ずっと書いてなかったけど

妊娠してる前の彼女ね。

来月出産なんだけどさ。


病院には付き添ったよ。

もう、一月以上前のことだけど。


ひどい言われようだった。

未来なんかもうないのにさ、どうしてここまで言われなきゃならないんだろう‥って。

彼女は僕を心配してるんだと言うけど

実際は違う。違うことくらい誰だってすぐにわかる。

僕の価値観をどうしても否定したいらしいんだ。


辛かったよ。それをずっと聞いてなきゃならないのは辛かった。

もし、昔の僕なら怒ってたと思う。

彼女に少しでも期待してれば、怒ってたと思う。



僕を否定することは、反対の生き方を選んだ彼女にとって

彼女自身を肯定することになるのだから

それは必死なんだと思う。


苦しいのはさ、黙っていることさ。

僕にはある程度、彼女の気持ちがわかる。

だけど、それを突きつけることは

彼女を傷つけるだけ。

徹底的に言葉が通じないんだ。

たぶん、そのあと僕が何を言っても届かない。

ただ、彼女を傷つけるだけになってしまうんだ。



僕は生まれてはじめて諦めたよ。

理解し合うこと。妥協しあうこと。許しあうこと。

全部、諦めた。

「もう、やめてよ、聞きたくないんだ」

こんなとき、こんな言葉、はじめて使った。



いつか伝わるときがくる?

できることなら、きてほしくないよ。

だって、そのときは

彼女が僕の言葉に耳を傾け、ちゃんと受け止めようとするときは

彼女がどうにもならないところまで堕ちたときだよ。




彼女の気持ちが、どのようなかたちで、どこへ向かっているのか

僕にはなんとなくわかる。

わかりながら、そしてその先に待ち受けてるものが

たぶん、不幸なんだろうと知りながら

僕はそれを見過ごすんだ。

そう、人生は一度きり、僕も彼女も、それなのにね。