疲れた。
絶対明日筋肉痛だな。
思ったよりずっと本格的な片づけで
もう解体に近かったよ。
大型トラック2台分の鉄くず
どうやら鉄くずを売るつもりだったのね。
もともとそこはスーパーマーケットだったらしく
大きな冷蔵棚とか、肉をミンチにする機械とか
レジスターにデスク
寒い雨の日なのに汗をかいたよ。
途中、大きなアクシデントがあったりで
ワタワタだったんだけどさ
僕、ちょっと邪魔っぽかったかも。
なんていうかな、気持ちのあり方がどうも違うみたいだ。
ワイワイ楽しく、出てくるものに驚いたりね
力を合わせたり、さぼったり
僕はそういうものだと思ってたんだけど
もうみんな真剣なんだよ。
親睦を深めるどころじゃない。
キリキリ次はなにをしなければならないか?
ガクガク僕は邪魔だと思われてないか?
会話できる雰囲気じゃないんだもの。
疲れきって最後は話す気力もなくなった。
ただ、どうしても可笑しかったのはさ
途中から来た、事務の女の子。
汚れるからと頭からカッパを被って一生懸命ガラクタを運んでるんだ。
少し丸っこい感じの、声の可愛らしい子なんだけどね
頭上で会話するような、ほんわかした
どう世間の荒波を乗り越えてきたのだろう?と、疑問に思っちゃうような子がさ
猪のようにね、ズカズカとデスクを運んでる姿がものすごく可笑しくてさ
途中、引き出しは飛び出しちゃうし
ほんと、一生懸命なんだよ。
子供のように一生懸命。
ちゃんと責任を引き受けてさ、必要以上の責任を引き受けて
一生懸命働いてるんだ。
「わたしは足手まといなんかじゃない!」って、必死さが感じられてさ
きっとそんな感じで扱われて、悲しい思いをしたんだろうな。
なんとなくわかるよ。彼女のようなほんわかしたタイプの人は
長所と短所がくっ付き過ぎてるからさ
ただのほんわかならいいんだけどね
辛いのは人の気持ちに敏感なところだと思うな。
それはとても大切なことなんだけど
たくさん悲しい思いをしなきゃならない。
「手伝おうか?」とか、「大丈夫?」とか、言っちゃいけないような雰囲気でさ
最後までひとりで黙々と働いてたよ。
可愛いやら可笑しいやら、健気さに切なくなるやら
でも、とても偉いと思う。僕には絶対無理だよ。
感心じゃなく、感動したもの。
もし、誰かを雇わなきゃならないなら
こういう人にしたいね。
長々と説明しなきゃならないし、たくさん話を聞かなきゃならないし
一を聞いて十を知るタイプでは決してないからさ
失敗もたくさんあるだろう
だけどね、もしこういう人にお店を任せて
仮に失敗してもだよ
僕は納得できるもの。
誰かに何かを任せるとき
一番大事なのはそこだと思うんだ。
もちろん成果を求めて任せるわけだけど
どんなに出来のいい人だってときどき失敗はするものさ。
そうなったとき、怒ったり悲しんだり憎んだり、したりされたりするのが一番嫌だもの。
でもさ、彼女は気がついているのかな。
僕は見たよ。
途中で大きなアクシデントがあって
代表の男の人が怪我をして救急車で運ばれてしまったんだけど
こういう子だから、ものすごく慌ててしまってね
ワタワタしちゃうんだけど
すぐに事務所の並びのお店の人や、知り合いの人が飛んできてさ
話をして彼女を落ち着かせてくれてたよ。
運ばれた後も、お店に呼ばれてあったかいコーヒーを出してもらったり
お昼ごはんのこととか、たくさん心配してもらってたよ。
なるほどなぁ‥と思ったよ。
この子が1人で事務所を任されてる理由がさ。
彼女は周りの人にとても愛されてる。
僕も最初は思ったんだ。
代表の人たちと真面目に話をしてるとね
無理やりのように会話に入ってきて
ちょっとチンプンカンプンな、いや、意味は理解できるし的外れじゃないんだけど
少しずれたようなことを言うんだよ。
たぶんね、ずれてると感じるのは
彼女の話しかたとか、間とか、雰囲気が強く影響してると思うんだけどさ
不思議な子だなと。少し変な子だなとね。
悪く言えば、ちょっとオカシナ子なのかなと。
だからさ、僕も「は‥はい‥」とか、「う‥うん‥」とかね
微妙な返事しかできなくてさ、そこには少し「馬鹿にしてる」が入っていてさ
たぶん、彼女は敏感にそれを感じ取っていたんだろうな。
それにね、僕みたいな馬鹿者が集まる場所じゃないからさ
みんな、税理士だとか社長だとか弁護士だとか市議会議員だとかね
そりゃ頭のいい人なんだろうさ。
とても頭のいい人たちだから、彼女を直接傷つけるような言葉なんか言わないし
だけど、子供のように扱われて悔し思いをしたんじゃないかな。
ここに来る前、普通の仕事をしてたときは
もっと露骨に冷たい目や悲しい言葉を受けていたのかもしれない。
まぁ、わからないけどね。
本当はどう思ってるのかなんてわからない。
僕が本当だと言えることは
彼女の声はとても心地よいことで
本当だと思えることは、尊敬できる人だってこと。
だから今度ちゃんと軽口で伝えようと思うよ。
人間はたくさんのものを背負って生きなきゃならないから
背負わなくていいものはどこかに置いていかないとさ
重たくて腰が曲がっちゃうもの
せっかくの心が曲がっちゃうものね。
なにしろ疲れた。
僕はほとんどなにも背負ってないけど
今日は腰が痛いんだ。
絶対明日筋肉痛だな。
思ったよりずっと本格的な片づけで
もう解体に近かったよ。
大型トラック2台分の鉄くず
どうやら鉄くずを売るつもりだったのね。
もともとそこはスーパーマーケットだったらしく
大きな冷蔵棚とか、肉をミンチにする機械とか
レジスターにデスク
寒い雨の日なのに汗をかいたよ。
途中、大きなアクシデントがあったりで
ワタワタだったんだけどさ
僕、ちょっと邪魔っぽかったかも。
なんていうかな、気持ちのあり方がどうも違うみたいだ。
ワイワイ楽しく、出てくるものに驚いたりね
力を合わせたり、さぼったり
僕はそういうものだと思ってたんだけど
もうみんな真剣なんだよ。
親睦を深めるどころじゃない。
キリキリ次はなにをしなければならないか?
ガクガク僕は邪魔だと思われてないか?
会話できる雰囲気じゃないんだもの。
疲れきって最後は話す気力もなくなった。
ただ、どうしても可笑しかったのはさ
途中から来た、事務の女の子。
汚れるからと頭からカッパを被って一生懸命ガラクタを運んでるんだ。
少し丸っこい感じの、声の可愛らしい子なんだけどね
頭上で会話するような、ほんわかした
どう世間の荒波を乗り越えてきたのだろう?と、疑問に思っちゃうような子がさ
猪のようにね、ズカズカとデスクを運んでる姿がものすごく可笑しくてさ
途中、引き出しは飛び出しちゃうし
ほんと、一生懸命なんだよ。
子供のように一生懸命。
ちゃんと責任を引き受けてさ、必要以上の責任を引き受けて
一生懸命働いてるんだ。
「わたしは足手まといなんかじゃない!」って、必死さが感じられてさ
きっとそんな感じで扱われて、悲しい思いをしたんだろうな。
なんとなくわかるよ。彼女のようなほんわかしたタイプの人は
長所と短所がくっ付き過ぎてるからさ
ただのほんわかならいいんだけどね
辛いのは人の気持ちに敏感なところだと思うな。
それはとても大切なことなんだけど
たくさん悲しい思いをしなきゃならない。
「手伝おうか?」とか、「大丈夫?」とか、言っちゃいけないような雰囲気でさ
最後までひとりで黙々と働いてたよ。
可愛いやら可笑しいやら、健気さに切なくなるやら
でも、とても偉いと思う。僕には絶対無理だよ。
感心じゃなく、感動したもの。
もし、誰かを雇わなきゃならないなら
こういう人にしたいね。
長々と説明しなきゃならないし、たくさん話を聞かなきゃならないし
一を聞いて十を知るタイプでは決してないからさ
失敗もたくさんあるだろう
だけどね、もしこういう人にお店を任せて
仮に失敗してもだよ
僕は納得できるもの。
誰かに何かを任せるとき
一番大事なのはそこだと思うんだ。
もちろん成果を求めて任せるわけだけど
どんなに出来のいい人だってときどき失敗はするものさ。
そうなったとき、怒ったり悲しんだり憎んだり、したりされたりするのが一番嫌だもの。
でもさ、彼女は気がついているのかな。
僕は見たよ。
途中で大きなアクシデントがあって
代表の男の人が怪我をして救急車で運ばれてしまったんだけど
こういう子だから、ものすごく慌ててしまってね
ワタワタしちゃうんだけど
すぐに事務所の並びのお店の人や、知り合いの人が飛んできてさ
話をして彼女を落ち着かせてくれてたよ。
運ばれた後も、お店に呼ばれてあったかいコーヒーを出してもらったり
お昼ごはんのこととか、たくさん心配してもらってたよ。
なるほどなぁ‥と思ったよ。
この子が1人で事務所を任されてる理由がさ。
彼女は周りの人にとても愛されてる。
僕も最初は思ったんだ。
代表の人たちと真面目に話をしてるとね
無理やりのように会話に入ってきて
ちょっとチンプンカンプンな、いや、意味は理解できるし的外れじゃないんだけど
少しずれたようなことを言うんだよ。
たぶんね、ずれてると感じるのは
彼女の話しかたとか、間とか、雰囲気が強く影響してると思うんだけどさ
不思議な子だなと。少し変な子だなとね。
悪く言えば、ちょっとオカシナ子なのかなと。
だからさ、僕も「は‥はい‥」とか、「う‥うん‥」とかね
微妙な返事しかできなくてさ、そこには少し「馬鹿にしてる」が入っていてさ
たぶん、彼女は敏感にそれを感じ取っていたんだろうな。
それにね、僕みたいな馬鹿者が集まる場所じゃないからさ
みんな、税理士だとか社長だとか弁護士だとか市議会議員だとかね
そりゃ頭のいい人なんだろうさ。
とても頭のいい人たちだから、彼女を直接傷つけるような言葉なんか言わないし
だけど、子供のように扱われて悔し思いをしたんじゃないかな。
ここに来る前、普通の仕事をしてたときは
もっと露骨に冷たい目や悲しい言葉を受けていたのかもしれない。
まぁ、わからないけどね。
本当はどう思ってるのかなんてわからない。
僕が本当だと言えることは
彼女の声はとても心地よいことで
本当だと思えることは、尊敬できる人だってこと。
だから今度ちゃんと軽口で伝えようと思うよ。
人間はたくさんのものを背負って生きなきゃならないから
背負わなくていいものはどこかに置いていかないとさ
重たくて腰が曲がっちゃうもの
せっかくの心が曲がっちゃうものね。
なにしろ疲れた。
僕はほとんどなにも背負ってないけど
今日は腰が痛いんだ。