-日本某所・深夜-
珍しく俺のケータイがけたたましい叫びをあげる。
いのり(ん?このバイブの鳴り方は電話か?)
ケータイを開き画面を確認すると永遠に確認したくなかった事実が浮かびあがる。
<音声通話・ex.ひい☆らぎのG>
全力で無視しようかとも考えたがケータイが鳴り止む様子もなく仕方なく通話ボタンに手をかける。
つかさ『もしもしいのりん?』
いのり『お電話ありがとうございます!日本テレホンショッピングサービスセンター、担当の柊です。』
つかさ『…商品ナンバー2番のアンビリカルケーブルを大至急とどけてほしいんですけど』
いのり『ありがとうございます。係の者が大至急お届けさせていただきますのでしばらくお待ちください。』
つかさ『あとそれと…』
ガチャ
一方的に電話を切った俺はつかさの忘れ物を届けに出掛けるため愛車にキーを差し込む。
つかさに取り付けてある発信機の信号を頼りに道を駆け抜けていく。
さすがに深夜という時間帯なので人通りは極端に少ない。
ケータイ『核融合炉にさー飛び込んで(ry』
いのり(つかさからのメールか?)
いのりは片手でケータイを開き確認すると
差出人:悪勇者
本文:まだ?早くしてね
いのり(こいつはデコメの使い方間違ってないか?いや、それともこれは槍に忘れ物をくくりつけて投げろってことか?)
そんなケータイのメールを確認していると視界の端に黒く蠢く影が一瞬見えた気がした。
いのり(まさかな…)
愛車のスピードをあげ影を確認するために角を曲がると
いのり(見つけた…目標を肉眼で確認。)
目標に気づかれないように一気に距離を詰める。
いのり『ピザハットです。ご注文の品です。』
つかさ『いや、そーゆーのいいから。とりあえずコンビニ行こうぜ。』
目の前のコンビニに入り俺は即座に思った。
いのり(飲み物でも軽くおごってもらうか。)
しかしつかさの口から出たたった一言が俺を絶望に導くには十分だった。
つかさ『確か財布に200円はあるはず…!?』
俺は一瞬にしてつかさの異常を感じとったが極めて冷静を装ってすかさず言葉をなげかける。
いのり『ん?どうした?』
つかさ『200円はあると思ったのに100円しかない…』
いのり(なん…だと?こいつ100円で俺になにをおごると…)
ここで俺はまだ現状が見えずほんの僅かに判断が遅れた。
そう。つかさの手にコーラとエクレアが握られていることに気づかなかったのだ。
つかさ『頼む。200円くらい貸してくれ!!』
その言葉を聞いた瞬間全身から冷や汗が吹き出す。
いのり(こいつ俺に忘れ物を届けさせた上でお金を借りてエクレアを食う気だ…)
俺は200円を彼の手の上に乗せた。
-この物語はフィクションだと信じたいです-