私はただお母さんに好かれたかった。


私はただお母さんに機嫌よく笑って欲しかった。


大好きって言ってもらいたかったの。


それなのに、なんで叩かれなきゃいけないの。


なんでお前なんか産まなきゃよかったって言うの?


なんで「お母さんをこんなに苦しめて楽しいか」なんて怒鳴るの?


私は苦しめてるなんて、これっぽっちも思ってないのに。



そんなこと言うから、私はお母さんを恨まなきゃならなくなったの。


そんなこと言うから、お母さんが病気で苦しんでる時に「ざまぁみろ」って笑ったの。


ずっとずっと、私はお母さんのせいでこうなったって思ってるの。


ずっとずっと恨んでるの。



私はただ、あなたに愛して欲しかった。


私はお母さんの年なんて気にしてなかった。

お母さんが気にして怒ってただけ。

お母さんが自分のことを「みんなが私のことを笑い者にする」って思い込んでただけ。


そしてその怒りの矛先が私に向いた。


「お前のせいで私はこんなに苦しい思いをする、お前なんかいなきゃよかった、産まなきゃよかった」


私は八つ当たりの道具でもよかった。


お母さんが機嫌よく笑って幸せそうにしてくれるなら、八つ当たりだってなんだって受けてよかったのに。


私の頭の中は、いつもお母さんの声でいっぱいになる。


「お前なんか産まなきゃよかった」
「お前はみんなから笑い物にされてる、バカにされてる」
「こんなにお母さんを苦しめて楽しいか」
「お前なんか地獄に堕ちて一生苦しめ」
「お前なんか苦しんで死ね」



私は、そんなこと思ってなかったのに。


ただ、大好きって言って欲しかっただけなのに。

ただ、笑ってて欲しかっただけなのに。



そうか、私に放った言葉たちはお母さん自身に放ってた言葉だったのか。


でもね、やっぱりまだ許せてなかった。


それでも構わない。