ジャネット・ジャクソン(Janet Damita Jo Jackson / 1966年5月16日~)は、

アメリカ合衆国の歌手、作曲家、女優、舞踏家。

インディアナ州ゲイリーにて、ジョセフ・ジャクソンとキャサリン・ジャクソンの間に

10人兄弟の末っ子、三女として生まれる(兄7人・姉2人。うち五番目の兄が夭折)。

ジャクソン家は芸能一家として有名で、ジャクソン・ファイヴのメンバーは実兄であり、

マイケル・ジャクソンとは共同で作品制作もしている。

 

芸能人のに生まれたジャネットは自身も7歳でデビューし、

その後人気TVシリーズに次々と出演。

1982年『ヤング・ラヴ』、1984年『ドリーム・ストリート』と

10代で2枚のアルバムをリリースした。

 

1986年、ジャネットにとって新たな境地を拓いた3rdアルバム『コントロール』を発売。

ポップスチャートとR&Bチャートで1位を獲得。アルバム収録曲全9曲中6曲が

シングルカットされ、5曲がポップスチャートで連続して5位以内に入り、

“あなたを想うとき”(When I Think of You)が

『ビルボード』シングルチャートで初の1位を獲得した。

また、プロデューサーコンビ、ジミー・ジャム&テリー・ルイスとの共作関係も本作品から

スタートし、ソングライターとしての才能を開花させるきっかけとなった1枚となる。

 

1989年、人種差別・性差別やホームレス、薬物などなどの政治問題を積極的に取り入れた

4thアルバム『リズム・ネイション1814』を発表。

4週連続で全米チャートNo.1に輝く大ヒットとなり、

完成度の高いダンスで構成された表題曲‘リズム・ネイション’のPVは、

ジャネットのスタイルを確立するとともに、ミュージック・シーンに多大な影響を与えた。

本作の商業的、質的成功により、スーパースターとしての地位を不動のものにした。

 

1991年、高額の契約金でヴァージン・レコードに移籍。

1993年、超大作となった5thアルバム『Janet.』をリリース。

シングル“それが愛というものだから”(That's The Way Love Goes)が、

自身最高の『ビルボード』8週連続1位を記録するなど、数々のヒットを生み出した。

 

1995年には、兄マイケル・ジャクソンとのデュエット曲“スクリーム”を発表。

この曲は、マイケルのアルバムに収録されたにも関わらず、

ジャム&ルイスなどジャネット側の制作スタッフが手掛けた。

因みに、マーク・ロマネク監督により当時最先端のCGを全面に駆使した

同曲のミュージック・ビデオには約700万ドルの巨額費用がかけられ、

「史上最も費用のかかったPV」としてギネス・ワールド・レコーズにも認定されている。

 

1997年リリースの6thアルバム『ザ・ヴェルヴェット・ロープ』は、

同性愛やSM、DV(ドメスティック・バイオレンス)など多様なテーマを取り上げ、

セールスは前作を下回ったものの、亡くなった友人に捧げた曲“トゥゲザー・アゲイン”が

全米1位のヒットを記録した。

 

2001年、映画『ナッティプロフェッサー2〜クランプ家の面々』のヒロイン役を好演。

サントラにも収録された主題歌“ダズント・リアリー・マター”が大ヒットした。

同曲は日本でジャネット自身最大のヒットシングルとなり、100万枚近いセールスを記録。

同年の『オリコン』洋楽シングルチャートでは年間1位を記録した。

この曲は同じ年に発売された7thアルバム『オール・フォー・ユー』にも収録されているが、

ポップな内容が受けた同アルバムは、日本で80万枚を超える自身最大のヒットとなった。

 

2004年3月、自らのミドル・ネームを冠した8thアルバム『ダミタ・ジョー』を発表。

2月の「スーパーボウル」ハーフタイムショーで自身が起こした「事件」の影響もあってか、

セールス面では振るわなかった。

 

2006年、ジャム&ルイスとの共同制作が始まりアーティストとしての才能が開花した

記念碑的作品となった『コントロール』の発表から20年となるのを機に

新生ジャネットの幕開けともなる9thアルバム『20 Years Old』がリリースされる。

 

2007年、ヴァージン・レコードとの契約を更新せず、

同じくヴァージンを去ったジャーメイン・デュプリを追いかける形で

アイランド・レコード(ユニバーサル・ミュージック・グループ内)に移籍した。

同年10月に米国で公開された映画『Why Did I Get Married?』に主役級で出演している。

 

2008年2月、10thアルバム『ディシプリン』を発売。

『コントロール』以降で初めてジャム&ルイスが参加しておらず、

またジャネット自身は作詞・作曲に一切関わっていない異例なスタイルで制作された。

ビルボードHOT200では『オール・フォー・ユー』以来の1位を獲得したものの、

1stシングル“Feedback”が『ビルボード』HOT100最高19位した他はランクインせず。

 

2015年11月2日、7年ぶり11枚目のニュー・アルバム『アンブレイカブル』を全世界同時発売。

 

2019年には「ロックの殿堂」入りを果たし、

授賞式ではジャネール・モネイがプレゼンターを務めた。

 

 

しばらく音楽面での話題が少ないジャネット。ジャクソンだが、

社会に向ける彼女の深い洞察に期待する人も多いだろう。

 

2013年2月のカタールの大富豪との結婚や、2015年のイスラム教への改宗、

2017年1月の男児出産など、私生活では落ち着いているように見えるジャネット。

 

今の彼女ならではの視座で社会の現在位置を捉えた作品で、

また往時の輝きを取り戻せる日が来ることを期待したい。