私は、す☆けべまん
正義の味方。
想像力は凄まじく、理論を越えたその力は、すれ違う女性を皆『たまごくらぶ』の読者にしてしまうのです。
(私は時々、タマゴ臭いと言われます)
最近、銭湯通いで自分を慰めております。
500円で得られる爽快感…命の洗濯。
(シミ付きパンツも洗えます)
ある平日の昼下がり、私は小銭をポケットに鳴らしてチャリを転がしました。
本日の目標は、水風呂に腰まで浸かることです。
(あ、定休日だ)
………
もう少し先にある、古い煙突の銭湯に行くしかありません。
それはそれで楽しそう
新規開拓です
(マッサの開拓がしたい…)
木製の板錠を抜いてサンダルをしまい、番台のオヤジにゆっっっ…くり小銭を渡しながら、左目面舵一杯に女湯の暖簾奥をガン見しますが、夢叶わず青地の暖簾をくぐります。
(流し目しすぎて涙目に)
なんと!
まだ誰も入っていません
(一番風呂だっ!)
パンツごとズボンを脱ぎ捨て、いそいそとロッカーの松竹錠を締めて足首に巻き、ガラガラ~っと一番ブロガーです。
(染み付きパンツを左手に)
おお!…外観が古い割には、浴室は清潔感があり手入れが行き届いてて気持ちいい
中央にあるでっかい風呂には、マッサージ風呂やジェット風呂などがあるようです
奥には茶色の薬湯もあります。
なかなかどうして、たまには開拓しても当たるものです。
さてさて…………
一番ブロガーっと…………
でっ!
いでででででで…………
おごごごごご………っっ
(でっ 電気風呂っ)
足先の感覚を頼りにゆっくり入るべきでした。
一番風呂欲しさに貧乏根性丸出しで急いでしまい、何十年ぶりかで電気風呂の刺激を喰らってしまいました。
(苦手です、すごい電気刺激です)
私には電流が強すぎて、肘も膝もピーンっと突っ張ってしまい、なかなか脱出することができなかったのです。
(まだまだ銭湯黒帯には程遠い…)
しびれの残る肘を摩りながら浴槽反対側にあるジェット風呂に入っていると、お客が一人入ってきました。
(しかし電気風呂ってこんなに痛かったかな…)
近視の目を凝らして見ると、物凄いオーラをまとった爺さんが首タオルでゆっくりと歩いて…いや、入場してきます。
(おおっ!黒帯を巻いているっ!)
その立ち姿、首タオル、ハゲ頭、痩せた肩、太鼓腹、どれを取っても正に『銭湯黒帯』!
江戸時代からこの銭湯で汗を流している御大に間違いありません。
(日本史の教科書で見た杉田玄白に似ています)
しかもっ!
マーラのデカさは師範クラスです!
(デカマーラ♪デカマーラ♪どうだアメブロ!消せるものなら消してみろ)
御大はゆっくりと浴槽に近づいてきます。
私は気圧され、大名行列に慌てて後退り平伏す農民のように、端っこで小さくなります。
(私は~小マ~ラ~♪)
あっ!しまった……。
そうです、この銭湯には暗黙のルールがあるに違いないのです。
午後3時営業開始のこの銭湯、こちらの黒帯御大が入るまでは、何人たりとも先に湯を汚してはいけなかったのです!
(フライングブロガーだった…)
就寝前のセソズリよりも礼節を重んじるす☆けべまん、なんたる所業………すけべまん一門末代までの恥だ…………
穴があったら入れたい
(そこのあなた、笑いましたね)
あっっ
ななななな、なーんとっ!
御大は浴槽のへりに手を掛けることもなく、ゆっくりと上げたその左足を、高圧電流の電気風呂に差し込んだのですっっ!
さすがはブラックベルト…
掛け湯もせずにいきなりあの電気風呂とは…私はあと何年銭湯に通えば黒帯を巻けることか………
おーっ!!!!
なななななんと!!!
潜った~っっっ!!!!!!!!
御大は左足をゆっくりと電気風呂に差し入れたかと思うと、その勢いのままスッポリとハゲ頭のテッペンまで入湯~っっっ!!!!!!!!!
すごすぎる…
私なんかまだ痺れが残っていて痛いのに、御大は頭まで潜り、全身で電気刺激を楽しんでいらっしゃる。
私みたいなモンが同じ湯に浸かる資格はない…
染み付きパンツを洗うなんて、打首獄門ものだ
(洗面台でこっそり洗おう)
私は、御大の圧倒的な力量を見せ付けられ心酔し、せめて邪魔だけはせぬようにと、黙礼しながら消え去るのです…
(それにしても潜りが長いな…さすがだ)
ん?
あれ?
湯水面からピーンと両腕が伸び出て、空をつかんでいます。
(修業の一環だろうか?…)
んん?
御大のハゲ頭がぬ~っと持ち上がり、私に向いているようです
(私のメガネはロッカーです)
んんん?
わわわわわわななななーーーんとっっ………………
そこには断末魔の雄叫びをお湯に消されてもがき苦しむ、ただのハゲジジイがいたのです!
溺れているではないかっ!
(す☆けべまん!救助開始っ!)
慌てて近づくと、物凄い勢いで腕を捕まれ、同時に強烈な電流がっっ!!!!!
アガガガガガガガガガガ
私は、電流で自由の効かなくなった四肢を必死に動かし、黒帯のかけらも締めていないただのハゲジジイを担ぎ上げ、必死の思いで浴槽の外に放り投げました。
浴槽に残った私は、骸骨が光るが如く感電
(おごごごごごごごごごっっζπヶδε←∬∽…………)
私は痺れる身体で股間タオルもせず、番台オヤジを呼びに行きました。
ことを告げると番台オヤジは、
『ありゃりゃまた壊れたか、すんませんね~、たまに調節が壊れて電源のまま流れるんですわ』
(君の銭湯100万ボルト~♪)
『やっぱりこのお客さん見たことないな~…ホームレスかな?なんだか足裏が汚れてるもん、勘弁してほしいな~…』
(勘弁してほしいのは私のほうです)
ゆっくり瞬きしながら寝そべるこの汚いハゲジジイは、銭湯黒帯の御大などではなく、顔と腕と股間だけが異常に黒く、風呂なんか殆ど入らないただのホームレスだったのです…
(タマゴ腐さ黒帯)
私は染み付きパンツも洗えず、痺れる身体を引きずって、今日もこの大都会をさまようのです………
(誰か私と一緒に『たまごくらぶ』読みませんか?)
お粗末♂