マキシ・プリースト(Maxi Priest/本名Max Alfred Elliott/1961年6月10日~)は

英国ロンドンのルイシャム(Lewisham)出身のレゲエ・ラヴァーズ・ロックの歌手。

 

 

ジャマイカ移民の両親の間に生まれたマキシは、母親が教会合唱隊のリード・シンガーということもあり、幼い頃からレゲエはもちろん、リズム&ブルースやゴスペルといったブラック・ミュージックに親しみながら育った。

歌うことを好きになってからも、デニス・ブラウンやグレゴリー・アイザックスといったレゲエ・シンガーだけでなく、マーヴィン・ゲイやアル・グリーン、

そしてフランク・シナトラからビートルズ、マイケル・ジャクソンまで

幅広いジャンルのミュージシャン、特にヴォ―カリストから大きな影響を受けた。

 

10代にして既にサウンドシステムで歌うことを覚え、

1984年にインディーズ・レーベルから初シングルを発表。

これがレゲエの本場ジャマイカでヒットすることで注目を浴びた。

80年代を代表するサウンドシステムのサクソン・スタジオ・インターナショナルにも

参加している。

 

1985年にマキシは、ヴァージン・レコード傘下のレーベルと契約して

ルーツ・レゲエからラヴァーズ・ロックまでを採り入れた

初のソロ・アルバム『ユーアー・セーフ』(You're Safe)を発表。

 

続いて、1986年には2作目となる『インテンションズ』(Intentions)をリリース。

持ち前のソウルフルなヴォーカル・スタイルで、英国で話題になった。

 

そして、1988年には初のメジャー作品となるサード・アルバム

『マキシ』(Maxi Priest)を、初めて祖国のジャマイカに渡り制作。

英国でチャート最高25位と上位に食い込み、

米国の『ビルボード』誌でも初めてチャートインを果たした。

 

また、同アルバムには、キャット・スティーヴンスが1971年にリリースした

“ワイルド・ワールド”(Wild World)のカヴァーも収録。

同曲はシングル・カットされ、全米25位、イギリスでは5位を記録した。

同曲をカヴァーしたことで、ジャンルを超えたレゲエ・シンガーとして

洗練されたレゲエ・オリエンテッドなスタイルを昇華させ、

「ソフィスティケイテッド・レゲエ」、「ラヴァーズ・ロック」と呼ばれる

マキシ独特の表現世界を切り拓いた。

 

1990年、“クロース・トゥ・ユー”(Close To You)が全世界で大ヒットを記録。

米国でビルボードチャートのHot100で見事1位を獲得し、

英国出身のレゲエ・アーティストとしては史上2組目となる全米No.1を達成。

90年代を代表するレゲエ・アーティストとして、華々しく世界中にその存在をアピールした。

 

この曲を含む4作目のアルバム『ボナファイド』(Bonafide)も

英国で11位、米国でも47位と健闘した。

 

同アルバムからは、“ピース・スルーアウト・ザ・ワールド”(Peace Throughout The World )や

“ジャスト・ア・リトル・ビット・ロンガー”(Just A Little Bit Longer )なども

シングル・カットされ、彼の初期を代表する傑作として

UKレゲエ・シーンに大きな指標を打ち立てた。

 

1991年には、ロバータ・フラックからのラブコールで実現したデュエット

“ナイト・トゥ・ミュージック”(Set The Night To Music)が

ビルボードチャートのHot100で6位となり、

レゲエ・シーン以外のファンにも大きく認知されることになる。

 

 

1992年には、5作目のアルバム『フェ・リアル』(Fe Real )を発表。

UKエイジアンとして一世を風靡したアパッチ・インディアンとの共演曲

“ジャスト・ワナ・ノウ”(Just Wanna Know)で話題を呼ぶ。

 

1993年には、ジャズ・フュージョン系のベテラン・ギタリスト、リー・リトナーの

アルバム『ウエス・バウンド』(Wes Bound)にスペシャル・ゲストとして参加。

 

1996年にはシャギーとデュエットした“ザット・ガール”(That Girl)が大ヒット。

 

ザ・ポリス“孤独のメッセージ”(Message In The Bottle)のカヴァーも披露した

6作目『マン・ウィズ・ザ・ファン』(Man With The Fun)は

グラミー賞にもノミネートされるなど、大きな評価を得た。

 

1999年には、その名の通りコンビネーション・チューンばかりを集め、

レゲエ界のみならず多彩なジャンルのアーティストとのコラボレートを実現し、

スティーヴィー・ワンダーのカヴァーも収めた

1999年『コンビネイション』(CombiNation)をリリース。

 

その後も、ショーン・ポールの参加も話題を呼んだ2005年『2 ザ・マックス』(2 The Max)、

これまで未発表だった名曲を集めた2007年『Refused』、

ホリデイ・アルバムに挑戦した2011年『Time Of The Year』と、

マイペースながら、コンスタントに力作を発表し続けた。

 

2008年にはレゲエ・バンドUB40のヴォーカリストに就任し、

以降、同バンドのサポート・ヴォーカリストとしても活動した。

 

 

2014年には、アルバム『Easy To Love』をリリース。

べレス・ハモンドやの参加でも話題を呼んだ同作は、

ビルボードのレゲエ・アルバム・チャートで2位を獲得した。

2020年6月時点で本作が最新アルバムとなる。

 

 

ワールドワイドな活躍を続けるマキシは日本との縁も多い。

 

1996年にCHAGE&ASKAの楽曲を世界中の一流アーティストがカヴァーする

トリビュートアルバム『one voice THE SONGS OF CHAGE&ASKA』に参加。

“AS YOU WALKED AWAY(YOU ARE FREE)”を

「MAXI PRIEST(FEATURING SHAGGY)」名義で収録した。

 

1997年、織田裕二主演のドラマ『踊る大捜査線』の主題歌

“Love Somebody”のラップとその部分の作詞を担当した事でも知られており、

マキシ自身もこのドラマにカメオ出演している。

ドラマとともに大ヒットしたこの曲により、マキシの歌声は日本の茶の間にも広まった。

 

来日公演も度々行っており、機会所では、

2010年7月コットンクラブ、ブルーノート東京、

2017年5月2日・3日、東京ビルボードライブ、

2020年1月10日・12日に大阪・東京のビルボードライブなどで公演を実施した。

 

 

レゲエ、ラヴァーズ・ロック、R&Bなど、

ジャンルを超えて愛される“貴公子”、マキシ・プリースト。

その卓越した歌声と、洗練された名曲の数々を大いに堪能できる季節がやってきた。

 

 

 

(参照)

Wikipedia「マキシ・プリースト」

ビルボード・ジャパン

http://www.billboard-japan.com/special/detail/1868

247reggae.com インタビュー

https://www.247reggae.com/special/int/1408.html