諦めていたケータイがつながった!

何度も電源を入れたり切ったりしていたら、やっとだ。

カウンターが開く前に電源が入ってくれれば、日本に電話もできたのに。

今の日本時間は午前3時過ぎだ。


結局カウンターが開いてチェックインが開始されたのは、本当に

いかつい兄ちゃんに質問してから二時間すぎだった。

それまで寒いベンチに座って日記を書いたり、日本人カップルの観察をしたり、

色んな場所のトイレに行ったり、売店をじっくり用もないのに見てみたり、

うろうろうろうろ。

日記を書いていたら、スッチーらしき美人女性からバラの赤いシートを手渡され、

何かと思ったらジュエリーの宣伝だった。

空港内は清掃員が結構いて、トイレ掃除も入念にしていたが、

どの人もみんな黒人さん。

しかもみんな、やっつけ仕事のような感じで働いていた。

この国では、清掃の仕事しか与えられず、虐げられているのだろうか。

トイレに入り、洗面台で歯磨きをしていた時、清掃で入ってきた黒人のお姉さん。

体格もよく、強そう。。。

便器を洗っては、ペッ。洗面台をふいては、ペッ。

すごい態度で清掃をしながら、ツバをはいていた。

もちろん水の流れるところにだけど。

アタシがはじっこで小さくなって歯磨きしていると、上から下までなめるように観察してきて、

めんどくせー…みたいな感じで外で、ガムをくっちゃくっちゃしながら待っていた。

この人が清掃の人で、一番印象的だった。

なんだか国の問題を垣間見た気がした。(大げさ。)

そして売店もみんな、あまりやる気がない感じ。

店員同士でおしゃべりしまくったり、お客さんが入ってきてるのに雑誌読んでたり…

日本のガイドブックあるかな~と本屋も見たけれど、日本など見当たらず、つまらないお店めぐりとなった。


そんなこんなでやっとカウンターが開いた。

11番カウンターの明かりがつき、まずは違う方面のチェックインで、

時間差でマラガ行きが始まった。

無事にバッグのシールも見せて、チケットを替えてもらう。

やっと、やっとのことでチケットが引きかえられた嬉しさから、

自然と明るい声が出てしまった。

「サンキュー!!メルシー!!!!」


セキュリティチェックでは、ブーツを脱いで靴下のままゲートをくぐらされたりしたが、

何とか飛行機の目の前までは来れた。

よーし、免税店を…と意気込んだのもつかの間、

全然店がない。。。ちょっとした軽食のお店と自販機くらいしか、ない。

しかも天井はオウムの目のような感じだし、ついてない電気はあるし、

寒いし、暗いし、ヨーロピアンの中にアジアン一人は本当に孤独を感じる。

なんだよ。フランス。


そんな中、ケータイがつながったものだから、選択受信にしていたメィルも勢いで(間違えて)

全部受信してしまった。

そういう時に限って、バカでかいパケットの広告メィルがきてるんだ。

海外はパケホが使えないのに。

それでも嬉しくて、ついついメィルでmixiを更新する。


隣に座った、何人かわからないけど、たぶんヨーロピアンの人もケータイをいぢっていた。

白黒の小さい画面のケータイ。

アタシのはなんて無駄に色とりどりでデカイ画面なのだろう。

そんな感じで色々と観察をしていたが、

見る人見る人、アタシをじっくり見てくる。

向こうもアタシを観察している。。。


もうすぐ搭乗だけど、時間がまだあったので、遠い方のトイレに行ってみた。

時間があると無駄に動きたくなる。

全部閉まっていて、ひとつから白人のねーちゃんが出てきたので、入れ替わりで入ってみると、

便座がない。

これじゃあ、おしりすっぽりだよ?ここ女便ですよね?

しかもあの白人のねーちゃん、どうやって用を足したんだ!?

結局戻って、ゲートの近いトイレでゆっくり座った。


さて、72ゲートで搭乗が始まった。

72ゲートはすごい人だかりだ。

しかもその人だかりの真ん中にいる黒人のお姉さんが、マイクで何か放送している。

でも全然何言ってるか、わかんない。

あの人ごみにはちょっと紛れたくないなー。。。どうしようかなー。。。

と迷っていると、目の前のベンチに日本人らしき若夫婦が。

手には、あの日本の赤いパスポートが握られている。

よく聞いてみると話しているコトバも、日本語だ。6時間ぶりの日本語だ。

旦那らしき男性がカウンター方面に行って、帰って来たので、思い切って話しかけてみた。

「あの…日本の方ですよね?あれ、何言ってるか、わかりますか??」

「いや~私もわからないんですよ。。。」

途方に暮れる日本人。

売店から帰ってきた奥さんにも聞いてみるが、

「コトバの壁がねぇ…」

との返事。このお二人もヨーロピアンで孤独を味わっているのだろうか。

結局彼らの行き先はマラガではなく、しかもマラガより早い出発のはずなのに、

飛行機が遅れているらしく(そのため、すごい人だかりだったようだ。)

72ゲートの人だかりが消えたので、思い切って行ってみることにした。

もう時間もせまっている。

「行ってきます!」

「お気をつけて!」

と若夫婦に見送られて、パリを旅立つことにした。


チケットを機械に通すと、ピーーーッッ!!とすごい音。

赤ランプもついて、読み取れなかったことを示す。

まぢビビる。

もう一度やり直してみると、緑のランプとともに、短くなったチケットが出てきた。

よかった。これでパリの地から脱出できる。


搭乗口をよく見ると、72もA~Cがあり、それぞれが全く異なる行き先の飛行機だった。

危ない。。。

目の前にとまっている飛行機は、ガラスで仕切られた隣のゲートから行けるようで、

アタシの道は、途中でそれて、何故かぐるぐると下階へ向かった。

そしてその先にはバスが待ち構えていた。

直接飛行機に乗れると思ったのに…。

しかもバスは結構満員状態。

すぐにでも出発!のような雰囲気だったので、人をかきわけて飛び乗ったが、

そーでもなく。

あけっぱのドアからは、昼間マイナス1℃だった空気が、夜になってもっと冷やされて流れ込んでくる。

寒い。

真ん中が電車のような蛇腹になっている長いバスは、たぶん全員を乗せ、

広いシャルルドゴールの中を走りだす。

外は本当に寒そうだ。

地面は凍っているのか。スリップはしないのだろうか。。。

など、無駄に考えながら、でかいヨーロピアンに挟まれてバスに揺られていた。

バスはAIR FRANCE機の前でとまった。

バスを降り、少しフランスの地面を踏みながら、飛行機に乗り込む。


長かった約6時間…おフランスのパリ・シャルルドゴール空港よ。さようなら。