Dear. Kaori
いつも、君は、じぶんの誕生日の日に
LIVEで歌を唄ったり、
作品を発表するのが好きだったね。
そう、僕が2度目に君に会いにいったのも、
ちょうど、21回目の君の誕生日の夜だった。
1992年1月23日。
“Sign of Voyage”
渋谷公会堂でのBirthday Live。
あの日、客電が落ちて、
ステージに、君が現れた時の衝撃は、
あまりにも色濃く、心に焼きついていて、
今でも忘れられないよ。
…当時、君は、茶色のリーゼントから、
真っ黒で、少しラフなスタイルに髪型を変え、
もうすぐ発売になる新しいAlbum『Weed』や、
先行Single「見つめていたい」の
キャンペーンのために、
雑誌やTVに頻繁に登場していた。
その、憂いを秘めたような、
そして、何かに苛立っているような、
新しい君の風貌も、
僕はとても気に入っていた。
当然のことながら、その誕生日のLiveでも、
そんな君の姿をこの目で観られるものと思い、
ワクワク、ソワソワしながら
客席で静かに開演を待っていたんだ。
やがて、開演時間を少し回った頃、
鋭く鳴り響く銃声とともに
BANDの演奏でLIVEが始まり、
ステージ袖からセンターのマイクスタンド前へと
スタスタ走りついた君の姿が、
まばゆい光の中に浮かび上がったその瞬間、
会場は、地鳴りの様な大きなどよめきに包まれた。
ダボダボの紫&黒のボーダーのニットと
細くタイトな黒い皮パン。
折りたたんだバンダナで目隠しをしたまま、
新しい歌を唄い始めた君の髪型は、
なんと!銀色に染め上げられた、超ベリーショート!
まったく想像もしていなかった
劇的な君の変貌に、
“いったい何が起こったのか解らない”という
驚きを感じるとともに、
そのPUNKな いでたちからは、
“すべてを引き裂いて、
またゼロから新しく創りだす!”という様な
張りつめた決意がヒシヒシと伝わってきて、
そのとてつもない潔さに
僕の心は、またもや完全に撃ち抜かれてしまった…。
想いを吐き出す様に唄われた新曲、
「僕を撃て」。
あの瞬間、あの場所で、僕がどこまで
その詞の内容を聞き取れていたのか
今では定かではないけれど、
10日ほど経て 手に入れた
New Album『Weed』で改めて再会したとき、
歌の内容が深く深く心に突き刺さってきて、
あの時間の記憶とともに、
僕の中では、欠かすことのできない
特別な1曲となっていった。
…そして、20年以上が過ぎた今でも、
この曲を聴くたびに、
あのLIVEでの衝撃が蘇ってきて、
「今の自分は、いったいどうなんだい?」と、
ゆるんだ心が一瞬引き締まるんだ。
野良犬気取りで街を歩いても
誰も振り向いちゃくれない
あふれる人波は 決まって僕に
ひとりぼっちだと教えるだけさ
だから仲間が欲しいと思った
自分の弱さを認めた
誰かとつるんでいる時にしか
まっすぐ歩くことさえ できないんだぜ
さあ 弾丸を込め 僕を撃て
Bang Bang Bang!
僕のこの弱さ 撃ち抜けよ
Bang Bang Bang!
遠くの夜明けを待つ僕がいる
電話帳で誰か捜してる
時計の速さに焦りを覚えて
たまらなくなって外に飛び出すよ
さあ 弾丸を込め 僕を撃て
Bang Bang Bang!
僕のこの弱さ 撃ち抜けよ
Bang Bang Bang Bang!
おんなじニオイを持った奴らと
おんなじ傷口なめ合ってゆく
一体 何が変わったんだろう?
一体 どこが成長したんだろう?
一年位かけてやってみよう
なにもかも洗い出してみよう
とがったままでいきたいと思う
時には自分をすりへらしてしまうけど
ああ 弾丸を込め 僕は撃つ
Bang Bang Bang!
僕のこの弱さ 撃ち抜くよ
Bang Bang Bang Bang!
ああ 弾丸を込め 僕は撃つ
Bang Bang Bang!
僕のこの弱さ 撃ち抜くよ
Bang Bang Bang Bang!
Bang Bang Bang Bang!
(「僕を撃て」 Words by Kaori / 高橋 研 Music by 高橋 研 )
★★★★★★★★★★★★★★★
↓当時の音楽雑誌のレポート記事より(抜粋)
(※ MC、セットリスト一部含む)
“ステージは、開演前にちらついた雨で
客入れが少し遅れ、定刻10分遅れで始まった。
真っ暗なステージに
戦時下の危機迫る女性の声が英語で流れ、
やがて、その声は悲鳴になり、銃声が鳴り響く。
と同時に、ステージから、新しいアルバム
『WEED』の中のナンバー「僕を撃て」が発射された。
スポット中央に照らし出されたかおりは、
目隠しをするようにバンダナを巻いて立っていた。
そして、そのまま歌いはじめた。”
“2曲目「レジスタンス」でようやくバンダナをとった彼女は、
満員の客席を一瞬まばゆそうに見つめた。
「あけましておめでとう。
いやー、21歳になってしまいました。
21になって初めてのステージです」
最初のことばは、こんなあいさつで始まり、
「メリーゴーラウンド」「金色のライオン」
「キースの胸で眠りたい」となじみのナンバーが続き、
「今、「キースの胸で眠りたい」を聞いてもらったけど、
私は、人に書いてもらった詞を歌うことは
あまりないんだけど、木嶋浩史さんが書いたこの曲は、
なんで私の気持ちを知っているんだろうって。
今回、この曲を久しぶりに歌って、
私にもこんなすごくミーハー的なころがあったなって。
もちろんキースへの想いは、キースとおそろいの
テレキャスターを手に入れて喜んだりして、
今も変わらないんだけど……。
私は、誕生日にはいつも、
自分で自分にプレゼントをあげる人なのね。
(笑)ちゃんとリボンをつけてもらって、
その包みを誕生日の夜、ひとりで家で
「おめでとう」「どうもありがとう」ってやるの(笑)
で、今年の誕生日には、
キースと同じギターのストラップを買ったの」
こんな話をするときのかおりは、
どこにでもいるロックファンと何も変わらない。
そして、どんな話をするときよりも顔が緩んでしまう。
が、話の後、「懐かしい曲たちです」と言って
歌いはじめた、デビュー・アルバムからのナンバー
「空っぽのフィルム」「Winter Mute」「Russian Blue」
になると、会場は水を打ったように静まり、
そこに、この曲をレコーディングしたときの
16歳のかおりのやるせなさがオーバーラップした。”
“さらに、かおりのブルースハープから始まる
「見つめていたい」「ジェロニモ」
アコースティックバージョンの「ZOO」と続くと、
かおりの吐息と会場の呼吸が、
同じ脈を打っているかのようになっていた。
「デビュー曲「ZOO」を聞いてもらいましたけど、
思い返せば、16歳で初めてレコーディングして、
5年間がアッという間に過ぎて、21歳になってしまいました。
大人になんてなりたくないと思っていたのに、
みんなから見たら21は大人なんだなって。
だから、思うんです。
今年は、大人になりたくないというみんなが、
こういう大人なら許せるという大人になろうと
頑張りますんで、よろしく」”
“ステージ終盤は「356日の戦争」をきっかけに
一気に突っ走り、
クラッシュの「I Fought Low」「健康な朝のために」
「Hair Cut Blues」「カリーニン広場へおいでよ」
「Hey Hey Hey '91」「脳内テンション ダダダァーン」
と大暴れ。
「私は考えてみると親離れが早く、
人に誕生日を祝ってもらうことって、
コンサートするようになってからです。
ついこの間までひとりぼっちだった私が、
こんなにたくさんの仲間に祝ってもらって、
とてもうれしいです。
みんな今日はどうもありがとう」
深々と頭を下げ、そして、ステージは、
ニューアルバムに収められている、
かおり作詞・作曲の「WEED」で、静かに幕を閉じた。
暗転から会場にBGMの「WEED」が流れても、
ステージの楽器がどんどん片づけられても、
アンコールを求める拍手が鳴り止まない。
5分、10分、20分。
希望のコールがあきらめのコールに変わりかけたとき、
夢の一夜の原型をもうとどめていないステージに、
かおりひとりが現れた。
そして、人さし指を口に当てて、みんなを静めると
地声で、「みんな気をつけて帰ってね」と叫んだ。
この予定外のアンコールには、
客席を埋めていた子たちばかりでなく、
後ろで立ち働いていたスタッフも、
みんな穏やかな顔になっていたのが印象的だった。”
★★★★★★★★★★★★★★★
Happy Happy Birthday!
君が生まれてきてくれたこと、
そして、君に出会えたことは、
僕にとって、生きてゆく上での
とても大きな宝物だよ。
これからも、ずっと。
Thank you, Roll on♪
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
<おまけ/『Weed』 発売当時の音楽雑誌より>
「僕を撃て」 コメント①
銃弾の音で始まるこの曲は、
私が、もうずいぶん元気になってからの歌。
ひとりじゃイヤだなと思った気持ちが仲間を作った。
仲間を作ったのはいいけど、
ここは違うぞといって抜け出したのに、
結局その抜け出した場所もまた同じ匂いで、
同じ傷を持った連中とずっとつるんでいて、
いつのまにか自分の傷を自分で治せなくなっていた。
そして、ひとりで時間すらつぶせなくなってて、
そんな自分がとても情けなくなったの。
自分の傷が自分で治せるようになって
初めて人に何かをしてあげられるのにね。
こんなことじゃ友達を守れない。
また、そんな私を友達だといってもらいたくない。
かおりなんか友達じゃないよって
言ってもらいたかったのに言ってくれなかったから、
私から友達を捨てたんだ。
とことん孤独と手を組んで、
そこから新しい自分を作り直して、
そして初めて人と接することができると思ったの。
それには1年くらいかかるかなと思った。
それがそのまま歌になった。
「僕を撃て」 コメント②
一人の人間の成長を歌っているんです。
何もかも人まかせで、
優しい仲間がいるおかげで助かってしまって、
自分で自分の傷を癒すことができなくなってしまって、
そのときにこのままじゃいけないと気づくんだけど、
自分で自分にムチを撃てない。
それで人に撃ってくれっていう。
でも、後の方では自分の傷ぐらい自分で撃てるし、
自分の傷ぐらい自分で癒すことができるっていうんです。
“僕を撃て”ていうフレーズは、私がよく言う
“やるならやれよ”“殺すなら殺せ”っていう(笑)、
性格から出てきたセリフですね。