異形
南北朝 6回目
「将軍、お話があります」
と脇屋義助が義貞に言った。
「聞こう」
「後醍醐天皇は足利と和議を結ばれ、比叡山を下りられるのではありませんか」
「義助は主上が信じられぬと言うのか」
「畏れながら…」
「お前はどうしたい」
「恒良親王様を推戴して、新たな王朝を打ち立てたいと思います」
義貞は義助の言葉に驚いたが、
「それも一理あるな」
とうなずいた。
「将軍、足利が強勢となったのは後醍醐天皇から離れたからです。いくさの解らぬ公家に振り回されて、湊川では多くの将兵を失いました」
義貞は楠木正成を思い出し、
「楠木殿が言っていた。一度京を捨てて足利軍を京に入れ、楠木勢と新田勢で挟み撃ちにするのがいいと。いま思えば、自ら勝てるいくさを捨てたようだ」
と語った。
「将軍、越前は大国です。ここに新たな天地を開くべきです」
「わかった」
義貞は動き始めた。
息子の新田義顕を越後国に派遣し、越後の武士・寺社の勢力を動員しようとした。
また、弟の脇屋義助を杣山城に入れ、越前国府の足利勢に対抗させた。
次回は明日書きます。