タイムマシンって作れるの?
国民的ネコ型ロボットのお話や、青年と科学者がデロリアンに乗って過去や未来に行くシリーズなど、タイムマシンが出てくる話は数え切れないほどあります。
私も、意外と過去を引きずるタイプなので、あの時こうしておけばよかったなー、もし過去に戻れたらこうするのになー、なんて思い返す出来事は枚挙にいとまがありません。
でも、過去に戻ることは絶対にできません。
なぜならパラドックスが生じてしまうから。
過去に戻って自分の祖先を殺してしまった場合、生まれなかったはずの人間に殺されることになってしまって因果が逆転してしまうから。
と思っていたら、こんな記事が出ていました。
過去を変えても未来は変わらない?! ある物理学者が示すタイムトラベルの新たな可能性
なんと、過去に行ってもパラドックスは生じず、それを克服した新たなタイムトラベルの可能性を示す物理学者がいるとのこと。
どんな内容なんだろうと期待に胸を膨らませて読んでみました。
……
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結論。
何ひとつ分かりませんでした……💦
まとめてみると、時間が円だとするならば、ずっと先の未来が過去に繋がっている。エントロピーを減少させることができたとしたら時間を円と考えることも可能である。量子論の挙動を全ての事象に当てはめられるとしたら、パラドックスは生じない。どうやらそういうことのようです。
つまり、端的に言うと、
過去に行くことができれば、タイムマシンは作れる
ってことでいいですかね???
この物理学者さんの論文の原文を読んでいませんので、原文にはもっと詳しく書いてあるのかも知れませんが、物理学者さんご自身も仮説の証明はできないと明言されているようですし、残念ながらやっぱり机上の空論ということみたいです。
こんな記事を書いておいて、こんなことを言ってしまうと身も蓋もないですが、そもそもタイムマシンって作れないと思うんですよね。
百歩譲って、未来には行けます。
技術的なことは置いておいて、光速近くまで加速すれば時間の進み方は遅くなりますし(かの有名な相対性理論です)、コールドスリープでも未来には行けます。なんなら今晩寝て起きたら明日になってます。
但し、未来への一方通行となり、出発時点に帰ってくることはできません。
一方、もし過去に行けるとしたら、方法は主に以下の3つかと思います。
① どこかに過去が保存されていてそこに飛ぶ
② 現在から逆算した過去を生成する
③ 時間の進み方を逆にする
まず①ですが、これはどこかに過去が保存されている前提ですが、これは流石に厳しいですし、あったとしてもそこへ飛ぶ方法が分かりません。
思うに、この宇宙の物理法則を前提とする限り、過去とはあくまで概念上の存在であって、例えるとブロックチェーンにおけるノード上の記録のように、あるいはすでに燃えてしまった導火線のように、過去ログとして存在することはできるけど決して触れることのできない、そんなもののような気がします。
もしかしたら、この宇宙の外に、(何らかの意図が介在するかしないかによらず)この宇宙の全てが記録されたものが保存されているかも知れませんが、もちろんそれを知覚することもそこに行くこともできません。
なので、存在しない場所に行けないのと同じように、概念上にしか存在しない過去に飛ぶことはできないように思えます。
次に②ですが、ある時点における、この宇宙の全ての原子の挙動を限界的に観察して、それを逆算していけば、過去を作り上げることは可能かも知れません。
ただ、物理的にそんな観察も計算も、逆算した過去を作り上げることも不可能ですし、量子の挙動は確率的にしか確定し得ず、また観測によって情報が変わってしまうという量子論の基礎を踏まえると、それこそ机上の空論です。
そもそも、作ってしまっている時点で、それはもはや過去ではなく、現在において過去の状態を再現した擬似過去になってしまいますね。
最後に③ですが、膨張している宇宙もやがて自らの質量で収縮を始めるというビッグクランチ理論によれば、収縮する宇宙ではエントロピーが減少し、結果が原因を生み、時間は未来から過去に向かって流れるらしいので、そうなると過去には行けますが、みんな一緒ですし、過去に行ってることを自覚できないですし、これはタイムマシンではないですね。
あとは、ワームホールというのもありますが、こちらも概念上の存在なので、これを使って過去に行けるというのも夢物語ですね。
というわけで、タイムマシンの空想にうつつを抜かしてる暇があったら、過去に戻る必要のないくらいに充実した今を過ごしましょうってことですね。妄想することは楽しいですが。
(「過去に戻りたいとは1ミリも思わない。」李忠成さんカッコいいです。アジアカップ決勝のボレーは歴代日本代表のベストゴールだと思います。)
お読みいただき、ありがとうございました🌿