「一期一会」の出会い | 中下大樹のブログ

「一期一会」の出会い

近況報告など。


今月は講演等で全国を飛び回る生活が続き、肉体的に疲労がピークに近い。


同時並行で、「もう死にたい」「自殺したい」という緊急相談がひっきりなしに入り、その対応に追われつつ、雑誌等の締め切りの原稿にも必死で格闘している。


そして元路上生活者の火葬の依頼(基本、ボランティア)が入り、ほとんど眠らずに火葬場へ駆けつけるなど、目まぐるしい日々が続いている。


首都圏近郊では、江東区社会福祉協議会で300人を前に、「無縁社会」をどうすれば「有縁社会」に出来るかという私のなりの私見を交えた講演会があり、その後、茨城県那珂郡にある東海村での講演に向かう。


東海村と言えば「JCO」。原発のすぐ近くにあるお寺での講演。


参加者には、当然ながら現役・OB問わず、原子力関連の会社の方々も多数。


バリバリの原発推進派もいらっしゃる中、「いのち」の問題について話す。


私のブログを読んでいただいている方はお分かりかと思いますが、私自身は「原発にはNO!」の立場に立ちます。


しかし、そもそも原発問題に全く無関心の方も世の中には多数、いらっしゃるのが実情。


原発について「賛成」・「反対」という二項対立を超えて、双方間の話をよく聞いた上で、お互いの共通点を見出す努力をして、「落としどころ」を提案できるか?


反対!と言うだけならば、誰でも出来ます。


要は代替案を提示して、どこまで折り合いをつけれるかどうか・・・


それは自分自身との戦いのようでもあり、自分自身の生き方が問われているようにも感じる。


それはともかくとして、去年に引き続き呼んでいただいたので、本心は、本当にありがたいというのが本音。


いつも講演をさせて頂くときは、出会う人すべてが一回限りの「一期一会」と考え、私なりに真剣勝負の場でもある。


結果として、2年連続でお声をかけて頂けているというのは、少なくとも「中下を呼ぶ価値がある」と主催者側は考えてのことだから、少しはお役に立てたのかなとも思う。


講演後、参加者の話を伺うと、おおむね好評だったようで、「アナタの本も読みたい。是非、私の自宅へ送ってほしい」と言う方から、本の注文も多数受けた。(当日は、会場内で本の販売をすっかり忘れていた!)


そして、講演後、二時間近く、東海村で市民活動として、原発問題に関わる運動をしている方から、ゆっくりとお話をお聞きする。


福島に足しげく通って見えてきたことを私はこのブログやツイッターを通じて発信しているけど、東海村在住の方から話を聞いていると、東海村も福島も、根本的なところでは共通点があるように思えてきた。


その話は、今書いている新刊の本や雑誌等で、改めて書いてみたいと思っている。


そして、次は新潟県柏崎市へ。東京電力・柏崎刈羽原発から8キロの地点で講演会。


JCOの近くと同じく、柏崎も原発で潤ってきた町であることは否めない事実。そんな中で、またしても私の力量が問われる。


そのまま日帰りで都内に戻ると、今度は日本人ならば誰でも知っている超有名企業の幹部候補生が集まる研修会で講演会の講師に。もう4年連続、その集まりの講師を担当させて頂いてる。


この集まりは、それぞれの超一流企業の幹部候補生から一名のみが会社内の選抜で選ばれる。


その研修会に参加できること自体が、それぞれの会社内では「ステータス」となる。そもそも超一流の大企業は優秀な人材ばかり。


その中で選び抜かれた百戦錬磨の「エリート」だけが、その研修会に参加できるという訳。


その研修会を通じて参加者は「リーダーシップ」を学ぶ。


主催はNPO法人ISL。詳細→ http://www.isl.gr.jp/


そのNPOの代表の方は、ビジネスマンとして、または教育者として超一流の経歴がありながら、人間としても素敵な方で、東北に被災地にも頻繁に通い、精力的に支援活動にも関わっておられる方。


受講生は主に40代の男性が圧倒的多数。女性の数が少ないのが気がかり・・・


やはり日本の超一流企業は、まだまだ男性社会であることを痛感する。


一方、日本の経済界を将来、背負って立つような超優秀な方しか受講できない講座でもある。


経済には疎い私が、そんな場違いの場?で話すのは、主に「看取り」の話や「いのち」の問題。


どんなにお金持ちになっても、死は必ず訪れる。有名人であろうと、なかろうと、死は平等である。


しかし、その死の迎え方は、人それぞれ・・・


日本を代表する企業の中でも、さらにその中での「エリート中のエリート」の方々の前に、小手先だけの対応は許されない。


私自身も、それこそ「命がけ」で真剣勝負に臨む。


その講義時間は3時間。途中、ワークショップも交えながらの講演。


どこまで私の思いが伝わったかどうかは分からない。


帰り際、主催者の方から「また来年もよろしく」と言われる。


「はい、私で宜しければ喜んで」とお答えすると同時に「来年、生きていたらまた伺います」と心の中で返事をする。


だって、来年まで生きている保証はどこにもないから・・・・


全ては一期一会の出会い。その出会いを大切にしたいと私はいつも思っている。


ちなみに、本のサインを頼まれると、書くことはいつも「一期一会」(苦笑)


そんなこんなで時間が過ぎていく日々。


そして「貧乏暇なし」の私は、少しでも時間があると、いろいろな場所に出かける。


先日訪れた場所は新宿から小田急線に乗って数分の場所にある代々木上原。


代々木上原には、なんとイスラム教の「モスク」があるんです。その名は「東京ジャーミィー」


http://www.tokyocamii.org/publicViews/home/lang:jp/


とある集まりで知り合った日本人男性がその、東京ジャーミーでお話しされるとのことで、そのお話を聞きしたいと思って。


その男性は、普段は大手町にある大きな会社で働く一方、土日を使ってイスラム教の教えを広める活動をされています。私と同じように、在家出身の宗教者です。


子供時代、生きることに悩み、宗教に救いを求め、イスラム教にたどり着いたとのこと。


その男性と今度、改めてお目にかかり、食事をすることになっています。


超宗派寺院ネットワーク「寺ネット・サンガ」の企画で、来年は、是非、一般参加者を募り、そのモスクに視察ツアーとして訪問したいと思っています。(詳細は後日発表!)


以下、モスク内の写真。お祈りを捧げるイスラム教徒の皆さん。


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何だか日本にいながら、外国に来てしまったような感覚に襲われます。ですが美しい・・・

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天井も素敵・・・・。幾何学的なデザイン。全てに意味があるそうです。

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     これは、階段の途中

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階段の途中、人一人が腰掛けれるほどのスペース(穴のような形をしています)があります。


東京ジャーミーのスタッフの方の話によると、これは、日本で言う「お賽銭箱」のような意味を持つとのこと。


日本では、例えば、神社のお賽銭は、お金を入れるとそのお金は「神社のもの」になりますが、モスクでは、いわゆる「社会的セーフティネット」としての役割を果たすそうです。


モスクに来たお金に余裕がある人が、貧しい人々のために、その場所にそっとお金を寄付する。


そしてお金に困った人が、そのお金をそっと頂いて帰るそうです。


アラーの神様の「おぼしめし」を垣間見た瞬間でした。


お金を寄付する側は、まさに徳を積むというような感覚で寄付をして、頂く側も、あるお金を「全て持ち去る」という事はなく、他の方の事も考えた上で、必要な分だけ持ち去るそうです。


日本でも地方に行くと、無人の野菜販売などがあります。(東京でも一部の地域であるようです)


人が誰もいなくても、お金をきちんと払う人もいるでしょうが、一方で、誰も見ていないからという事でお金を払わない人もいると聞きます。


そこには「誰も見ていなくても、お天道様が見ている」「仏さまが見ている」という宗教観があれば、お金を払わないという事はないかと思いますが、現代の日本ではどうでしょうか??


そんなこんなで、今日もまた朝から走り回る日々。


土曜日は福島県南相馬市を経由して、双葉町へ行ってきます。


どんな人に出会えるのか?まさに一期一会の出会いを大切にしたいと願う、今日この頃。