翌日、会社から帰り今朝電源をいれておいた冷蔵庫を点検する。

 

ムムム。全然冷えていない。

 

 

電源も入っているし、壊れている様子は無いけれど。

外で待っててもらっていたKをキッチンに呼んで、様子を見てもらう。

彼にもよくわからないようだ。仕方がないのでもう一日置いてみることにする。

 


結局、この冷蔵庫は持ってくるときに揺れすぎたのか、

たいして包装も固定などもせずKの車の荷台にポンと積み込んだだけだったし、

聞けば、冷蔵庫の液体が動かないよう慎重に運ばなければならないらしいのだ。 

 

そんなことを全く知らなかった私は、自分の甘さをかみしめながら、

ちょうどほしい物の在庫がなかったから、展示品を安く購入していたので、

 

不良品の可能性もあると思い返品交換しに行くことにする。

しぶるKを説得して、お店に持っていく。

 

なんか駄々こねられるのかなーと心配したが、

あっさり、店のお兄さんは新しいのと交換してくれた。

今度は慎重にゆっくり運ばないと。

リビアの道は悪いのだ。主な道路は舗装されているのだが、一本横道に入ると砂利道だ。

どこもガタガタしていて滑らかではない。

たまにぽっこり大きな穴があいている所があるので要注意なのだ。

 

 

そんな道を彼らはカッ飛ばすので、揺れるし長時間買い物に出かけるとぐったりと疲れる。

道路が滑らかで走り易いって当たり前じゃないんだよ。

 

 

日本や先進国では、裏道に入った途端、砂利道になるなんてことはないよね。

おまけにリビアでは、雨がたくさん降ると、すぐに道路が水浸しになり、床下浸水状態になる。

下水道の設備がまだまだ整っていないのだ。

 

 

道路が舗装されてるってことは、

誰かが丁寧に道路を作って平らに滑らかにしてくれてるってことだ。

下水道を作って生活に必要な設備を作ってくれているということ。

 

日本では江戸時代前から、衛生面の考えが発達していて、

下水道を作り、町のインフラを整えていたのだから恐れ入る。

 

日本で暮らしていて、普段気にもとめない些細なことが、実は凄いことで、

快適に生活できる要素のひとつなんだと実感した。もうほんと感謝しかないよね。

 


Kにゆっくり慎重に運転するように念を押す。

 

私の勝手な推論だが、娯楽の少ない彼らにとって、

車はおもちゃのようなものだなーと思っている。

よくわけもなくぶっ飛ばして、カーレースのような真似事をしているのを見かけるし、

目的もなく車をながし、タバコを吸いながら、反対車線の車とヤジを飛ばしあったり、

 

話したり通りがかる地元の男集と大声で声を掛け合っているのだ。

そんな男達でいつも道路は、排気ガスと喧騒に満ちている。

 

Kにとっては生まれ育った街。どの道路も熟知している。仲間や親戚がみんな住んでいる。

彼の友人達は、私が誰で彼が今私の運転手をしているのも知っているのだろう。

いつもやさしく微笑みかけてくれるのだ。

 

Kは徐行運転にイライラしつつも、また返品なんてことになったら大変なので(笑)慎重に無事に家まで届けくれた。

翌日、無事に冷蔵庫は冷え始め、Kも私も胸をなど下ろした。

 

 

その他、キッチンのコンロの火がつかず、ガスパンを購入してこなければならなかったが

レガッタ内にガスステーションがあり、これもKがテキパキと運んでくれ、

所定の場所に設置した為、無事使えるようになった。

 

 

 

その後も、Kの多大なる貢献によって、私のレガッタでの新生活は順調に始まったのだった。