物心ついてから
ずっとつきあってきたのに
私は
私のことがよくわからない
わかっているところもある
というより
わかっていると思っているところもある
わかっていると思っていたのに
後になってわかっていなかったと思うところもある
わかっていないと自分で思っているところがある
わかっていないことすらわかっていないところもあると思う
いつかわかるかもしれない
永久にわからないかもしれない
それすらもわからない

君のことを
誰よりもよくわかりたいと思っているのに
私は
君のことがよくわからない
わからないからひかれているのか
わからないけれどそれでもひかれているのか
それもよくわからない
ささいなことで
なぜこんなにしばしばいさかいがおきるのかわからない
どこでずれているのかわからない
変えられる部分でずれているのか
変えられない部分でずれているのか
今二人の間を吹き抜けた風のせいでまた何かがずれたのかもしれないけれど
本当の所どうなのかはよくわからない

これまでもそしてこれからも
私は世の中の一部分なのに
私は
世の中のことがよくわからない
私は世の中の影響を全面的に受けていて
世の中もとてつもなくごくわずかだとしても私の影響を受けているはずなのに
世の中のことがよくわからない
世の中がどこへ行こうとしているのかわからない
なんらかのシナリオに従って動いているのか
ただなしくずしにだらだら続いているのか
誰かの強い思いによって変わるものなのか
私にはわからない
世の中というあまりにも大きな河の流れに
なにもわからないまま流され続けている

いま
心が
動いている
私をこえて
心が
一緒に動いている
そう感じられるときの
胸の高鳴りと
血のたぎり
それだけが
わかっている