被災者支援憲法を原点に
新聞記事より
大震災 原発
被災者支援 憲法を原点に
宮城県山元町元町長
森 久一(もり きゅういち)さん
初めて津波被害の現場に立ったとき、ヒロシマ・ナガサキの爆心地の写真を思い出しました。学校の体育館の構造がガレキとして残っているだけで何もなくなっていました。
全て波にのまれ、高台に打ちつけられ潮に流されました。恐ろしい状況です。
米や特産のイチゴの農地の8割が打撃を受け、漁港の40隻の船は全て破砕されました。「平たんな海岸に大きな津波は来ない」とタカをくくっていたことは、ざんきの念に堪えません。この悲劇を全国に伝え、対策を強化してほしいと思います。
家族を失い、家と土地を失い、働く場所も失った人々の多くは、ぼうぜん自失となっています。生存そのものが脅かされ、権利がなきに等しい状況です。その中で私は、国民・住民の生存権をいかに確保・確立していくか、憲法の原点に立ち戻って政治と行政の役割を再認識することが必要だと思います。
方向付け同時に
しかし、政府も自治体の対応も遅いといわざるを得ません。広域化を目指した「市町村合併」をしたところでは末端まで支援が行き届きません。自治体の力がそがれてきたツケのあらわれです。
緊急の支援がまだまだ必要です。同時に復興の方向付けも出していかなければなりません。災害を受けっぱなしで、このまま押しつぶされるわけにいきません。いかに立ち直るかそこに尽きます。全力を挙げます。
方向付けの中で、被災者を中心とした現場の声を忘れてもらっては困ります。
農業、漁業、地元の産業、コミュニティーの声に基づき、復興や今後の防災対策をつくるプロセスが必要です。復興の主体は被災者・住民そのものであり、住民自らが立ち上がるということにならなければ、本当の意味で意欲もエネルギーも出てきません。
あそこまでダメージを受けても、決してあきらめず、再生へ意欲満々の若手就農者もいます。その一人ひとりに、いま手を貸さずいつ事を貸すのか。その意欲をしっかりくみ上げて支援し、再生するモデルを明確にするべきです。それを見誤り、ないがしろにしてしまったら、被災者を殺し、若手の芽を摘み、復興そのものが瓦解しかねないということを政府は肝に銘ずるべきです。
許しがたい空論
ところが財界や政府からは、このどさくさにまぎれて、農業の集約化、TPP(環太平洋連携協定)推進、道州制導入、「復興税」という名の消費税増税など、小泉「改革」以来の「構造改革」を一気に徹底するという路線が気楽に語られています。極めて残念で、許しがたいことです。無責任な空論です。
米軍が展開し救援に活躍しました。ありがたいことと思う半面、日本政府は全力を尽くして、なお力が足りないから米軍の支援を要請したのか。これを機に「実績」を突きつけながら、日米安保体制の強化を目指すのではないかー。複雑な思いで見ています。
聞き手・写真 中祖寅一
大震災 原発
被災者支援 憲法を原点に
宮城県山元町元町長
森 久一(もり きゅういち)さん
初めて津波被害の現場に立ったとき、ヒロシマ・ナガサキの爆心地の写真を思い出しました。学校の体育館の構造がガレキとして残っているだけで何もなくなっていました。
全て波にのまれ、高台に打ちつけられ潮に流されました。恐ろしい状況です。
米や特産のイチゴの農地の8割が打撃を受け、漁港の40隻の船は全て破砕されました。「平たんな海岸に大きな津波は来ない」とタカをくくっていたことは、ざんきの念に堪えません。この悲劇を全国に伝え、対策を強化してほしいと思います。
家族を失い、家と土地を失い、働く場所も失った人々の多くは、ぼうぜん自失となっています。生存そのものが脅かされ、権利がなきに等しい状況です。その中で私は、国民・住民の生存権をいかに確保・確立していくか、憲法の原点に立ち戻って政治と行政の役割を再認識することが必要だと思います。
方向付け同時に
しかし、政府も自治体の対応も遅いといわざるを得ません。広域化を目指した「市町村合併」をしたところでは末端まで支援が行き届きません。自治体の力がそがれてきたツケのあらわれです。
緊急の支援がまだまだ必要です。同時に復興の方向付けも出していかなければなりません。災害を受けっぱなしで、このまま押しつぶされるわけにいきません。いかに立ち直るかそこに尽きます。全力を挙げます。
方向付けの中で、被災者を中心とした現場の声を忘れてもらっては困ります。
農業、漁業、地元の産業、コミュニティーの声に基づき、復興や今後の防災対策をつくるプロセスが必要です。復興の主体は被災者・住民そのものであり、住民自らが立ち上がるということにならなければ、本当の意味で意欲もエネルギーも出てきません。
あそこまでダメージを受けても、決してあきらめず、再生へ意欲満々の若手就農者もいます。その一人ひとりに、いま手を貸さずいつ事を貸すのか。その意欲をしっかりくみ上げて支援し、再生するモデルを明確にするべきです。それを見誤り、ないがしろにしてしまったら、被災者を殺し、若手の芽を摘み、復興そのものが瓦解しかねないということを政府は肝に銘ずるべきです。
許しがたい空論
ところが財界や政府からは、このどさくさにまぎれて、農業の集約化、TPP(環太平洋連携協定)推進、道州制導入、「復興税」という名の消費税増税など、小泉「改革」以来の「構造改革」を一気に徹底するという路線が気楽に語られています。極めて残念で、許しがたいことです。無責任な空論です。
米軍が展開し救援に活躍しました。ありがたいことと思う半面、日本政府は全力を尽くして、なお力が足りないから米軍の支援を要請したのか。これを機に「実績」を突きつけながら、日米安保体制の強化を目指すのではないかー。複雑な思いで見ています。
聞き手・写真 中祖寅一