皆さんこんにちは!。詩吟と漢詩の井上詠月・満雄です。

“詩吟”は腹式呼吸、腹式発声が基本で健康に優れ、名詩を鑑賞することは認知症予防につながります。

李白や杜甫、杜牧や白楽天、更に子規や漱石の漢詩を鑑賞し、声高らかに吟じることは、健康的で爽快感があり、ストレス解消になります。また、優雅で風流な趣味は日々の生活に豊かな潤いを与えてくれます。貴方も「詩吟」を楽しみませんか。初心者大歓迎です。

今日は細井平州の「親を夢む」を吟じましょう。詩の内容を

良く味わいながら吟じましょう。

芳しい草が勢いよく、一日々々目を見張るばかりに伸びている。のどかな春、私の心

いたたまれないほど、家に帰りたい思いにさせてしまう。だが、故郷はここから遠く離

れていてそう簡単には帰れない。そんな気持ちが通じたのか、昨夜、夢の中で故郷に帰

り、年老いた両親にお目にかかることができ、嬉しかった。

★この詩は、長崎で勉学中、春になって故郷を思い、両親に会いたい気持ちから、夢で会えた嬉しさを詠ったものですが、夢で会えたことが、かえって淋しさ、悲しさをかもし出しています。平洲は親への孝心が非常に強かったといわれ、それがこのような詩となって表れたものと思います。また「学もし成らずんば」の意気込みも強かったようです。平洲は友情も厚く、友人の遺児の面倒を見たなど、美談逸話の多い人です。蛇足ですが、平洲を師とする上杉鷹山を、故・ケネディーが大統領就任時、日本人で最も尊敬する人だと言ったことは有名な話です。 

●萋々=草の茂った様子。●日日新=日ごとに新しく生長していること。毎日毎日、草が新しく生えているさま。●帰思=故郷へ帰りたいと思う情。●郷関=くにもと・故郷。三千里=実数ではなく遠いことをいったまで。●高堂=立派な家の意だが、ここでは両親のおられる処を敬っての形容語。 

■細井平洲(一七二八~一八〇一)=愛知県知多郡の平洲(ひらしま)村の生まれで、江戸時代中期の学者。平洲は幼時から読書を好み、名古屋に8出て中西淡淵に学んだ。淡淵の勧めで長崎に赴き学んだが母の病で帰郷。二十四歳で名古屋で塾を開いたが、まもなく江戸に出た。淡淵没後その弟子は皆平洲の門に入り、平洲の名が世間に知られるようになった。列候貴紳から庶民に至るまで、平洲を師と仰ぐものが多かった。四十四歳の時、米沢藩主・上杉鷹山の師として丁重に迎えられた。平洲の人となりは風流を好み、書画も優れ、また、人材の育成にも努めた。享年七十四歳。

●心にしみるいい詩ですね。●

 

 

 

石原洵子さんも詩吟普及に頑張っておられます。