしなければと決心した。

 

 

1979年、西ヨーロッパで演劇的な要素に富む型破りなコンサート・ツアーツアー『Tour Of Life』を行い、その模様の映像ソフトがその後1981年に発売される。

 

 

1980年の3rdアルバム『魔物語』 (Never For Ever)では共同プロデュースを行う。

“バブーシュカ”(Babooshka)から始まる本アルバムの最高位は全英第1位。

イギリスの女性アーティストとして、全英アルバムチャートで初めて1位を獲得した作品である。

 

 

1981年6月21日に先行発売されたシングル"Sat in Your Lap"は全英最高位11位。

 

 

1982年の4thアルバム『ドリーミング』(The Dreaming)では自身初の単独プロデュースに取り組み、36トラックMTRを2台シンクロさせた72トラックの多重録音で、フェアライトCMIによるデジタル・サンプリングを多用しており、重層的でサウンドも幅広くなっているが、録り直しをして膨大なレコーディング費用が掛かり、レコード会社から煙たがられた事もあった。最高位は全英第3位。

 


1985年8月5日、セルフ・プロデュースしたシングル“神秘の丘”(Running Up That Hill[A Deal with God])をリリース。

9月16日、アルバム『愛のかたち』 (Hounds Of Love)も自らがプロデュース。本作は全英1位となった他、オランダのアルバム・チャートでは2週にわたり1位を獲得。ドイツのアルバム・チャートでは3週連続で2位となり、合計32週トップ70入りした。

 

 

1986年には初のベスト・アルバム『ケイト・ブッシュ・ストーリー』 (The Whole Story)を発表。

 

またこの間にはピーター・ガブリエルやロイ・ハーパーなど英国の奇才ミュージシャンたちとの交流もあった。

 

 

1989年発表の6thアルバム『センシュアル・ワールド』(The Sensual World)でケイトはブルガリアン・ヴォイスの一員だった女性アンカ・ラプキーナ率いるトリオ・ブルガルカと共演。シングルカットされた表題曲“センシュアル・ワールド”(The Sensual World)は、全英最高位12位。

 

 

1990年、『センシュアル・ワールド』までのオリジナル・アルバム6枚と『This Woman's Work: Volume One』『This Woman's Work: Volume Two』と題したシングル等のコンピレーション盤2枚をまとめた自身初の8枚組ボックス『「ディス・ウーマンズ・ワークス」 - This Woman's Work: Anthology 1978–1990 』を発売。

 

 

1991年10月、エルトン・ジョンのトリビュート盤『トゥー・ルームス〜エルトン・ソングス』(Two Rooms: Songs Of Elton John)へ参加。“ロケットマン”(Rocket Man)を歌唱している。

 

 

1993年、オリジナル・アルバム『レッド・シューズ』(The Red Shoes)リリース。グリム童話『赤い靴』をモチーフにした本アルバムは、ジェフ・ベックやエリック・クラプトン、そして同い年のプリンスなどが参加した話題作だったが、母の死によってリリースが1年延びたものでもあった。アルバムは全英2位、米国でも「US Billboard 200」で28位に入るなど好セールスを記録した他、全米「Modern Rock Tracks」チャートで10位に入った第一弾シングル“イート・ザ・ミュージック”(Eat the Music)や全英26位の第二弾“モーメント・オブ・プレジャー”(Moments of Pleasure)、全英12位の“ラバーバンド・ガール”(Rubberband Girl)など、シングル・カットされた楽曲もそれぞれヒットした。

 

 

1994年7月18日、シングル“The Man I Love”リリース。

 

『レッド・シューズ』以降、オリジナルの新作が発表されないまま長い時間が経過し、ファンが待ち望む中で幾度か新作発表の情報が流れては消えた。

 

 

2005年11月7日(日本発売は11月2日)、アルバム『エアリアル』(Aerial)が店頭に並んだ。前作から12年ぶりの本作は2枚組となり、全英アルバム・チャートで3位に達し、自身9作目の全英トップ10アルバムとなった。また、ドイツのアルバム・チャートでも3位に達し、同国では『愛のかたち』(1985年)以来となるトップ5入りを果たした。オランダのアルバム・チャートでは初登場7位となり、『愛のかたち』以来20年振りにトップ10入りして、合計33週にわたりトップ100圏内に入った。

第一弾シングル“キング・オブ・ザ・マウンテン”(King of the Mountain)も

全英チャート4位にランクインした。

本アルバムでは休止期間中の1998年に生まれた息子アルバート(ケイト達はバーティと呼んでいる)のアートワークをフィーチャーする一方で、これまでになくやわらかい空気にあふれた世界を作り上げている。

 

 

2011年5月(日本では7月)には過去のアルバム『センシュアル・ワールド』、『レッド・シューズ』の楽曲をセルフカヴァーした『ディレクターズ・カット』(Director's Cut)をリリース。前作より6年のブランクがあったものの、英国ではチャートで2位にランクインを果たした。

11月23日、6年ぶりのアルバム『雪のための50の言葉』(50 Words for Snow)をリリース。10枚目のオリジナル・アルバムとなる本作は「雪」をテーマにした全7曲、

収録時間は約65分という大作となっている。

 

 

2013年4月、大英帝国勲章 CBEを受章する。

 

 

2014年8月~10月に、ロンドンで22日間に渡るコンサート「Before the Dawn」を開催。過去のアルバム11枚が同時に、全英アルバムチャートでTOP50入り。女性アーティストとしては初めての快挙。

 

 

2016年12月、「Before the Dawn」の模様を収録したライヴ・アルバム

『ビフォア・ザ・ドーン - 夜明け前』(Before the Dawn)をリリース。

 

 

2018年11月16日、デビュー作『天使と小悪魔』から『レッド・シューズ』までのオリジナル・アルバムを最新リマスタリングしたCDボックスセット『KATE BUSH REMASTERED PART 1』、上記リマスタリングCDボックスの内、『天使と小悪魔 (The Kick Inside)』から『ドリーミング』までの作品をアナログLPしたボックスセット『KATE BUSH REMASTERED IN VINYL 1』、上記リマスタリングCDボックスの内、『天使と小悪魔 (The Kick Inside)』から『レッド・シューズ』までの作品をアナログLPしたボックスセット『KATE BUSH REMASTERED IN VINYL 2』を各々発売。

11月30日には、『エアリアル』から『雪のための50の言葉』までのオリジナル・アルバムに加え、最新ライヴ・アルバム『BEFORE THE DAWN』と、4枚のレア音源集(『12” MIXES』、『THE OTHER SIDE 1』、『THE OTHER SIDE 2』、『IN OTHERS’ WORDS』)がセットになった最新リマスタリング音源CDボックスセット『KATE BUSH REMASTERED PART 2』、前述の最新リマスタリングCDボックスの内『エアリアル』~『雪のための50の言葉』をアナログLP化し、セットにした『KATE BUSH REMASTERED IN VINYL 3』、上記、最新リマスタリングCDボックスの内、4枚のレア音源集をアナログLP化し、セットにした『KATE BUSH REMASTERED IN VINYL 4』を一挙にリリースした。

 

 

 

 

 

(参照)

Wikipedia「ケイト・ブッシュ」等