杜牧の「泊秦淮」は、亡国の歌を歌う女性たちを優しい目で見つめながら詠っています。

★夜霧は、冷たい水面にたちこめ、月の光は川原の砂を白々と照らしている。そんな夜、秦淮河に船を浮べて一夜をすごしたが、川岸には料亭が立ち並んでいる。その料亭では、女たちが、陳の国の

〝亡国の恨みの歌〟とも知らず、「玉樹後庭花」の曲をにぎやかに歌っている。

★この詩は、杜牧が秦淮河に舟泊まりして、川岸の料亭で芸者たちの歌う「玉樹後庭花」の曲を聞き、「この歌はかつて国を亡ぼした、恨みのこもった歌なのだがな│」と、感慨にふけって詠じた詩です。陳叔宝(ちんしゅくほう)は日夜酒色にふけり、政治をかえりみなかったため、隋に亡ぼされました。女たちが歌うその亡国の歌「玉樹後庭花」とは、甘美で哀愁の漂った歌です。話題の歌、玉樹後庭花は後日取り上げます。