リトルウィッチアカデミア続編構想。
TVアニメ版の10年後を描く物語。
LITTLE WITCH ACADEMIA Journey through the Decade の第4話です。

「チーム 復活!」

 

※番外編を正式に組み込み、第3話にしたので、これは第4話にしました。


 

コミック YJ版 第4話より

 

★★★★★★★★★

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、私、みんなが来てくれていたのに、ずっと寝ていたみたいで・・・・💦 本当にごめんなさい。」

 

アッコは珍しく平謝りに謝る。

 

久方ぶりのチーム・アッコ、ロッテとスーシィとの再会なのに、アッコはかなりの時間寝ていたようなのだ。

 

「いいの、いいの、アッコはレイライン探索で疲れていたのよ。ぐっすりと休まなきゃ。」とロッテ。

「アッコの寝顔、かわいかったよ。実験台の誘惑もあったけどね。。。」スーシィが笑みを浮かべる。

 

ロッテは今や魔法教育用教材を筆頭に各種の魔道具を扱う会社の社長だ。子供っぽかった在学中とは違い、優しさをまといながらも気品のあるしっかりとした女性に成長していた。

 

かたや、スーシィは故郷の東南アジアの秘境の島で怪しい実験にあけくれていたようで、もしかしたら人間じゃないんじゃないかと疑われそうな怪しい人物になっていた。

 

「本当にみんなも見違えるように立派になって、私ももっと頑張らなくちゃ。」

 

「そうだ、アーシュラ先生に報告したいことと、聞きたいことがいっぱいあるの。アーシュラ先生のところに行くね。」

 

アッコは急いで校長室に向かう。

 

「アーシュラ先生!! ごめんなさい、ずっと寝ていたようで。」

 

「あら、もう起きたの。ずいぶん疲れていたようなので、もっと寝ててもいいですよ。」

と優しく応じるアーシュラ先生。

 

「いえ、報告しないといけないことと、聞きたいこともいっぱいなので。。」

 

「ああ、それね、かなりのことはそこのセシルさんから聞いたわ。」

 

「えっ、セシルさん!!!   な・なぜ、ここに。ブライトンベリーで別れたんじゃ。」

 

「ま、それは2日前のことだけどね。」と、窓べりに立っていたセシルが応える。

 

「ええっ、私、2日間も寝ていたの!? なんてこと。。本当にごめんなさい。」

 

「そ・それで、なにを話したの。」とちょっとビクつきながら尋ねるアッコ。

 

「ストーンヘンジの巨人のこととか、政府の特殊部隊に追われたことや、素敵な魔女と出会って、とても楽しい冒険をしたこととかかな。」

 

そうね。素敵な出会いだったようね。」とアーシュラ先生も。

「ルーナノヴァに入学してからは、アッコにみてもらおうかと思っているの。」

 

「え、みるってなにを・・・ですか? それに、そもそも、大人の男性の方が入学してくるなんて、聞いていませんでした。」

 

「あら、ごめんなさい、アッコ。レイライン探索に集中してもらわないといけないので、ちょっとそのような事務的なことで煩わさせたくなかったの。」

 

「いや、かなり重要なことのような気もしますが。私も教師なので。。。」

 

「でも、これで、役者は揃ってきたわね。セシルさんはどちらかというとこちらが誘ったの。彼の考古学の知識に魔法の歴史をかけ合わせれば、私の野望も達成できるわ。」

 

「アーシュラ先生も野望って言葉を使うんですか。びっくりですが、ええどんなことなのでしょうか。」

 

「まだ、秘密よ。。。フフフ」

「でも、アッコも、ロッテも、スーシィも、いずれ関わってもらうわ。」

 

◆新世代入学生

 

「あ、あと、共学になるんですよね。男子生徒もたくさん入ってくるのでしょうか。」

 

「アッコも気になる~~? 若い男の子もたくさん、入ってくるわよ💛」

 

「いえ、気にはなりませんが、教師として準備が必要なので。。。。💦」

 

「日本からも来るわよ。10年前の奇跡を起こした伝説の日本人魔女に憧れてくる子が。。。」

 

「え、伝説の魔女・・・💦  女の子だけじゃなくて男の子もですか???」

 

「そうそう、日本からはユート君とカリンちゃんね。(*1)

 きっと、私の勘だけど、この2人もアッコと思いっきり関わって、この先、とても重要な役目を担うと思うわ。

 ああ、それとね。日本がとても重要なの。」

 

「日本が・・・ですか?」

 

「そうそう、日本が。。。。。

 まあ、入学式はまだだから、ロッテ、スーシィと羽を伸ばしなさい。

 本当はダイアナも来ていたんだけど、彼女とてつもなく忙しくて・・」

 

「ええっ、ダイアナも来ていたんですか。 もしかしてその間、私はずっと寝ていたってこと・・・💦」

 

「そうね。でも、彼女は色々楽しんでいた様よ。あなたのことを。」

 

「え、どういうことですか。意味わかりません。

 ああ、ダイアナとも会いたかったな~~~ 」

 

*****

 

アッコは、校長室を出ると、ロッテ、スーシィの所に戻り、久しぶりに羽を伸ばそうとブライトンベリー散策を提案する。

「ところで、ダイアナも来ていたんだよね?」

「そうだよ、他にも大御所もね。みんな、寝ているアッコで遊んでいたよ。へへへへ。」とスーシィがニヤニヤする。

「ええ、それどういうこと??」

「内緒、内緒、、、えへへへ・・」
 

◆チームの結束(1)

 

「ロッテもスーシィもブライトンベリーは久しぶりよね。」

 

「そうよね。本当に懐かしい。こうして3人で歩いていると昔を思い出すわ。」とロッテ。

 

「ロッテは魔道具取扱国家資格を取って、お父さんの魔道具屋を引き継いで、しかもそれを魔法教材で有名な会社にまで発展させたのよね~。ホントすごいよね。」

 

「いえいえ、きっと運が良かっただけだと思うの。」

 

「あ、ところで、「魔法を使えない魔女が世界を救うまで」という本はロッテが書いたの?」

 

「そうそう、友情と青春と冒険にちょびっと愛も足して人の成長を描いた超大型歴史巨編・少女小説よ。」

 

「やっぱり・・💦💦 それでセシルさんもおかしくなったのね。きっとそうよね。。。」

 

「スーシィは何をしていたの?」

 

「へへへ、内緒だけど、ちょびっと言うと人間を超えようとしていたのさ。」

 

「えーーーー、なにそれ??」

 

「アーシュラ先生が日本が重要って言っていたでしょ。西洋の魔法だけじゃなくて、東洋にもすごい魔術があるんだよ。

 アッコも日本を見直した方がいいと思うよ。」

 

「あー、それ、入学したころに言われたわ。日本人ならニンジャでしょ、とか。」(*2)

 

「アッコの身体能力は十分ニンジャみたいだったけどね。空飛ぶ流星丸に飛びつくとか。。。」

 

「そうそう、あのホウキリレーはすごかったよね。まさかホウキに乗れないアッコがダイアナと一騎打ちをするとはね。」
とロッテ。

「でも、そもそも流星丸は何でホウキだけで飛べるのだろうね。魔力が宿っているとのことだけど。やはり、これは西洋の物じゃない気がするね~。」
とスーシィ。

「え、そうなの?」とアッコは今回も持ってきた流星丸をまじまじと眺める。

「ロッテの精霊魔法でまたこの子とお話できたりしないかしら。」

「今ここでするの? ちょっと人通りが多いから人気の少ないところに行かないと・・・」

アッコたちはブライトンベリーの表通りから普段は行かないような裏通りに足を向ける。

古い泉を見つけると、そのあたりには誰もいない。
「ここなら集中できそうね。やってみるわ。」 ロッテは古い泉の傍で歌い出す。

(何度聴いても心が洗われる、こちらまで内なる精霊を呼び出してしまいそうな気分になる)とアッコは思った。

流星丸の精霊が出てきた。でも、もともとは居なかった精霊だ。
アッコが乗るようになって生まれた精霊。果たして、流星丸が出来た秘密を知っているだろうか。

「流星丸について知っていることを教えて、できればいつどこで作られたか教えてくれる?」とロッテはやさしく尋ねる。

「流星丸はおねえちゃんと同じ国で生まれたんだよ。だから、おねえちゃんだけが乗れて、ボクが生まれたんだ。」とアッコを指さす。

「えーーーーーっ  そ・そうなの?」とおどろくアッコ。
「なんといきなり正解出てきた!!? もっと早く聞いておけばよかったのに。」とスーシィもおどろく。

「これはますます日本が重要ってことよね。」とロッテ。

「日本に行く??? でも、今は無理よね。」とアッコ。

あっさりと出てきた驚きの事実に動揺する3人だが、それを空から見ている人物がいた。

その視線に気づくアッコ。

 

◆謎の魔女

「しーーっ、ちょっとあれ・・・」

「えっ、魔女?この魔力の薄い場所で飛んでいるわ!?」とロッテが驚き、同時に不吉な予感を覚える。

「レイラインルーターを使っているのかな。でもいかにも古臭い感じの魔女だよね。」とスーシィ。

「ちょっと、調べてみるわ。流星丸ならどこでも飛べるし。」

「えっ、アッコ、大丈夫? ヤバイ奴だったらどうするの?」とロッテが心配する。

「うーん?ヤバイ奴かもしれない、アハ。ラスタバンやストーンヘンジで感じた魔力に近いものを感じる。」

「ええ、それじゃ、ホントにやばいじゃないの。一人で行っちゃだめ。」とロッテが止めようとするが。。

「ウチらも行きますか。レイラインルーターつなぐよ。」とスーシィ。
「えええ、スーシィ本気。」

謎の魔女に向かう3人。
速度の出る流星丸に乗るアッコは、真っ先に追いつくが。。。。。

そこで、アッコは驚愕の光景を目にする。

「ええ、流星丸?? それに・・・・私???」

 

◆もう一人のアッコ

そこにいたのは、黒光りする流星丸そっくりのホウキに乗ったアッコそっくりの魔女だった。
幾分アッコより若く見えるが、昔のアッコの様なノーテンキさは感じられず、前に進む力だけを暴力的に磨いた様な闘志を感じさせる魔女だった。

驚きで息をのむアッコ。

「だ・だれなの。あなたは?」

おそるおそる聞くアッコ。

「ふふ、Good to see you again, Akko! 」 口を開く謎の魔女。(*3)

「え、どうして私の名を? 会ったことあるの?」

「ここは、魂の出会いの場・・・そして、その源泉につながるレイライン。」

「どういうこと?」

ホウキレースやってみない? 魂の源泉、ラスタバンまで。

「ま、まさか、ラスタバンにいたのはあなた?」

「それは知らないけど、あなたが勝ったら私の正体を話してあげてもいいわ。」

ロッテとスーシィはまだ追いついて来ない。
ロッテからは一人で行くな、と言われていたが、好奇心の方が勝ってしまうアッコ。
それに、怪しいけど、明らかな悪人って感じではないし。

「わかった、のるわ。」

「じゃあ、今から行くわよ。」

黒光りする流星丸そっくりのホウキに乗った、よく見るとちょっと和風の魔女服をまとった魔女が猛然と加速する。

遅れまいとアッコも赤茶色の流星丸で後を追う。

そのかなり後ろにいたロッテとスーシィは驚きで口をあんぐりさせる。
「アッコ、なにをしているのーーーー もどりなさーーーい」ロッテが悲鳴に似た声で叫ぶ。

「こうなるとアッコはどうしようもないね。水晶玉で位置はわかるから、とにかく付いて行くしかないね。」
スーシィは冷静に判断するが、その目には今までにない真剣さが宿っていた。

◆魂をつなぐレイライン 運命のホウキレース

「あれはやっぱり流星丸なの? 速いわ。」

なんとか謎の魔女に付いて行くが、全力で飛行しても追い抜くことはできない。

アッコは自身の魔力のギアを目一杯上げ、絞り出せるだけの魔力を流星丸に注入する。
なんとか相手とほぼ平行に並んだ。

「なんとか行けるかな?」

すると、黒光りする流星丸?とアッコの流星丸の間で何かが交わされる気配を感じた。
何か、相手の流星丸?から精霊のようなもの出てきて話かけてきたのだ。いや、そのような気がした。

アッコは、流星丸を通じてこのレースの意味を伝えられた様な気がして、とても不気味なものを感じ、アッコにしては珍しく怖気づいてしまう。

その心に自分でも気づいて驚く。
勝てば相手の正体を教えてくれるとのことだが、それは知ってはいけないものの様に思えた。

いや、それだけではなく、このレースに勝ってはいけないとも思えたのだ。
ロッテの忠告を受け入れるべきとの心の声が聞こえてきた。

(これは、引き返すべき?)

だが、そう思う間もなく、ラスタバン遺跡は目の前だった。
ゴールを目の前にして、アッコはアクセルを緩めてしまったため、謎の魔女との差が開いてしまい、そして、勝者はその謎の魔女となった。

「フフフ、私の勝ちのようね。」
「あなたが勝てば、私の正体を教えると言ったけど、私が勝った場合はあなたは何をしてくれるのかしら?」

「そんな約束は・・、何もしていません。それに、私はレースを止めようとしていました。」
とアッコは不条理な要求に反発しつつ、レースを下りようとした理由は心が震えていたことに気づき、またもや驚く。

(そう、勝つのがとても恐いと思った、なぜ?)

「バカ言っちゃいけないね。さきほど、契約したでしょう。運命のレースの結果、何がやりとりされるか。

あなたも、少し知ったんじゃない。」

(そ・それが恐いの・・・何だろう、この気持ち・・)

「限りある幸せの綱引き・・・・みたいなものね」(*4)
謎の魔女が説明を始めた。

◆魂の系譜 2つの世界

「この世界の幸福の総量は決まっているの。それを皆、日々の生活の中で分け合っているわ。でも、不条理な手段で不公正・不公平にそれが為された場合・・特に魔法とかでね。その場合は、さらなる魔法で矯正することが許されているの。これもそのために使える一種のゲームなのよ。」

 

「な、なに・・? 不公正・不公平にそれが為されたって、どういうことを言っているの?」アッコは何を言っているのかわからない。

 

「まだわからないようね。あなたは自分達だけのことを考えて突っ走るから、我々の世界では大きな迷惑をこうむっているの。
 10年前のこともそう。今、あなたがやろうとしていることも。
 もう少し広い世界を体験して、わかってからやった方がいいと思うわ。
 あなたは誰かにも言われた様に、過去の伝統や先人が為したことに目を向け無さすぎるわね。」

アッコは、まだまだ自分の力の無さは自覚、反省していたが、自分が信じて進んできた道は、みんなを笑顔にする・幸福にすることだと思っていたので、この言葉に関してはまさに驚天動地の衝撃だった。

「そ・そんな、私がしてきたことの何がいけなかったの。ちゃんと教えてください。それにあなたの世界とは何なの。あなたはどこの人なの。」

「残念だけど、我々の結論は、あなたは変わらない、根本的な解決は消えてもらうことしかない、となったの。
 だから、その質問に答えることももはや意味をなさない。そう、私からあなたに差し出してもらいたいことを単刀直入に言うわ。
 申し訳ないけど、お命頂戴!

「えっ、じょ、冗談でしょ・・」

その魔女は腰から妖しく光る刀を抜くと、アッコに向けて切りかかってきた。

「こ・これは、日本刀!?」

アッコは、反射的に格闘戦のための魔法を発動させ、瞬時に光の剣を構える。
アーシュラ先生がクロワと戦った時の意識的な呪文も不要な戦闘魔法だ。

日本刀を光の剣で受けるアッコ。
しかし、うまくかみ合わない。

(相手は魔法を使っていない。魔法ではなくて、体技だけで受けないといけないの?
 ああ、私も忍者の修行でもしておけばよかったかも)

 

とそんなのんきのことを考えている暇はない。

相手の鋭い剣さばきは、まさにプロのそれだ。昔の日本で言えば武士、もしくは忍者。

ルーナノヴァでは非常に優れた身体能力を持っていたアッコだが、その様な言わばプロの軍人にはかなわない。
流星丸で逃げようとするが、相手のホウキさばきもすばらしく、逃げきれない。

ついに、地上に追い詰められ、流星丸からも蹴り落とされ、地面にたたきつけられる。

「きゃああああ」


地面に転がされたアッコに、妖しく輝く恐ろしげな日本刀が振り下ろされる!

が、次の瞬間、アッコは真剣白刃取りで刀を受け止めた。
アッコはスーシィの夢の中ではギロチンを白刃取りで受け止めたことはある。
が、それは置いておいて、

「本気なの? 本当に殺しにくるのね?」

アッコもさすがに命の危険にさらされてはなりふり構っていられない。
そのまま、力いっぱい捻ると、刀をへし折ってみせる。

「な、なんと、火事場のバカぢからというやつかね・・・」

ちょっと、びっくりする謎の魔女。(・・やはり、私の家系なのかしら?)

アッコは立ち上がり、戦闘態勢(ファイティング・ポーズ)を取る。

「殴り合いでもやろうというの?」

「傷の一つや二つや三つ、言ってられないわ。どんなに醜い姿になっても生き抜いてやるわ!」(*5)

「ふっ、なかなか、根性だけはあるようね。」

◆チームの結束(2)

と、その時、空から小さな壺が投げ込まれる。壺からは怪しい薬の様なものがまき散らされ、辺りは緑色の煙に覆われた。

「ちょっと、アンタ、アッコに何をしてくれてんのさ、そんなことしたら、私が本気で怒るよ!!」

と、スーシィの声だ。

「ス・スーシィ、来てくれたのね、ありがとうーー😢」
「で、でも、なんかキャラ変わっていない? すごく怖いかも・・・💦」

スーシィは、謎の魔女の前に出ると、なにかを取り出し、アッコには聞き取れない奇妙な発音の呪文を唱えた。

次の瞬間、今度は紫色の煙が立ち上り、さらにピンク色に変わると眩い光とともに「ポン」というかわいい音がした。

「えっ、かわいい・・動物?」

と思ったのもつかの間、強烈な風圧にさらされ、アッコは吹き飛ばされてしまう。
謎の魔女も大きく後退する。

グワーッ キィーッ キロロ・・・

そこに現れたのは三つの首を持った恐ろしい姿の竜だった。

「ええええ、怪獣!? 
 こ・これはスーシィの変身魔法? すごすぎるんだけど・・・」

だが、謎の魔女は、アッコ以上に驚いていたようだ。

「き・きさまら、まさか ぎどら の力を得たというのか?」(*6)

謎の魔女は、アッコらには意味のわからないことを言いつつ、かなり慌てた様子で去って行った。

そのころ、ようやく、ロッテがやってきた。
が、ロッテも三つ首竜を見て、驚愕し、
「アッコ、逃げてーーーーーー」と叫ぶが。。

「ロッテ、ちがうよ、これはスーシィだよ。信じられないけど。」

「ええっ、スーシィなの? 人間を超えちゃったの?」

すると、今度も「ポン」とかわいい音がして、元のスーシィが現れた。
ただし、スーシィは綿アメのようなかわいい物体を抱え、その隣には2人のスーシィが立っていた。

唖然とするアッコとロッテ。

「なにが起こっているの? スーシィ・・・・これ魔法なの?」

スーシィはニヤニヤしながら自慢気に答える。

「ふふ、これが長年の研究の成果、魔法動物との合体魔法さ。このかわいい動物は故郷にしかいない思考を現実化する能力を持った動物。それと合体することで魔法による変身を超えた、とてつもない変身が可能になるのさ。しかも合体できるのは1人とは限らない。今回は悪戯好きの妹たちも連れてきて、3倍のパワーを実現した。さすがにあの魔女も驚いたみたいね。」(*7)

 

「これからは、人間の力だけに頼らない自然界の力も利用した魔法が必要になってくると思う」・・となんだか高い視点の言葉を放つスーシィ。

 

「あの魔女は、なんか、ぎ・・どら とか言っていたけど。そういう名前なの?」とアッコ。

「いや、こいつは「もふもふ」だ。 もふもふしているだろう。普段はかわいいやつなのだ。」

「ところで、妹さんは今までどこにいたの?」とロッテ。

「妹にはもふもふと一体化して小さくなっとき、と言っておいたのさ。」

「え、そんなこともできるの? なかなか便利な動物ね。私も欲しくなるわ。」とアッコ。

「ガーリィです。」「サービィです。」と2人の妹が楽しそうに名乗りを上げる。

「はーい、お久しぶり。魔法石探索の時以来ね。」とアッコ。(*8)
 

「でも、本当に助かりました。みんな、ありがとう。
 今回はホント、みんなの言うこと聞くべきだなと思ったわ。
 私が迷惑かけていたら、正直に言ってね。
 今回、全然なんだかよくわからないんだけど、あの魔女の人たちにすごい迷惑をかけているみたいで、すごく恨まれているみたいで、とても悲しかった。
 でも、殺されるわけにはいかないから、そこは戦うけど。」

「えーーっ、殺されそうになっていたの??」とロッテがめちゃくちゃ心配そうな顔をして尋ねる。

「みたいだったね。」とスーシィ。

「ええええ、これからどうするの? アッコ。」とロッテ。

「とりあえず、アーシュラ先生と相談してなんとかするわ。まあ、なんとかなると思う。まず忍者修行かな? あは。」

「ええ、何、その緊張感のなさ。」あきれるロッテ。

「でも、何者なんだろうね。アッコにとてもよく似ていたけど。」とスーシィ。

「日本人みたいだったから、やはり日本に行って調べないといけないかもね。
 なんか懐かしさも感じる人でもあったんだけど。何とも言えない・・・」
実はアッコは記憶の底、いわば前世の記憶とでも言うものに何かがあるような気がしてとても奇妙な気持ちになっていたのだ。

「でも、とにかく、このチーム・アッコでアッコを守るしかないわね!」優しいロッテが勇気を振り絞って宣言する。

「ありがとうーーーー、ロッテ😢、 それにスーシィ😢」

◆ルーナノヴァ校長室にて

「アーシュラ先生、ようやく解読できました。」

「セシル、ありがとう。古代ドラゴン語の暗号、よく解読できたわね。
 ・・・そう、やはり、ラスタバンにアレができていたのね。」


◆次回予告
「新世代入学生」
ルーナノヴァ新学期が始まる。かつての自分の入学時を思い出すアッコ。そこにかつてのアッコの様に夢見る少女と・・・少年もいた。再び繰り返される驚愕の一日。
~ドッキドキのワックワク~

◆今後の展開
5話「新世代入学生」  セシルとユートとカリンが入ってくる
6話「愛と育児」    ドラゴン子育てと何か
7話「ルーナノヴァ日本校」 開校祝いと日本ならでは展開
8話「魔法と怪獣」   日本に怪獣はつきもの
9話「宇宙樹の真理(前編)」 海を越えたら次は世界を超え、次元を超える

10話「宇宙樹の真理(後編)」 5000年前からの帰還
11話「All friends gathered」 かつての仲間全員集合
12話「ウィッチ達のユニバース」 お祭り

◆主題歌

リトアカのゲームの主題歌なのですが、テーマ/コンセプトに合っていると思い、借用しました💦
時間と幻影は扱っていきたいテーマ。



注釈
*1 ユートは少女漫画 りぼん版「月夜の王冠」より。カリンは「らくだい魔女」より。
*2 コミック YJ版 第1話より
*3 イギリスのレイライン上のパワースポットで人と会った時の合言葉。前世で会っているよね、との意味。

*4 映画「ハケンアニメ!」の劇中アニメ「運命戦線リデルライト」の設定とアバウトに同じ。
*5 傷の一つや二つ・・・は、TVアニメ第3話より(六つまで言っている)
   どんなに醜い姿・・生き抜くは、「リデルライト」より。ただし、文面は同じではない。 
   リデルライトは「命汚く誰にも望まれなくても生きてここから帰ってやる。そんな私たちをどんだけ醜くても責任もって愛してよ」
*6 スーシィはぎどらではないが、本物のぎどらも日本編から出てくる。
*7 コミック YJ版 第4話より。ただし、かなりアレンジしてある。

*8 続編構想PartⅡ「2023年の魔法祭」第3話「ロッテカンパニー」で描かれる(予定)。

   卒業後のエピソードであり、この物語の6年前となる。