王昌齢の「芙蓉楼にて辛漸を送る」は結句が素晴らしいですね。

珠玉の名句です。

★冷たい雨が、川面に連ね、夜になって呉の地方に降ってきた。明け方、君・辛漸君を見送ると、ぽつんと楚の山が見える。洛陽に着いて、もし友人たちが、私のことを聞かれたら、「一片の氷心玉壷に在り」、と言っていたと伝えてくれたまえ。

★この詩は、王昌齢が芙蓉楼で都・洛陽へ帰る辛漸を見送ったときの詩。この詩の見どころは結句の素晴らしさである。友人を送り、一人取り残される寂しさを心に秘め、親友のいる洛陽への思いを詠っている。結句の「一片の氷心」は、清らかなること玉壺の氷の如し」と詠った古人の句に基づいたものである。