あいみょんである。

 

 

1985年3月6日に兵庫県西宮市で生まれた彼女が、

作詞を始めたのは中学2年生からで、

曲を作り始めたのは高校1年生の時。

 

そして、高校在学中にYouTubeにアップされた音楽番組や

オーディションなどの映像がSNSを介して

業界人の目に留まり、デビューに至ったという。

 

そんな今どきなサクセスストーリーを持つ、

シンガーソングライター、作詞家、作曲家が、

あいみょんなのである。

 

彼女の作品は、現代的な成功の物語とは裏腹に、

不思議とどこか懐かしさが漂う。

 

YouTubeで楽曲へのコメントを拾ってみても、

若者らしき文字に交じって、

年配と思しき人々による賛辞が並んでいる。

 

2018年8月8日にリリースされ、現在もロングヒット中の

“マリーゴールド”も幅広い世代に支持されている一曲だ。

 

 

 

 

若者だけでなく、なぜ年配者の琴線にも触れるのか。

 

あいみょんが影響を受けたミュージシャンとして挙げているのは、

スピッツ、浜田省吾、吉田拓郎、河島英五、尾崎豊、

フリッパーズ・ギターに小沢健二、そして平井堅など。

 

ジャンルとしてはフォークソングが好きだという。

 

渋っ。

 

ここらに世代を超えて共感されるあいみょんの

感性の源泉があるのだろう。

 

名前が挙がったアーティストはいずれも男性ばかりだが、

そこには明確な理由があるとのこと。

 

それは、女性である自分とは異なる性だからこそ持ち得る

正反対の感性で言葉を選ぶ男性のシンガーソングライターで、

旋律より歌詞を重要視し、比喩表現が上手な芸術家が

好きだから、ということである。

 

そんなあいみょんは作詞をするに当たって、

「女性に惹かれて一所懸命になる男性」が好き、

という気持ちから、男性目線の曲を数多く作り出している。

 

例えば、2017年8月2日発売の

“君はロックを聴かない”も男子の心情を歌った一曲だ。

 

 

 

そうそう、そんなこともあったなぁと

つい遠い眼をしてしまう。

 

なんでここまで男の心情を正確になぞって歌うことができるのか。

 

と考えた時に思いついたのが、

2015年にインディーズで出した

“あなた解剖純愛歌 ~死ね~”。

 

 

 

猟奇的なフレーズからスタートする歌詞に戸惑うが、

聴き進めるうちに、

所有欲、独占欲を連ねた語句の奥底に、

好きな対象に同化したいという

余りにストレートな願いが潜んでいるように感じる。

 

そんなあいみょんの女性としての

狂おしい程の愛情故の同化願望が、

愛する対象である男という対岸の視座から

言葉を紡がせ、歌詞として結実しているのかもしれない。

 

これこそ、あいみょんだからこそ表現できる

純愛の一つのカタチなのだろう。