リトルウィッチアカデミア続編構想。TVアニメ版の10年後を描く物語のPartⅡの始まりです。

PartⅠは1学期の話(2023年3月末~8月末)でしたが、これは10月の魔法祭のお話。

でも、実はアッコ達在学中より前の時代からスタートします。

 

第1話 悪ガキと妖精 (アッコ達在学中より前 悪ガキ6才)
第2話 魔女パレード (アッコ達在学中 アッコ達17才 悪ガキ11才)
第3話 ロッテカンパニー (アッコ達卒業後)
第4話 新世代魔法祭 (現在 アッコ達26才 悪ガキ20才 パール達16才)

第5話 バーニッシュ

第6話 マスタークラウン

第7話 愛の魔法神器

 

 

 

 

◆2014年10月 ブライトンベリー魔女パレード

 

翼をつけたアッコが光魔法を放つ。光の中でクリオネの様な妖精たちが無数に舞う。

その年の初め、ようやく空に浮くことができるようになったアッコがすばらしいパォーマンスを見せる。これは不思議な鳥型妖精とちょっと生意気な少年とのシナジーの結果だった。

 

アッコは観客の傍まで飛んで行く。その先に居るのは、そそくさと恥ずかしそうに会場を去ろうとする少年。

その彼に向かってアッコが叫ぶ。

 

「どう!? これが魔法よ!!!  悪ガキさん 」

「でも・・・ありがとう!!!💗 」

 

 

 

◆2009年 トーマス家にて

 

トーマス・モリス 6才、ごく普通の、しかし、ちょっとワルっぽい、でも可愛い盛りの男の子。同時にワンパク盛りで兄と共に叫びながら遊びまくるのが日課だった。

 

彼の父ロバートは投資家。未来を見据えた価値判断で今後成長していく分野に投資を行う。

なので、職業としての魔法使いは全く眼中にはなかった。住んでいる町の近くに未だ存在している魔法学校の存在意義にも極めて否定的で、この町の正常な経済活動、そして子供たちの未来のためには早く無くなってもらうべき、とさえ考えていた。

魔女の歴史に関するイベント、特に迫害を忘れないためのイベントも行われていたが、博物館的な意義は認めても、再び魔法に脚光を浴びせようとする動きには断固反対する立場だった。

 

したがって、子供にも、おとぎ話の類としてさえ一切魔法の話題は出さなかった。

だが、トーマスは、祖父の家を訪れたことで、魔法というものがこの世に存在していることを思わぬ形で知ることになる。

 

◆祖父の家

 

祖父フランクリンは収集家だった。いや、一応民俗学者ということになっているが、世界各地を巡り、様々な珍しいものを収集してくるだけの変わった人と見られることが多かった。父はそんな祖父が嫌いだった。もっと実利的で未来に目を向けた仕事をやっていて欲しかった。家が古めかしい骨董品で埋まって行くのも嫌だった。

 

だが、そんな祖父の家にも1年に1度は訪れていたのである。

 

トーマスは6才、6才ともなれば大人の言動も良く観察・理解し、意見を述べる子もいると言われるが、彼はまさにそんな子だった。父親とタイプの違う祖父との会話から2人の考え方の違いを感じ取り、自分自身の考えを子供心にも育てて行くのである。

 

「こんにちわ~ お手伝いさんはいますか?」

父が尋ねた。祖父の世話役の人を呼んでいるのだ。

 

「はーい、ちょっとお待ちください。」 快活なお手伝いさんのリリーが返事をする。

 

「わざわざ遠くからありがとうございます。お疲れになったでしょうから。まずは部屋でくつろぎください。」

 

いつもの部屋に通され、くつろぐトーマスとトーマス父。今回はお母さんと兄は付いてきておらず、2人での訪問だ。

 

「今日は何の用だっけ? 今日は2人だけで兄ちゃんもいないし、おもしろくないな~ 」不満を漏らすトーマス。

 

「じいさんが元気かどうか確かめに来ただけだが、今回はじいさんはお前に用があるらしいぞ。何かおもしろいものを見せてくれるそうだ。」

 

「そうなの? おもしろいものって何?」

 

「わからんが、じいさんのことだ。たぶんしょうもないものだろう。古めかしい骨董品かな。私には価値がわからんが。。。孫のためを思ってのことかもしれんが、あまり期待しない方がいいぞ。」

 

「なんだよ、それ。でも、僕は期待しようかな。してもいい気がする。」

 

「おーい、よく来てくれた。」

ようやく祖父が現れた。

 

「トーマスもまた大きくなったな。だいぶしっかりした子になってきよったな。」

 

「相変わらず元気そうで、何より。今日はトーマスに見せたいものがあるということでそれがメインで来たんだが、それを見た後、俺はすぐに戻らないといけないので、その後もあるのなら、トーマスは泊まりにして明日迎えにくるけど、それでいいかな。」と父。

 

「えーっ、そんなの聞いていないよ。僕も戻りたいよ。」と思わず本音が出るトーマス。子供だし仕方がない。

 

「ちょっとはじいさんを楽しませてあげなよ。意外とこの家も探検すると面白いかもしれないぜ。」と残るメリットを取り繕う父。

 

でも、そこは流石というか、好奇心旺盛なトーマスの性格を捉えた良い発言だった。

 

「確かに・・この家はおもしろそうだ・・・・何か居そうな気がする・・・」

「わかった、今日、じいちゃんの家に泊まる! 」

とあっさり同意したのである。

 

確かにこの家は薄気味悪い。イギリスには幽霊の出る家が多く報告されているが、ここも普通に出てもおかしくない雰囲気だ。

 

「それで、おじいちゃんが見せたいものって何なの? 」

 

「フフフ、気になるか? 妖精さんだ・・・・・ 」

 

「え、何?? 妖精??? 」

 

◆魔法の話

 

「お父さん、また変なものを見せないでくださいよ。私が魔法嫌いなのを知っているでしょう。」と抗議する父。

 

「え、そうなの、魔法って・・・どういうこと。」

魔法のことは友人から聞くことはあっても家で聞くことは全く無かった。ただ、あまり興味もなかった。下らない作り話の類と思っていたからだ。

父が魔法の話をしないのは、話をするまでもない、下らないものだからと思っていた。が、魔法の話をしてはいけないと、ちょっと敵視しているような口ぶりに、何か重要なことが却って潜んでいるように感じたのだ。トーマスの鋭さは決して侮ってはいけなかった。

 

「お前には魔法はもう要らないかもしれないが、子供には知ってもらっていてもいいと思うのじゃが・・」 不満げにつぶやくじいちゃん

 

( ”もう” 要らない・・? 今は要らないということ? 昔は?)ちょっと疑問に思うトーマス。

 

「妖精って何なの? 」 基本的なことから聞くトーマス。

 

「妖精か・・・それは魔法の力、魔力を得て生きる不思議な生き物じゃ。人間と同じく魔法を使う。人間の魔法をサポートもしてくれる。」

 

「人間も魔法を使えるの? 」 重要なテーマに入って来た。

 

「もちろんじゃ、魔法は人間が本来持っている力・・ 」

 

「また、変なことを吹き込まないでくださいよ。 トーマス、真面目に信じちゃだめだよ。。」と抗議を差し込む父。

 

「まあ、判断はこの子が見たものでさせるのがいいじゃろ。子供の素直な心が一番。」と返すおじいちゃん。

 

「じゃあ、会いに行こう・・と言いたいところだが、時間が大事での。今はダメだ。夜まで待てるか? 」

 

「それじゃあ、私は帰りますよ。あとはよろしく頼みます。」と父。

 

◆謎の妖精

 

「誰!?」

 

トーマスは夜、皆が寝静まった屋敷で一人歩きまわっていた。

 

夜になれば、一緒に妖精さんに会いに行くと言っていたおじいちゃんも、そんなことも忘れて寝てしまっていた。

 

「ホント、いい加減だなあ。大人たちは。」と思いながらも、この屋敷の探検はスリルも有り、実はワクワクしていた。

 

その時、何かの気配を感じたんだ。

 

何かが部屋の隅で動いた。小さな小人のような姿をした妖精だ。でも彼らはおじいちゃんが見せたいと言っていた妖精ではなかった。彼らはこの屋敷におじいちゃんと共に住み着いている(ごく一般的な)知恵の妖精(グレムリン)だった。

 

「なんだ、ちっこい連中なのか。妖精さんは?」

 

おそるおそる進むトーマス。

 

悪戯好きな知恵の妖精が彼を面白いところに連れて行こうとしていたようだ。

 

キラキラと身体を光らせながら、トーマスを誘う。

 

トーマスは不思議と怖さは無かった。いや、むしろ6才の好奇心旺盛な子供に怖いものなど無いと言ってもいいくらいだろう。

 

奥の隠し部屋の様な所に誘い込まれるトーマス。かなり厳重に戸締りがしてある。さすがに一人で勝手に入ってはいけない気もしてきた。

だが、知恵の妖精は簡単に扉を開けてしまう。

 

珍しい骨董品の数々が収められたおじいちゃんの宝の部屋の様だった。

 

中に入って行くトーマス。やはり好奇心の方が勝ってしまう。

壁にはエキゾチックな香りのする大きな民芸品がかけられ、棚には同様の少し小さな民芸品がところ狭しと並べられていた。

しばらく進むと中央に大きな籠が見えてきた。
木で組み上げられた釣り鐘型の伝統的な鳥籠だ。どことなく中国製の香りがする。

トーマスは目をこすり、中を凝視する。何かが居る様に思えたのだ。が、良く見ようとすると逆に何も見えてこなかった。
「おかしいな、気のせいかな?? 何か居たような気がしたんだけど・・・」
目を逸らすと籠の中に何かが見えた(ような気がした)。
「あれ? 」 しかし、見つめると何も見えない。
トーマスには一種の騙し合いのゲームが行われている様に思えてきた。
「いや、絶対何か居る。見つけてやるぜ!!」とこんなことにも闘志を燃やすトーマス。
視線を合わせないようにして”見る”。そのテクニックを研ぎ澄ましていくトーマス。

 

すると・・・
 

この家にも子供が居たんだね。
 

突然の声に驚くトーマス!!

「だ・誰!?」

鳥籠の中の空気がユラユラと揺らぎ始めた。まるで見えない炎が揺らいでいるように・・・
トーマスは明らかに何かが居ると確信し、恐れを感じつつも、しかし、さきほどの声からは同世代の子供のような親しみを感じていた。
揺らぐ空気が徐々に何らかの形を持ち始めた。空気がゼリーの様に固まっていく様だった。
そして色も付いていく。赤と朱色、黄色もあるようだ。
そして、ゼリーは美しい鳥となった。
あっけにとられるトーマス。

「こんばんわ。僕はジョニィ。君は?」
人の言葉を喋り、しかも人の様な名前を名乗る鳥に呆然としながらも、自然と返事が口から出るトーマス。

「僕はトーマス。おじいちゃんの家に遊びにきたんだ。おじいちゃんは妖精と会わせてくれると言っていたけど、君がその妖精なの?」

「妖精? それは何? 人間が僕達をそう呼んでいるの?」

「おじいちゃんは、妖精は魔法を使えると言っていた。君は使えるの?」

「魔法? それはこういうことかい?」
鳥は翼を広げると炎のようなものを出し、それはあっという間に花に変わった。
「君にあげるよ。」

美しいマジックにみとれるトーマス。
「そう・・・これが魔法・・きっと・・そうだ 」 夢見心地のトーマス。

 

しばし、時が流れた。

 

素晴らしいものを見せられたトーマスは自然と感謝の気持ちが湧き上がり、同時にこの鳥の様な妖精のことをもっと知りたいと思った。

 

「君はどこから来たの? どうして籠に入っているの?」

 

鳥は少し笑ったかの様に答える。

「わかんない。どうしてここにいるのかも。」

 

「でも、君と話せてうれしい。おじいさんが話す言葉はわかるけど、おじいさんには僕の声は聞こえないみたいなんだ。」

 

「そうなの? おじいちゃんは君のことを紹介すると言っていた。いろいろ知っているかと思っていた。」

 

「籠の外には出られないの?」 出してあげたいトーマス。

「君が開けてくれたら出られるよ。」 と答える鳥のような妖精。

「魔法で出られないの?」 すごいものを見せられたのに?と疑問に思うトーマス。

「魔法では開けられない籠なんだ。」 理由を話す妖精ジョニィ。

「え、そうなの? そんなものがあるんだ。これは誰が作ったんだろう。」 少し籠を作った者に嫌な気持ちを抱くトーマス。

「じゃあ、開けてあげる。自由にしてあげるよ。そしてもっと君のことを教えて。」 トーマスは一瞬おじいさんに怒られるかな?とも思ったが、この奇妙な、でも魅力的な友達と、もっと自由に遊びたい気持ちが大いに勝っていた。

 

◆籠の開け方

とりあえず、籠を開けようとするトーマス。しかし、開け方がわからない。そもそも扉らしきものが無い。

「なんだ、この鳥籠は? どうやって開けるんだ。」

「ねえ、鳥さん、君はどうやって入ったの?」 仕方なく妖精に聞くトーマス。

「入ったんじゃなくて僕の周りに籠ができたんだよ。」

「え、どういうこと?」

「人間の魔法使いがそうしたみたいなんだ。」

「え・・・・」

と、その時、後ろから声がした。

「おいおい、トーマス、なんてことを・・・勝手に妖精に会っていたのか。」

おじいちゃんの声だった。

「もしかして、籠から出そうというのかい。」

「ああ・・・ごめんなさい💦💦 鳥さん?・・妖精さん?が出たいと言ったので・・・・」と、ドギマギしながら答えるトーマス。

「出たいと言った??」

「この子の言うことがわかるのかい?」 驚くおじいちゃん。

「そう、普通にしゃべれるよ。僕と同じくらいの子供みたいだ。」

「なんと、そういうことだったのか。」 何かを悟ったようなおじいちゃん。

「それでは、開けてあげよう。ちょっと下がっておれ。」

おじいちゃんが何かをしでかすようだったので、ヤバイと思ったのか?素直に後ずさりするトーマス。

おじいちゃんは腰から何か杖の様なものを取り出すと、一言 「カヴェアルクス!」

「え、なに??」 おじいちゃんが、呪文の様なものを唱えたことに、大いに驚くトーマス。

すると鳥籠が霧散し、美しい鳥がより生々しく目の前に現れた。

「え、え、え、 今の何??? 」 奇声を上げるトーマス。

「え、まさか、魔法?? え、おじいちゃん、魔法が使えるの?? 」

「何を言っておる。朝も言っただろ。人間は誰しも魔法を使えるんじゃよ。」

「う・・嘘、じゃあ、僕も? 」

「もちろんじゃとも、まあ、訓練は要るがの。」

 

◆鳳凰の飛翔

2人の会話を微笑みながら聞いている者が居た。

鳥の様な妖精、ジョニィである。

この人の心を持った鳥の様な妖精。
正体は中国の霊鳥鳳凰。いや、人間がそう呼んでいるだけだが。。。。
そして、その能力を人はまだまだ知らない。

「トーマス、じゃあ、飛ぶよ!! 」

トーマスの心の中にジョニィのちょっと嬉しそうな声が聞こえてきた。

「え、ちょっと待って。」

翼を広げた鳥はとても大きく見えた。
いや、実際大きくなっていた。


そして、また炎のようなものを今度は翼全体から出す。
花になった時の様な一つの塊ではなく、翼の輪郭に沿って出る繋がった炎だ。

それが波紋の様に広がって行く。

炎は青く、同時に青い光がこの鳥の様な妖精の頭部に現れ始めた。
するとなんと、頭部から青く光るトサカが出てきた。
とても精悍な顔つきになった。

身体は、赤、朱色、黄色が主体なだけに頭部の青いトサカは目立つ。

「さあて、トーマスも一緒に飛ぶかい!? 」

「え、ええ、いきなり、そんな・・・」

大きくなった美しく精悍な鳥が飛び立つ。

それにつられてトーマスの身体も浮き上がった。

気づいたときは鳥の背中に乗っていた。

「えええ、な・なにこれ!? 空を飛んでいるよ。」

部屋を出て、廊下を飛行し、そのまま玄関まで行くと、自然と扉が開いた。

そして、夜の空へと舞い上がる!!!
 

「ひえーーーっ 速い! 速いよ。」 あまりの速度に恐怖も感じるトーマス。

高速で上昇するジョニィ。雲を突き抜け、さらにぐんぐんと高度を上げる。

その姿を見る人がいれば、火の鳥の舞いに見えただろう。
ジョニィが翼から出す炎は青から黄色、そして赤へと変化していた。そして、ジョニィはもとよりトーマスも含めて全体を包んでいた。しかし、当のジョニィは勿論、トーマスも熱さは感じない。魔法の炎だからだ。

最初は恐怖を感じていたトーマスも、その魔法に守られている感覚が自然と湧き上がり、徐々に安心感へと変わっていった。

眼下には町の夜景が広がる。初めて見る絶景だ。

「すごい、すごいよ。これが魔法!!!! こんなものだったなんて。 どうしてお父さんは何も言ってくれなかったのだろう。」

◆魔法とは?

「そうだったのか。やつの正体は! 」
空を飛ぶジョニィを見て、フランクリンは新たな発見に驚きを隠せない。

「これはまた、研究を進めなければ・・・・。」
歳を取り、もう引退を決めていたフランクリンだが、また新たな挑戦への意欲が湧いてくるのを感じざるを得なかった。
 
だが、同時にこれはトーマスへの心配事も含まれていた。

「おーい、トーマス、戻ってこい、話ができるならそいつに伝えてくれ。」

フランクリン、いや、おじいちゃんは孫のことを思い、何かを心に秘めながら、大声で叫んだ。

「あ、おじいちゃんが戻ってこいと言っている。君、妖精君、戻れない? 」

「オーケー、じゃあ、戻るよ。魔法を楽しめたかい?」 確認するジョニィ。

「うん、めっちゃ面白かった。まだまだすごいことができるのかい? 」

「ああ、そうかもね。でも・・・ まあ、」
何か気になることがありそうな口ごもり方だ。

地上に降りてきたジョニィとトーマス。

「おじいちゃん、これが魔法なんだね。すごいよ。こんなものがあったなんて。どうしてお父さんは何も言ってくれなかったの?」

おじいちゃんは、そんなトーマスを見て、少し神妙な顔をする。

「魔法はいいことばかりじゃないんだ。だから、もっときちんと勉強する必要がある。まだトーマスは小さいから今日はこれくらいにしておこう。この子、妖精さんにも元に戻ってもらうよ。」

「え、もう終わりなの? もっと見たいよ。 じゃあ、勉強するにはどうすればいいの? 」 少し不満げなトーマス。

「それはまた、今度、じっくりと話をしよう。」
そう言うとおじいちゃんはまた杖を取り出し、呪文を唱えた。

「カヴェアクロース!」

すると、ジョニィがまた鳥籠の中に入っていた。
身体もまた元の大きさに戻っていた。
そして、おじいちゃんは鳥籠を抱えて宝物庫に戻しに行く。

トーマスは、その様子を見て、人と魔法、そして人以外の存在について、ワクワクはするけど、何か難しいことが潜んでいることを、子供心ながら感じていたのである。
その難しいことは、一番にはお父さんのことだった。

そんなことを考えながらも、疲れも出たのか、家に戻った後は速攻で寝てしまい、翌日、父が来た時には気分は一新されていた。
でも、魔法のことについて少し理解を深めたトーマスは、今度、父とも魔法のことについて話をしてみよう、と思うのであった。

 


◆次回予告

トーマスは魔法について理解を深めようとする。が、父との問題が噴出する中、次第に魔法は人が使ってはいけないものとの考えを深めて行く。
そして町の魔法学校の協力のもと、魔女パレードが開催されることとなった。11才になったトーマスも参加するが、それは魔女への迫害を再現するショーで魔女を迫害する側の役としての参加だった。人が魔法を使うことに嫌悪感を持つようになっていたトーマスだが、そこに魔法を素晴らしさを訴える従来とは違った魔女の集団が現れる。
ドッキドキのワックワク~


◆主題歌

今回は「愛と魔法」がテーマ。
「はじめて会った時に、感じた不思議なデジャヴ。あなたは、誰なの?」
「天使の歌を聴いた。スキップするようなマーチ。魔法のメロディ。」
「ねえ、2人が生まれる前に、約束したこと、思い出して。」