次回作のプロローグみたいなもの。
2023年魔法祭の予告・・・かもしれない。

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中庭を歩くアッコと、そして、セシル、ユート、カリン。

どういうわけか今は、アッコはこの3人と一緒のことが多い。
昔はロッテ、スーシィと一緒だったが。

マジカルスター計画のメンバーだが、それだけでもないようだ。

今はこの3人と居るとなぜか気持ちが落ち着くことに、アッコは不思議な感覚を覚えていた。

セシルとはストーンヘンジで出会って、アンドリューと風見あつこが居た政府特殊部隊に追われ、巨人とも一緒に戦うという騒動の中で妙な絆ができてしまった感じだ。しかも大人であるにも関わらず、ルーナノヴァのリスキリング枠で入学してきてアッコの生徒にもなっている人だ。

ユート君とカリンちゃんとは、入学式の日に10年前のアッコと同じ様にアルクトゥルスの森に行くという、これまたとんでもない騒動で出会った仲だ。しかも、カリンちゃんはシャイニィロッドを見つけてしまうという驚愕再現のおまけ付きだ。

でも、アッコもずいぶんと進化した。
まず、使い魔ができた。前代未聞のドラゴンだ。しかも時と空間の間隙を飛行する特別なドラゴン・ラモス。さらにゴルドバーンに変化すれば異次元・異世界にも行ける能力を持つ。

そして、アッコも再び魔法神器を得た。古代日本の魔法使いの王であるスサノオノミコトから授かったシャイニィスタッフと名付けた巨大な杖だ。
でも普段はロッドサイズだ。

そして、その力を発動させることでアッコはM3アッコに変身する。
M3は、シャイニィアルク原典魔法の呪文、古過ぎて意味が不明な「マクミル・ミクミル・メクトラル」の意味を「マジカル・ミラクル・メリー」と解釈して名付けたものだ。

ただ、この発動は前回、カリンちゃんの次元間隙飛翔魔法によるラモスのゴルドバーンへの変貌をきっかけに起こったもので、まだ自由に使いこなせてはいない。そのため、カリンちゃんと共に研究途上にあるものだった。

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「ところで、魔法祭の準備は進んでいるの?」
とアッコがカリンちゃんとユート君に尋ねる。

10月末のハロウィンにはルーナノヴァ魔法祭が開催される。
10年前は、アッコがいけにえショーでバハロアを解放してしまい、以後それは実施不能になるという前代未聞の出来事をしでかしたものだ。
その時はルール違反ということで評価対象から外されたが、後年、その革新性と皆に与えた良い影響力を評価され実は表彰されていたのである。
そして、アッコは基本は生徒が主体となる実行委員会における教師側からの指導/助言役となっていた。

「その件で今日も実験しているよ。この先でやっているんじゃないかな?」とユートが答える。
ユート組にはコンスみたいなマッドサイエンティストのアルフレッド・ノイマンが居るので何かマジトロニクスを駆使した作品を持ち込むようだ。

「カリンちゃんの組はスーシィの妹がいるけど、もしかして何か企んでいるの?」とアッコ。

「うん、まー、そう💦。彼女の薬と私の植物魔法でお花畑を作る案なのだけど。。。うまく行くかしら。」
「それと、パールはカガリ先生がしたみたいに変身魔法で皆を喜ばせるショーを見せる計画だけど・・・」

パールは台湾出身の子で本名は潘明珠(パン・ミンチュー)(*1)という。パールは台湾の人はよく持っているその英語名だ。
性格はかなりアッコに近いイケイケドンドンタイプだ。アッコは親しみを持って接しているが、必ず失敗と付き合いながら成長することになるので、カリンは失敗するかもと心配していた。スーシィの妹のメイビィ(*2)も素直でスーシィよりは扱いやすい子だが、ド天然なので何をしでかすかわからない危うさはある。

「どうなるかわからないってのも楽しみだよ!」とアッコはそういうことを聞くと却ってワクワクする。

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「それにしても、ルーナノヴァにもいろんな人が入ってくるようになったわね。」とアッコ。

「カリンちゃんが異世界の人と聞いた時は驚いたけど、ユート君も何やら妙な能力を持っているし、怪しいわね。どんな血筋なのかしら?」
「そうそう、私もご先祖様とか全然関心なかったけど、この前の事件で本当に大事なことだと思ったわ。ユート君も調べといた方がいいよ」とアドバイスをするアッコ。

「あの力はよくわからないんだ。何かの拍子に出るのだけど、ちゃんとはコントロールできない。でも、前回は割とうまく行って良かった。」 ユートが振り返る。

「そうよね。私が魏怒羅の引力光線に捕まった時はユート君が助けてくれなきゃ死んでいたかもしれないわね。そう思うとユート君は命の恩人ってことよね。」

「そうだろ、俺の力は大したものだろ!」と自慢するユート。

「いやいや、そういうところはすごいけど、全くヘタレなところもあるし。その差がおっきいよね。まあ、私もそうだけど・・・」とアッコ。

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「でも、また魔法祭の話になるけど、生徒側の実行委員長はリラだし、その点は安心かな。。。」とアッコはリラに言及する。

すると、皆も口々に賞賛する。
「そうそう、リラさんはすごいよね。皆を動かす力とか。ダイアナさんは引っ張って行くタイプだと思うけど、リラさんはサポート役に徹しているようで、皆をうまく誘導するというか。さすがフィネラン先生の血筋と言う感じね。」

「フィネラン先生と違って恐くないし、それがいいよね。」とアッコが続ける。

「噂ではダイアナさん並みかそれ以上の魔力を持っているらしいけど、あえて控えているらしいわ。」とカリン。

カリンちゃんも一見天然に見えるが、前回の事件以来かなり鋭いところも見せる。素直で裏が無さそうな性格なので、警戒されず、すんなりあちこちに入り込めるようで、結構情報通なのだ。

「そうよね。彼女なら十分あり得るわね。生徒なのにダイアナと接する以上に緊張することもあるし。」 アッコはリラをかなり特別な生徒として扱ってしまうことをある面、気にしていた。

「フィネラン先生の娘さんというのも効いているんじゃないですか?フィネラン先生はカガリ先生の天敵ですもんね。」 とユート。

「いや、そんなことはないよ。今はめっちゃ良好な関係よ。」と強く否定するアッコ。

ちなみにリラは2年生だ。カリンちゃん達の1年先輩だ。3、4回生からも一目置かれているが、中には反目する人達も居るようだ。フィネラン先生の娘ということが必ずしも良い方向に働くわけではないようだ。

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「ところで、ダイアナさんはどうしているのですか。新婚生活はうまく行っているのですか。」とユートがダイアナの話題が出たことをチャンスとばかりに気になることを尋ねる。

「えー、それ? ダイアナは忙しすぎるから結婚した気にならないわ。以前と何も変わっていない感じ。」

「そうなんですか? それは残念ですね。 じゃあ、お子さんもまだまだ先でしょうか?

「あはは、その話題? ご先祖様にはその場の雰囲気・勢いで約束しちゃった感じだけど、なかなかハードルは高いわね。」

「いやー、それができたら人類進化の革新ですからね。ノーベル賞ものでは!?」と茶化すユート。

「使える魔法は無いかな?と思っていたけど、今のところ無さそうね。」と少しは検討を進めていることを明かすアッコ。

「バイオテクノロジーとの組み合わせで何とかなりませんかね。クロワさんかコンスさんなら。 うちのマッドサイエンティストにも研究させようかな?」とユート。(*3)

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そんなことを話していると、前からアーシュラ先生がやってきた。

「あら、マジカルスター計画のみなさんね。計画の検討中だったかしら?」とアーシュラ先生。

「あ、いえ、それはあまり進んでいなくて・・・今は魔法祭の話をしていました。」アッコが応える。

「ああ、そうね。 アッコ以外は魔法祭、初めてよね。新鮮な気持ちで楽しんでね!!」
「OGとして、またみんなもやってくるわ。ダイアナもよ。ロッテ、スーシィ、コンスタンツェ、アマンダ、ヤスミンカ、みんな来るわね。」

「おおーーっ、それは素晴らしい。」喜ぶアッコ。

「アッコが初参加してから10年目、ある意味、節目になるわね。特にカリンちゃんはシャイニィロッドを見つけてアッコの後継者として注目されているわ。まあ、アッコと違ってカリンちゃんは優等生だから皆安心していると思うけど・・・(笑)」

「えー、痛いところを突きますね。でも本当だから仕方がないか。。。アーシュラ先生には放課後特別授業で鍛えていただいたこともあって、何とかなりましたが。本番でもアーシュラ先生に調べて頂いたものが無かったら成功していませんでした。ロッテやスーシィ、みんなに助けられました。」 とアッコはみんなの協力でできたことを改めて強調する。

「あ、それから特別編入生も参加してもらえるようになったわ。セシルさんも含まれている特別枠での参加ね。」とアーシュラ先生が新しい情報を伝える。

特別編入生? 他校からですか?」

「ソルパテル魔法学院(*4)から当校の修士課程に編入された子ね。彼が入学する頃はまだうちは共学になっていなかったから、本当はこちらに来たかったのだけど仕方なくそこに居たらしいわ。ええと、トーマス・モリス。アッコにはなじみのある子ね。」

「そうなんですか。なじみがある・・・え、誰?」

「アッコが2年生の時に当校が協力したブライトンベリー魔女パレードでアッコにトマトをぶつけた悪ガキさんね。そのあと、色々大活躍したあの子。」とちょっと思い出し、愉快に笑いながら紹介するアーシュラ先生。(*5)

「え、あの悪ガキですか! あの後、ちゃんと魔法を学んでいたのですね。」 少し感心するアッコ。

「今はぐっと大人っぽくなって頼りになる青年になっているわ。魔法を学ぶ動機はお父さんの件が大きいと思うけど、アッコやパールに出会ったことも大きいらしいわ。」 続いてわりと重要な情報を伝えるアーシュラ先生。

「なんと、パールちゃんのことも覚えていたのね。うーん、なにか起こりそうな予感。」

「あ、それから今度の魔法祭の最優秀魔女/魔法使いには特別な魔法神器が授けられるらしいわ。」 とアーシュラ先生はさらに新たな極秘情報を明かす。

「え、それは、まさか・・・・」 何か思い当るフシがあり驚くアッコ。

 

「ええ、そうよ、あのマスタークラウンよ!!」(*6)

「そうですか、ついに・・あれが・・・ 」 期待に胸を膨らますアッコ。


こうして和やかな日々は過ぎて行く。2023年の魔法祭まであと少し。


次回予告??
 残念ながらハロウィンの日にできていることはないと思います。💦💦

◆注釈

*1 アッコ役の潘さんを少し意識。お母さんは台湾籍も持っていますし。

*2 YJ版コミックおよび第4話に登場するガーリー/サービィより下の子。
*3 例えば、こんな研究
   https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/post-11098.php

*4 りぼん掲載の少女漫画版リトルウィッチアカデミア
   「月夜の王冠」にてユートが在籍した魔法学校。
*5 劇場版「魔法仕掛けのパレード」に登場する悪ガキ。
   元ネタではダイアナに助けられて彼女に惚れたフシがある。

   が、この物語世界のアッコ2年生の時のエピソードでは特にそれはない。
*6 「月夜の王冠」で登場した王冠型魔法神器。
   その物語では10年に一度行われる魔法学校対抗アカデミアコンテストの賞品だった。
   こちらの物語では特別な魔法石を人の根源的な魔力を高める様に作用させるため

   王冠型とした、ある人物が創った魔法神器のことである。