派遣社員の経験がないから

派遣会社と社員の関係、契約がどういうものだかわからない。


だけど、まるで難民キャンプみたいな派遣村を見てると

いったい、この人たちの所属していた派遣会社は

どうなってるのだろう?と、思う。


契約していた企業を擁護したいわけじゃなく

経営不振が直ちにリストラに繋がるような考え方、経営方針に

ひどく疑問を持つけれど

これ自体は、一応、派遣契約に沿ったものだと思うし

そういう利点を買って派遣社員を雇用したのだろうし。


今回の件でよく取り上げられる

2004年の派遣法改正

製造業の派遣解禁ね。

これが悪かったって話。


たしかにさ、製造業への派遣が禁止されたままだったら

こんな問題にはならなかったと思う。

だけども製造業って

もともと外部社員だらけで、彼らなしには成り立たない状態だったよ。

2004年の解禁後に変わったのは、請負から派遣へのシフトでさ

請負と派遣の違いは管理責任の所在の違いで

このシフトもまた問題解決の手段として取られたものなんだと思う。


その問題ってのは

偽装請負や請負で働く人の労働環境の問題で

請負ってのはさ、要するに

自動車会社が使われるネジまでつくるのは大変だからね

ネジを専門につくる会社に頼むのさ

アウトソーシング、外部委託ってやつなのかな。

請負会社は頼まれたネジを完成させて納入することで品代を貰う。

よくある企業と町工場の関係だよね。

だから、そこで請負会社で働く労働者は、請負会社の社員で

指示や命令は請負会社がする。

労働環境は請負会社が整える。当然でしょ?


本来そうある請負なんだけど

でも、企業が直接、請負会社の労働者に指示命令を下して

労働させる状態が起きたんだ。



たぶん、こういうことなんだと思う。

ネジならネジで完成させれば終わりだけど

企業側が「この過程からこの過程まで完成させてくれ!」と、請負会社と契約する。

そうすると、請負会社の社員は

企業の工場に働きに行って、作業をはじめるんだけど

企業側が、「こうしろ、ああしろ、いつまで働け、いつ休め」と、

まるで企業に雇われた労働者みたいに扱われてしまう。


彼らの安全管理や労働環境は、請負会社の社員なんだから

当然、請負会社が整えるものなんだけど

だけど、労働現場は企業の工場で指示命令も企業が出して

管理するのも企業がするわけ。だけど、そこに責任がない。

そんな状態だからひどく曖昧になっちゃうんだ。





これだとさ、企業側はすごくやりやすい。

雇用契約は請負会社がしてるから、

首にしたければ

請負会社に「あいつはもうこさせるな!」と、言えば済むわけで

解雇で発生する様々な責任から解放される。

安全管理や福利厚生、労働条件の問題なんかも

請負会社と請負社員の関係で話し合われるべきものだから

企業側はなにひとつ手を打たなくても平気。


しかもね、請負会社と企業との力関係から

「せざるを得ない事情」という形じゃなく

それを目的にした偽造請負会社も出てきた。

当然、違法だよ。

請負会社の社員に企業側が命令や指示を出した時点で違法。

でも、製造業と労働者の関係って、こういうことがずっと続いてきてたんだ。


こんなの変でしょ?酷い話だよ。


そこで派遣の解禁になったわけだ。

派遣社員の管理責任は、派遣先の企業と派遣会社の両方が持つ。

そのかわり、命令や支持は派遣先の企業が出す。

ただ、派遣契約は一年だったのね。

一年で自動的に解約。

これじゃ業務に支障が出るよ。派遣社員もせっかく慣れた仕事だから困る。

なにせ一年で終わりだからね。

だから、両方からの要請で3年に引き伸ばされた。

偽装請負が社会問題化して、企業はたくさんの批判を受けたこともあったし

請負から派遣へのシフトが進んだんだ。


たしかにね、これは請負の問題を解決するための手段だった。

でも、明らかにとるべき手段を誤ったと思うね。

はっきり言えば、偽装請負の合法化だよ、これは。


それを決定的に知らしめたのが派遣村のような気がする。


僕はね、たとえ派遣先の企業に契約を切られても

当然、派遣会社が面倒を見るものだと思ってた。

次の仕事の斡旋も、決まるまでの保障や、技術の向上とか、新しい技術の獲得も

派遣会社がやるのだと思ってた。


もし、健全な請負契約をしてる会社だったら

ネジをつくる町工場だったりしたら

違う仕事を必死で取りにいくだろうし

ネジの改良や、コスト削減や、新技術の開発なんかに取り組むだろう。

それでもしダメなら倒産だけど。

なにしろ、社長から社員まで一丸となって自分たちの生活を守るために努力するよ。


派遣会社はさまざまな人が契約してるわけだから

力をあわせて危機に対応することはできない。

できないからこそ、仕事の斡旋や保障や技術の獲得に力を入れるべきだと思う。


派遣会社は昨年度、過去最高の利益をあげたんだそうな。

なのに、派遣村のようなことになってる。

今年は2009年で

派遣期間の見直し、1年から3年に引き伸ばされた改正で

ちょうど派遣期間の満了の年になる。

約9万人が期間満了で仕事がなくなるそうだ。



一応、派遣は3年満了で、それ以上は働けない。

それでもその仕事場で働きたいなら

3ヶ月の空白期間の後、再契約することになるらしい。


これは、正社員として雇用させることを目的にした制限で

3ヶ月の空白は企業にとっても支障になるから

一部では、直接雇用に切り替えるところもあったらしい。

だけど、それでも正社員というかたちではなく

契約社員、期間工扱いの場合が多く

好景気を前提にすれば、その制限も生きたかもしれないけど

この不況下では逆にリストラの名目になる。



ほんとにこれは大変な問題だよ。

失業者が増えるってことは、満足な消費者が減るってことだよ。

そうすれば、全体の消費が減る。消費が減れば商品は売れない。

商品が売れなければ、働く人の給料が減り、

生き残りのためにリストラもある。下手をすると倒産してしまう。失業者が増える。

負の連鎖が続くんだ。しかも雪だるまのように

まわるたびに大きくなる。

春先程度の陽射しじゃ溶けないくらい大きくなっちゃう。


誰かがこの負の連鎖を止めなきゃならない。

でも、大企業は率先して雪だるまを転がしてるよ。


特に外需企業、自動車関連や、電気機器

トヨタやソニーやキャノンなんかだよ。

もう国内消費なんか無視しちゃってる。

国内がどうなろうと関係ないんだね。

数年前、あれだけ利益をあげといて、今度の不況で耐えることもしない。

あっさりリストラだよ。



僕はこれもしかたないと思う。

企業倫理が変わったんだ。既に変わってしまっているんだよ。

それも企業の生存をかけた変革だったんだ。


最近じゃ、ようやく小泉構造改革が批判されはじめて

たしかに、それも原因だろうと僕も思う。

派遣法改正など、法制度改革を原因にあげるのも正しいと思う。

でも、問題は法制度を改革することで

その法制度の内に側で生きる人間、企業の倫理観が改革、変化してしまったこと。

これも気にしなきゃいけないことだと思う。


グローバル化した世界で生き残るには

企業理念や企業倫理を改革する必要があった。

必要があるというより、そこで生き残るためには

そうしなきゃならなかったんだと思う。


そうすれば、そこで働く人たちも生き残りをかけて

意識改革しなきゃならない。

価値観の変換に迫られる。


人間の意識改革は、社内だけで留まるわけにはいかない。

家庭内でもその価値観が持ち出され

教育にも生き残るための意識改革が必要になる。



今はまだ、意識改革は企業内で留まっているように見える。

だけども、この不況での首切りで

たくさんの人が怖れ、たくさんの人が不満を抱いた。



これを機に、企業理念に沿う人間になることで

生活を守り、生き残ろうと考えるのか

こんな企業理念は間違いだと

自分ではなく企業を、世の中を変えるほうに動くのか。



ただ、企業を世の中を変えようとするなら

一体、何が原因になっているのか知る必要がある。

最善の選択の繰り返しが、最善の未来に結びつくわけじゃない。

根本的なところを変えるしかないよ。


要するに

新自由主義を捨てることなんだけど

すると、他に代わるものが必要になるよ。

なにしろ、その前にさ

様々な変革や、考案される法や制度は

主義・思想が基になってることを理解しなきゃならない。

でも、それは無理な話なんだと思う。

そんなことできる土壌がないもの。