「大丈夫です」
「出来ます」

アダルトチルドレンは、周りの人に心配の声掛けをされた際に条件反射のように相手に心配させないような言葉を言ったり、出来るかわからないことでもを引き受けてしまうことが多くあります。

本当は自分ではもうどうにもならない状況であったとしても、です。



このようにアダルトチルドレンは誰かに助けを求めたり、人を頼ることが苦手である傾向が強く見受けられます。



「こんなことも出来ないの?」
「○○(兄弟)は出来るのに」
と親から誰かと比べられた過去のあることが記憶に残っていることが原因の可能性があります。
そのため、お願いされたことを断ったり、一人でできないことは悪いことだと思い込んでしまっているのです。

また、親からされたような過去から、「完璧に出来なければならない」という、誤った認識を持っているのです。



何事も失敗はつきものです。
全て100%完璧にやりこなすことなど不可能です。
ましてや、初めて取り組むような事柄の場合、わからないことだらけなので、やり方や改善の仕方は誰かに聞いたりその都度調べたりしなければわからなくて当然のことなのです。


しかし、アダルトチルドレンは人に聞くこと=人を頼り、時間をもらうことが苦手なため、誰かに教えを乞うことに対してのハードルが非常に高い傾向があります。

また、過去に何かに取り組んで失敗したときに
「だから言ったじゃない」
と親にとっての都合を聞かなかったことを責められるばかりで、失敗に対する対応や対策について教えてもらうことはなかったということが多くあったのではないかと思います。

そのような過去があると、
自分と関わる多くの人が自分に対して同じような態度をとるものだと思う
→失敗してはいけない
→成功した経験のないことに取り組むことが怖い
→何もしない方が安全
と、受け身で何もしない状況を選びがちになります。



何を行うにしても、一番最初は全て"初めて"取り組むことなのです。

子どもが一人で歩けるようになるまでのことを例にとってみても、最初は安定して立ち上がることすら出来ません。
何かに掴まって立ち上がってみても、尻もちをついてしまいます。
周りの人の手を借りながら何度も何度も繰り返すうちに、掴まり立ちができるようになります。
次第に掴まっているものから手を離すようになり、一人だけの力で立ち上がることができるようになります。
その後、親の手を借りたり歩行器を使ったりしながら、歩く感覚を覚えます。
そして、何も使わずに歩けるようになるまでも、一歩踏み出しては転び、二歩進むことができたらそれだけで大進歩なのです。


このように、何事も初めて取り組むことが出来るようになるまでに、何度も何度も失敗を繰り返すことは当然のことなのです。
そして、感覚を掴めるまで繰り返し訓練や練習をして、時には人に助けてもらうのです。
何も恥ずかしいことでも愚かなことでもありません。


それは大人でも一緒のことです。
ただ、大人は周囲から見ると、取り組んでいる事柄がその人にとっての初めての状況か否かは非常に分かりにくいですね。

なので、初めて新しい事柄に取り組むときは、恥ずかしい気持ちや人を頼ることを恐れずに
「初めてやります」
「分からないから教えてください」
自分の状況を伝え、誰かを頼りにした方が良いのです。
周りの人も"初めてなんだな""分からないかもしれないな"という意識が起こり、優しい人は気にかけてくれるものです。

そういう意識を持ってもらうためにも、周りの人には自分がわからないこと、できないことを声に出して伝えた方が大変お得です。

もし、周りに伝えた時に
「こんなことも出来ないの?」
「常識だよ」
という人がいたら、潔くスルーしましょう。
言いたいだけなのです、放っておいて大丈夫です。
相手にも初めて知り、取り組んだ時が必ずあったはずで、時には誰かに助けてもらってきたはずです。
しかし、その記憶や恩を忘れて人を馬鹿にするような人間なのです。
その心無い言葉に悲しい気持ちや恥ずかしい気持ちが湧きあがってしまうことももちろんあると思いますが、いちいちとらわれなくて大丈夫ですからね。



何事についても、習慣として行っていくことにより体や脳が慣れ、気がつけば出来るようになるものです。
初めて取り組むことも繰り返し行っていけば、気がつけば身に付いています。


そして、面白いことに初めてのことを分からない、できないと周りに伝えることを「恥ずかしい」「怖い」と思う気持ちでさえも、何度か伝えてみるうちに「こんなものなのか」と慣れてくるものです。

最初の一歩はとても大きく感じますが、一歩踏み出してしまえば歩き出せる、ということですね。


自分の状況を相手に知ってもらうためにも、出来ないことや分からないことは勇気を出して声に出して周りの人に伝え、助けを乞うてみてください。
きっと、助けてくれる人の優しさに触れながら、あなた自身の素敵な経験がたくさん増えていくでしょう。