いままでアトピーは、アレルゲンとなる原因物質を除去すると、
症状が良くなるとずっと言われてきました。
しかし、アトピー慢性化の原因は他にあり、
一旦慢性化すると、原因物質を除去しても症状が良くならない
可能性があることが分かりました。
これは、佐賀大学の原賢治教授の研究チームにより
今月11日に発表されました。
それによると、アレルゲンが体内に侵入すると、
免疫反応によってかゆみ物質が出ると同時に、
「ペリオスチン」というたんぱく質がたくさん作られるということです。
ペリオスチンは骨や心臓の組織の再生に関わるタンパク質で、
とても体の役に立つものですが、ペリオスチンは、
骨や心臓だけでなく、アトピーの肌にも沈着します。
ところが、骨や心臓などと違い、肌に沈着した場合は、
かゆみ物質を作り続けるため、役に立つどころか
アトピーの症状を悪化させ、慢性化してしまいます。
現時点では、ペリオスチンの働きを止める薬はありませんが、
今後そのような薬が開発されれば、
ステロイドの様に強い副作用を起こすことなく、
アトピーの治療ができる可能性があります。
ところで、いまはペリオスチンの対処法がな
いと書きましたが、皮膚のバリア機能が正常になれば、
アトピーの症状は徐々におさまることも確かですので、
スキンケアにより皮膚のバリアケアを行うことは、今後も有効だと考えます。
参考文献:
佐賀大学医学部分子生命科学講座分子医化学分野出原研究室ホームページ:http://www.biomol.med.saga-u.ac.jp/medbiochem/AD-PN.html
「研究室訪問4、ペリオスチンが医療を変える、工藤明研究室~生命情報選考」『LANDFALL』Vol.65,18-22,2009