今回は杜甫の絶唱といわれる「春望」を取り上げます。

安禄山の乱で捕らわれの身となった杜甫が詠んだ詩で

「国破れて山河在り」はよく知られていますね。

★国・長安は破壊されたが自然の山河はいぜんとしてもとのままだ。人の世に何があろうとも、町には春が訪れ草木も青々と茂っている。戦乱の悲しさを思うと花を見ても涙がこぼれ、家族との別れを恨みに思い、小鳥のさえずりにも不安におののいてしまう。敵襲を知らせるのろしの火は三ヶ月も続いている。家族からの便りは途絶えがちで、たまに来ると「万金」にも相当する。しらが頭をかくと、髪の毛もますます薄くなりもはや、まったく冠をとめる簪に耐え切れなくなりそうだ(冠を被れなければ役職にも就けない)