1960年代半ばから1980年代までの長きにわたり

数えきれないほどのヒット曲を世に送り出した

ビージーズ(Bee Gees)。

 

言わずと知れた、1946年生まれの長男バリー・ギブと、

1949年に誕生した二卵性双生児、

次男ロビン・ギブと三男モーリス・ギブの

3兄弟による、稀代のヴォーカルグループである。

 

この3人には、上に1945年生まれの長女レスリーと、

下には少し年の離れた弟がいた。

 

末っ子の、アンディ・ギブである

(Andy Gibb/1958年3月5日~1988年3月10日)。

 

世界的なミュージシャンを3人も兄に持つアンディは

恵まれた資質と環境を活かし、音楽の才能を伸ばして行く。

 

オーストリアでのデビュー成功を受け、

満を持して1977年、アメリカデビューを果たした結果、

バリー等とともに制作したデビューアルバム『Flowing Rivers』が

ミリオンセラーを記録。

 

続く1978年リリースの『Shadow Dancing』から

数々のヒットシングルを送り出し、

アルバムはまたも連続でミリオンに輝いた。

 

若くして誰もがうらやむ成功を収めたアンディは、しかし

明るいスポットライトで照らされた人生を送る一方、

暗い影の部分を抱えることになる。

 

コカインに手を出したのだ。

 

俳優業やタレント業にも活躍の場を広げたアンディは

心の弱さからか休みがちだったのとコカイン中毒だったのとで

次第にその手からチャンスをこぼしてしまう。

 

80年代に入り音楽を続けるも、コカインから抜けられない

アンディは絶頂期ほどのセールスは達成できない

というジレンマに陥っていた。

 

そんな中で、薬物治療にも取り組み

音楽シーンへの復帰へ向けて努力するアンディに

偉大な兄たちから手が差し伸べられる。

 

ビージーズへの加入である。

 

だが、アンディが30歳を迎えた直後、

彼は胸の痛みを訴えて緊急入院。

 

そしてウイルス感染による心筋炎により

記念すべき誕生日を迎えた5日後に

帰らぬ人となってしまった。

 

兄たちをはじめとする家族、友人たちや仕事仲間、

そして何よりこれから再び舞台の上へ戻ろうと努力していた

アンディ本人の無念さはどれほどだったろうか。

 

4人目を迎えることの無かったビージーズはその後、

2003年にモーリスが急逝。

 

2012年にはロビンが鬼籍に入った。

 

今はもうギブ兄弟による音楽が

ステージで奏でられることはない。

 

 

 

アンディが生前、兄たちと共演した映像がある。

 

 

 

アンディとモーリスとロビン。

どうか安らかに。

 

そしてバリーはいつまでも元気で長生きしてくれますように。