去る5月13日早朝、我が家の女王様、みぃこ嬢が死んだと連絡が入った。


 前夜に母ちゃんから、

「みぃこが用足しに行くのもしんどそう。」

 って連絡が来て、その翌朝の事だった。先週、妹2号のTwitterで「段々弱ってきた」って呟きを見てから、何と無く金曜か土曜に死ぬかも知れないって気はしてたけど…、まさか的中するとはなぁ…。

 秋葉原の駅を降りて日比谷線に移動しながらゴリラに連絡して、昼に家に電話を掛けた。親父が起きた4時半過ぎには体は温かくても息が無かったらしい。ここ数日は少し歩いたら倒れてトイレにも間に合わないくらいだったから、「やっと楽になれて良かったね。」と思ったそうだ。まぁ、そうなるよなぁ…。そう思っちゃうよなぁ…。

「婆はすぐに火葬しようと言ったけど、皆だってみたいだろうし…。」

 否、見たいんじゃなくて、家族なんだから最期に会ってちゃんと別れたいってのはあるよね!もう帰ったってみぃにゃんは居ないんだから!!

 後は夕方に母ちゃんにも電話を掛けて、ゴリラも顔出し程度になるけど来てくれると連絡を入れて、その足で実家に帰った。


 正月振りに実家最寄りの駅を降りてウチに帰ると、みぃこは通販サイトの段ボール箱の中でちゅーるの束と花に囲まれていた。最期に3回くらい鳴いてから死んだみたいだけど、呼び掛けたらいつもみたいに口を閉じたまま「んん?」と返事をしそうな顔をしていた。落ち着いて眠れるようになったんだろうな。本当に良かった。それでも死ぬ前は本当に辛かっただろうなと思ったのは、寝る前に保冷剤を取り替えるのにみぃこを抱き上げようとしたんだけど、いつも抱っこしてた時の厚みや柔らかさは既に無くて、毛皮の付いた板切れを掴んでいるような感触だったんだよね。かなりショックでかかったし、暫くその時の感覚が残った。


 みぃにゃんは14年前、10月頭の日曜日に家の軒下で雨宿りしてたのを妹2号に保護された。その前から彷徨いてたけど、この件から正式に家族になった。マイペースで来る者は拒まず、誰にでも懐きやすい性格をしている上、起きたい時間を言えば時間通りに起こしてくれるような頭の良い猫だった。思えば、はるたんを張り倒す以外に怒ったり拒絶したりなんて事も全くしなかったんだよな…。雌猫は臆病で神経質って聞いたけど、珍しいよね。





 ただ、小柄だったからか、数年おきに体調を崩してたけど、その度に持ち直していて、去年、癌が見つかって暮れに摘出したけど、それ以降も命尽きるその日まで頑張って生きてくれていた。だから、小さな体で図太く逞しく、誰にも懐き、誰にも愛される生涯を生き抜いた猫だったと思う。もう、実家に帰っても首を踏んで起こしてきたり、体の上で丸くなる事もないんだな…。





 不意に現れてから14年弱、超絶クールな女が齎したモノは俺達家族やウチに訪れた数少ない人々を癒してくれたと思う。自由になって今はどうしているんだろうな。

 みぃにゃん、今までありがとな。しぃちゃんもロックも待ってるぞ。