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『役者』 ちあきなおみ

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今回はシャンソンやジャズを愛した伝説の昭和歌謡歌手、ちあきなおみさんの曲を紹介します。

1947年夏、日本は大型台風に見舞われていました。

9月17日、台風は関東を呑みこみ、大洪水など様々な被害を受け人々が恐怖していたさなか

板橋区にて彼女は生まれました。

彼女に漂う哀愁や妖しさを暗示するかの如く、決して明るく晴れ晴れしくは無い時に誕生しました。

年を同じくして誕生したミュージシャンは、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン、クイーンのギタリストのブライアン・メイ

日本では、先日お亡くなりになった加藤和彦さん、音楽関係で無いですが世界の北野ことビートたけしも同年の出生です。


伝説の昭和歌謡歌手と言えば、美空ひばりさんというイメージがありますが

彼女の優れた歌唱能力や声の素晴らしさや、それらが生み出す深みのある歌の旨さから言って、寸分違わぬ天才且つ伝説の歌手と言えると僕は思います。

煌びやかな存在の美空ひばりさんに相対するかの如く、何処か影のある彼女が歌った数ある名曲の中から「役者」。

ちあきなおみ ベスト
ちあきなおみ ベスト


男と女の間に流れる涙や、訪れる別れを歌えば敵無し、心を打たれない人はいない。そんな彼女は過去に2回、ステージで輝く歌手の世界に別れを告げました。

1度は返り咲いたものの、78年に俳優であり夫の郷鍈治との死別と同時に歌手活動には2度目の別れを告げ、以来31年間、輝くライトの下に現われてはいません。

そんな彼女が1度返り咲いた時に歌ったのが「役者」です。

88年、僕は3歳なのでリアルタイムでこの歌に感動する事は無かったのですが、現在でも素晴らしい曲である事に変わりは無いのではないでしょうか。

作詞は、テレサ・テンの「つぐない」等数々の名曲を手掛ける荒木とよひささん。

正直、「つぐない」にしようか「役者」にしようか迷ったのですが、親兄弟共に大好きなちあきなおみさんだったので「役者」にしました。


この「役者」歌は男女の別れを女性目線で歌ったものです。

時代背景からすると、現代に比べて女性のあるべき姿というものに古い感覚が残っていて

堂々としいて仕事もこなす女性や、明るくて大口を開けて笑うような元気な女性よりは

芯はしっかりしているけど控えめで、辛い事にもグっと堪えて生きているような女性に美しい女の理想があったかと思います。

歌い出しの「愛の幕切れは 涙の数だけ」という部分には、そんな女性が感情をむき出して涙してしまう程、痛切な愛の切れ目を感じてしまいます。

「ふられ役なら慣れっこだから」や、サビの歌い終わりの「泣くしかできない 私役者だね」というのは

決して男の前で別れを悲しむか弱き乙女心を演じる悪女という意味では無く

現実だった幸福な愛が、単なる記憶になってしまう事を嘆いている様子を自ら客観視して

強く生きる為に、この涙は悲劇の女を演じ、そんな自分に酔っているんだと言い聞かせるんですね。

世の中誰にだって辛い別れなんて数多く存在するのに、まるでこの世で一番悲しい別れだと感じてしまう自分を戒めると同時に

ほんの少しだけ、明日への希望を見出そうと必死な女性の姿が見えませんか?

「役者」というたった2文字に、感情の動きがとてつもなく詰まっているんです。


2番の歌詞に「生きるだけならカスミを食べて、明日もどうにかなるけれど」とありますが

カスミって言うのは霞。

要は、何も食ってないんですね。

きっと、別れた男が好きだった酒を独りきりで飲んで泣いているんです。

切り傷や擦り傷はアルコールで消毒できますが、心の傷は消毒できないんです。

独りきりでいる事でじわじわと広がっていく辛さという毒素と痛みを

酔っている間だけ効いてくれる、軽い痛み止めぐらいの役割にしかならない酒で

心の傷を誤魔化しているんですね。


止みそうもない涙と心の痛み、そして女心の葛藤が宿ったちあきなおみの声を肴に

今夜は哀愁の酒を飲んでみてはいかがでしょうか?

再び彼女の歌声を現在のものとして聞きたいと願う事が、彼女にとって善き事なのかはわかりません。

しかし、現在でも彼女の歌を愛する事は素晴らしい事だと思います。


ちあきなおみ「役者」の紹介でした。


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「What's going on」 Marvin Gaye

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先日友人のバースディパーティに出かけ、同郷仲間のDJが流してくれる音楽に酔い、酒に酔いながらお祝いしてきました。

プレゼントは見た目がアレそっくりな西東京名物のかりん糖をよりどりセットで。

ウケ狙いのかりん糖だったけど、普通に喜ばれてしまいました…。

音楽が流れる事でパーティは盛り上がり、ダンスする人もちらほらと。

「音楽」の力っていうのは、人間誰であっても感じられる素晴らしいものだなと、思いながらビールを飲みまくってきました。

次の日がライブだった為、あまり酒は飲まないでいようと心に決めていたけど

ビールのおかわりを何度も注文する自分のコップを見ながら

(これも、「音楽」の力か…)

と、怠け者故の都合の良い解釈で飲みまくってやりましたわ。ワッハッハ。


そんな「音楽」の力では全世界、全人類を救う事は無理かもしれません。

例えそうだったとしても、「音楽」の力が偉大なものだと心から信じたくなる名曲を今日は紹介します。

ホワッツ・ゴーイン・オン
ホワッツ・ゴーイン・オン


60・70年代の音楽に、そしてソウルミュージックにこの人あり!のマーヴィン・ゲイ殿の「what going on」

生きていれば、ムッシュかまやつ、中村玉緒、桂枝雀と同じ歳だけど

44歳の時に、実の父に口論の末、射殺されるという悲劇があり、今は天国におられます。

この「what going on」は彼が30代前半、71年に発表されたもので

マイケルジャクソンやスティーヴィワンダー等、数々のスーパーアーティストが所属したモータウンレコードで、一番売れた曲。

文句無しに名曲のこの曲は、マーヴィン・ゲイがベトナム戦争から帰還した弟に、戦場での悲惨な話を聞いて書いた曲と言われています。

what going on~何が起こっているんだ

これは争い事や、暴力が振るわれている処では、人という生き物に何が起きているんだ?

という意味だと思います。

マーヴィン・ゲイは、争いや暴力に対して嘆き苦しむだけで無く、愛で世界を救おうというメッセージを歌いました。

暴力が善で無い事、人殺しが善で無い事は誰だって知っているのに、止むことの無い銃弾の音と流れる血と涙。

金や政治の問題で争いが起こる世の中だったとしても、どうして罪や悪を知っているであろう人間が参加し

時に戦火に油を注ぐような事態を招くのか?

そういった疑問に、彼は人同士が話しをする事、聞く事が大切だと言いっています。

人と人が話し合い、お互いを理解し合う事で、そこに愛が生まれ

人が人を殺す事の重大さを見失う事や、善悪の判断を狂わし銃を向け合うような戦争というものは起こり得ないはずだと。


現代人というのは議論を遠ざける傾向にあると僕は思っています。

特に戦争などの話題は、日常会話に持ちあがる事は無いどころか

そんな暗い話は止めて、もっと楽しい話をしようよ。というのが現代人の、今や当たり前のスタンスです。

確かにポジティブに生きる事は大切ですが、ヘラヘラしているだけではポジティブだとは言えませんよね。

海を越えれば戦争は起こっているし、海を越え無くとも、すぐそこで何かが起こっているでしょ。

最近、現代人の話題の8割がゴシップ、噂話だという統計を出した人がいます。

テレビや新聞に取り上げられないだけで、戦争は毎日起こっているっていうのに

馬鹿話やゴシップを話題に盛り上がっているだけというのは、大いなる悲劇で、どこがポジティブなんだと思いませんか?


もちろん、そんな話ばかりじゃ人間やってられませんが、たまにはね。

わかんね~から!じゃなくて、わかんね~なりに話し合う事が大切なんだと思います。

僕程では無いにしろデキの悪かった友人で、今では塾講師に成り上がった男が言ってました。

人は知識より意識が大切なんだと。


what going on は現代でもとても愛されている曲です。

ジャンルを越え、HIPHOPでもサンプリングされたりしてるので、現代の音として聞いている人もたくさんいると思います。

マーヴィン・ゲイのメッセージは現代でも色褪せる事なく生き続けているんですね。

地球に、そして人類に愛が降り注ぐ事を祈って、マーヴィン・ゲイ「What Going On」の紹介でした。



『ONCE AGAIN』~Rhyme Ster

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10月14日、待ちに待ったライムスターの新曲が発売。

期待に胸を、道行く美しいお姉さんに股間を膨らませ、近所のCDショップ、バンダレコードへ。

弱肉強食ジャングルで獲物へ向かって猛進するヨダレ虎の如く、突っ走って

入り口の自動ドアが開くスピードは普段より幾分遅く、苛立ちも抱えながらNEWシングルコーナーへ。

凄まじいインパクトを放つジャケットは、抱えていた苛立ちの呪縛も解き放ち

(え?何これ?光ってんの?)

と思わせる程。

(あ~これ絶対カッコイイわ。)

と、聞いてもいないのに確信めいた閃きを頂き。

可愛い女性店員さんがレジで作業している事を確認し、CDを持ってレジへ。

「すいません」

と女性店員の背中へ声を掛けると、横からデカイ男性店員が割り込み

「お待たせしました~♪」

(お前は待ってないけどね!)

と意地汚い心の声を喉元で緊急ブレーキを掛け、家路を急ぎ、CDを、新曲を

「ライムスター」3年ぶり!「ONCE AGAIN」を堪能。

ONCE AGAIN(初回生産限定盤)(DVD付)
ONCE AGAIN(初回生産限定盤)(DVD付)


最高です。

初回限定でPVのDVDがついていた事が、ライムスターの面々の渋さ故の格好良さが、感動に感動を上乗せして

心と目と耳で感動のミルフィーユを頂きました。


自身の中での、ライムスターと言えば曲は勿論、独特な声や歌い方の格好良さに知性を兼ね備えた

正真正銘にキングオブステージというイメージを、やっぱりそうなんだと、確信させて頂きました。


特に今回思ったのが、言葉巧みなライムスターが毒っ気無しに凄く真っ直ぐな歌を歌っているという事。

大人の男だから曝け出して格好良い、自分の格好悪さや弱さと、其処から生まれる強さ&男気。

ライムスターのラッパーの2人から放たれた言葉と言うより、等身大を曝け出して立ち上がる大人の男の姿を

ライムスターのラッパー2人のフィルターを通して2人の言葉で、そして感性で放たれているといった感じを受けます。

だからこそ、聞いている人も感情移入できるし、格好良い。良すぎる。


最初は宇多丸師匠のラップから始まり

前半と中盤では大人の男のマイナスイメージを歌い、後半では立ち上がっていく様子を

『オレは古着 だが洗いたてのブルージーンズ』という最高のフレーズに乗せ

午前零時という日が変わる瞬間に、男が立ち上がるその瞬間を被せて

突然、心の闇に光が刺す後半部分が凄く際立ち、胸を打ち、熱くさせてくれます。

(マジ最高ッス!)

次にmummy-D様のリリック格好良すぎラップ。

今度は男が立ち上がる瞬間を流動的に、じわじわと鳥肌が立つ瞬間に向けて気分を持ち上げてくれます。

今流行りの日本語で、白黒付かない様子をグレーゾーンなんて言ったりするけど

『grayなnoteに命与えよう』(灰色の鍵盤に命与えよう)

なんてイカした最高にシビれるフレーズをお見舞いして頂けます。

自問自答しながら、愛する人にも嫌いな人にも、礼の気持ちを持って立ち上がるこの男、

感電間違い無しのラフネス&タフネス男です。


3年振りに立ち上がったライムスター。

今までにはあまりなかった2人個別のラップが1回ずつという構成。

そして、少しスローなテンポにシンプルなリズム&変わり種要素を必要としない2人の個性的ラップ

それらが、凄まじい説得力を感じさせてくれます。(ホント最高!)


大人の男に、全ての男に、日出る国日本に、ライムスターのメッセージ&ライムが爆発する事間違い無し。

最高に渋く、格好良い曲です。



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