まず空港でやることと言えば、両替だ。

特に今回は向こうに着くのが夜中なので、こちらで両替していった方が安全である。

まだ早い時間だったので、あいているカウンターは見える範囲で一か所のみ。

両替用紙2枚を記入し、万札を握りしめて順番を待つ。

それらをおばさんに手渡すと、手早く仕分けて、奥から手渡されるのを待つ。

「はい。まずユーロが三万円分。おつりはこれだけね。」

と、ユーロと日本円を出してくれた。

「次がポンド二万円分ね。ちょっとレートがあれで、日本円が多くなっちゃったけど。」

と、ポンドと日本円を出してくれた。

日本円は1円単位まで出ているので、めっちゃ細かくなっている。

それを日本円用の財布へ突っ込む。

普段使いの財布なので、ぱんぱんだ。

ユーロ札とポンド札はそれぞれわかりやすいポーチに入れる。

本当はモロッコのディルハムも替えたいところだが、

ディルハムはモロッコ内でしか替えられないのであきらめる。


二階に登り、本屋があったので物色。

さすが空港。世界各国の地球の歩き方や指差し会話帳がそろっている。

こんなに小さな本屋なのに。

少し暑くなってきたので、見学デッキに出てみる。

朝の空気が冷たくて気持ちがいい。

次に外の空気に触れられるのは、いったい何時間後になるのであろうか。

飛行機を眺めながら、ちょっと気功をしていたら催してきたのでトイレへ。

日本で最後の落とし物をしたら、なんだか気分まですっきりして、勢いがついてしまい、

何故か本屋に向かい、モロッコの指差し会話帳を買ってしまった。

地球の歩き方を買った時は、必要ないと思っていたのに。

おそるべし。う○こパワー。

図書カードを大量に使ったので新人らしきお姉ちゃんはワタワタ…

申し訳なく思いながら、下階へ降りて出国。


荷物検査を経て、イミグレ。

イミグレでは「オートゲート」なるものがあり、とっても気になったが、誰もやっていなかったし、

案内係も何も言ってくれなかったので、普通のカウンターに行ってしまった。

でも後からやってる人を見ていたが、普通にカウンターに行った方が速そうな気が…

ETCよりも効率が悪そうなオートゲートだった。



アタシの飛行機のゲートは92。

連絡線で向こうの島に渡らなくてはならないので、免税店も特に見るものもないのでひたすら目的地へ。

途中で迷って英語になってない英語で聞いてるおじいちゃんを見ながら、連絡線で渡る。

確かオーストラリアに行った時もこれに乗ったな。

JALなんだから島に渡さなくてもいいのに…とぶつぶつ心の中で文句を垂れていた。

途中、見慣れた本屋、三省堂があったので再び立ち寄る。

図書カードもあまっていたし、やっぱり小説を買おうと思ったのである。

時間をかけて吟味して、結局手にとったのは村上春樹であった。

最近この人の本が、何故か読みたい。

しかし免税だからなのか、図書カードが使えず、結局春樹はあきらめた。


本屋から少し行くとすぐにゲート92があった。

出発までまだ2時間もあるので人もまばら。

ボウズのいかついフランス人っぽい男性が一人、椅子に横たわっていた。

小腹がすいたので、目の前にある売店を物色。

おにぎりコーナーの一角、輝いている紅を見つけてしまった。

お赤飯だぁ~!

これから24日間、絶対食べられないであろうお赤飯。

一目見て決めてしまった。


92ゲートの近くで、食べながら人間観察。

だんだんに人が増えてきて、スッチーなども飛行機へ乗り込み始める。

ちょっと離れたアタシの正面に座っていたおじいさんが、やたらと白人スッチーに話しかけていた。

スッチーの反応はなんだかイイ感じだったので、JALのOBか?と思っていたが、

その後普通にカウンターに呼び出されていたので、一般客だったと判明。

呼び出されていた名前は、中国系っぽかった。

…日本人だと思っていたよ。じいちゃん。


10時40分すぎ、搭乗が開始される。

どうせ通路側なので列には並ばず、椅子で待つこと10分。

搭乗の際にもパスポート確認があるから時間がかかる。

列が若干短くなったのでアタシも飛行機の中へ。


さよなら日本。


24日間も日本の領土を出るなんて、信じられない。


1年とか世界一周とか、もっと長い時間日本を出る人は、ここでどんな心持なんだろうか。