漢詩には、えもいえぬ心をいやされる名言佳句があります。

杜甫が幸せな暮らしをしていた頃に詠まれた詩があります。杜甫の幸せそうな様子が目に浮かぶようです。

★「黄四娘」の家では、花が小路に満ちあふれ、枝と枝が重なり、垂れ下がっている。いつまでも戯れている蝶は、時々高く舞い上がり、自由気ままに啼く可愛い鶯は、「ホウホケキョ」とさえずっている。

★杜甫が成都に住んでいた頃、花を尋ねて浣花渓のほとりを散歩して作った詩です。七首連作の六首めの作品です。どの作品も、のどかで平和な田園生活を描写しています。杜甫が浣花草堂を建てたのは四十九歳の春で、杜甫の生涯のうちで最も幸せな時期でした。

花を眺め、戯れる蝶に見とれ、鳥の鳴き声に心をなごませる杜甫。「春望」は四十六歳の時の詩で、同じ花鳥風月を愛でても、その時の生活環境や心境により、心に映る風景もこのように違うのは、今も同じではないでしょうか。