そろそろ世間はお盆休みになる。
世間が休みになるときは、ゆっくりと考え仕事が出来るので
なんだか、いつもより朝起きるのが楽しいような気もする。

春くらいから身体のことや仕事のことで考え事が多くなっていた。
少しずつ整理をつけつつやってきたけれど、8月に入って大掃除が必要な
感じになってきているんだな。
いろいろなことを整理整頓する時期に来ていたのだろう。
 
なぜかふと思い、松陰神社に参拝してきた。 
猛暑のせいか、境内にはあまり人はいない。
淡々と参拝を済ませ、裏手にある松陰先生墓所に向かう。

墓所に歩を進めると、蝉の声が一段と大きくなった気がした。 
お寺でも神社でも、いつもは参拝時に願い事はしない。
ただ大いなる存在と祖先に感謝するだけだ。

しかし今日は手を合わせて、はじめて松陰先生にお願いをした。
お願いというよりは、心の内を話したと言った方がよいかもしれない。
もちろん松陰先生が語りかけてくれる・・・などということはなかったが
わずか数十秒の出来事ではあったが、 ふと肩の荷が下りた気がした。

余韻も求めずに、墓所に背を向けて歩き出す。
そして数歩、歩を進めたところで墓所を振り返る。

松陰先生と維新の志士たちの墓所が、不思議な立体感を持って存在している。 
背景の緑がふっと霞がかるような気がした。 
あれだけ大きかった蝉の声が遠くに聞こえる。 

何か啓示を受けたわけでもなければ
大きな気づきを得たわけでもない。
時間にしておそらく数秒。 
ただその数秒間を感じていただけだった。 

「また来ます」 

近所のおっちゃんに悩み事を聞いてもらったときのように
軽い感じで立ち去る際に挨拶をしてみた。
自分のあまりの軽さに、思わず笑みが溢れる。

気がつくと蝉の声が一段と大きくなっていた。