あれは確か、80年代も後半の、バブルの絶頂期の頃の事だった、と思うが、





 当時、割合頻繁にテレビに出ていた、前衛芸術家の、故岡本太郎氏が、



 出演していたその番組で、お墓の話題になり、お墓の事をこう、バッサリ切り捨てた事があった。






 『生きるも死ぬも、大差無い。だから僕は、あんな物は、大した意味は無い、と思うネ』





 その時、その番組で司会を務めていた、古舘伊知郎氏は、


 『そうすると先生は、生きている死人。と言う事になりますネ』


 とツッコミを入れたが、誰も笑わず、岡本氏も、何も答えなかった。





 全国ネットで流れている、テレビの生放送だ。岡本氏の発言について、古舘氏のツッコミを入れたい気持ちは、男として良くわかる。



 だが、あまりにも強烈な、岡本太郎氏のその一言は、アレから30年以上経った、令和の現代社会に生きていても、俺の脳裏に、時々、蘇ってくる。




 俺は高校生の頃、美術部に在席しており、本気で絵描きに成ろうか?と思った事もあった。



 その俺が、日本人で本当の天才画家だ!!と認めている人は2人居て、一人は、前述の岡本太郎氏。もう一人は、横尾忠則氏であった。




 そして、彼らの才能に共感してから知ったのだが、


 岡本太郎氏は、祖父、木村時春と、横尾忠則氏は、父、木村瑞彦と、それぞれ生まれた年が一緒なのである。




 まるで、先祖が俺に、働きかけて来ている様に感じる。背筋が寒くなる様な、事実である。